内 容
本書は、時代の課題としての文明社会論と国制論を焦点に、スミス、ヒュームだけでなくケイムズ、ハチスン、ファーガスン等周辺的人物をも視野に収めてスコットランド啓蒙運動を歴史内在的に考察する。欧米の最新の成果を消化して書かれたスコットランド啓蒙思想復権の書。
目 次
はしがき
序 章
第Ⅰ部 合邦論争と近代化への道 1707~1760年
第1章 合邦問題とフレッチャーのヴィジョン
1 スコットランドの苦況 —— 飢餓の90年代と処方箋
2 アンドリュー・フレッチャーと名誉革命
3 フレッチャーの民兵論
4 大都市批判、ヨーロッパ再分割=連合案と国制論
第2章 ハチスンにおける経済、法、政治
1 ハチスンの所有論と主体形成の論理
2 ハチスンにおける商業と政体
3 公共の徳、民兵制、植民地独立
第3章 ジャコバイト主義とその超克
1 ジャコバイト問題の核心と文脈
2 ヒュームのステュアート擁護論
3 ケイムズ卿におけるジャコバイト主義の克服
4 ヒュームの社会形成原理論と忠誠義務論
5 ヒュームの政体論、政党論、ジャコバイト批判
第4章 経済論の展開と近代社会成立史論
1 ヒュームにおける近代社会の原理
2 モンテスキューとヒューム —— パラダイムの転換
3 ヴォルテールのイギリス論
4 ボリングブルックの『イングランド史論』
5 党派性を越えて
第Ⅱ部 啓蒙と改革 1760~1776年
第5章 限嗣封土権論争
—— ダリンプルとケイムズ卿
1 サー・ジョン・ダリンプルの『回顧録』
2 サー・ジョン・ダリンプルの『封建的財産権の一般史』
3 限嗣封土権論争の始まり
4 ケイムズ卿の限嗣封土権論
5 ケイムズの改革の具体案
6 大法官ハードウィックとスコットランドの改革
7 スコットランド弁護士会の法案
8 ダリンプルの反対論
9 ダリンプルの修正案
10 法案の帰趨とモンゴメリ法(1770年)
第6章 ルソーの衝撃と商業文明への懐疑
1 スコットランド啓蒙におけるルソー
2 ケイムズ卿とルソー —— 人間形成と教育
3 モンボドとルソー —— 人類と言語の起源
4 スミスとルソー —— 文明の批判と擁護
5 ファーガスンとルソー —— 堕落と発展
6 ミラーとルソー —— ラディカリズム
第7章 アメリカ問題と国制のアンバランス
1 スコットランド啓蒙とアメリカ問題
2 ケイムズとフランクリン
3 ヒュームとアメリカ問題
4 ヒューム-ストラーン論争(1770~76年)
5 晩年の発言と結語 —— ヒューム、タッカー、スミス
文献目録
索 引(人名および事項)
著者の既刊書
『マキァヴェリアン・モーメント』 J・G・A・ポーコック 著/田中秀夫・奥田 敬・森岡邦泰 訳
関連書
『ヒューム 道徳・政治・文学論集[完訳版]』 デイヴィッド・ヒューム 著/田中敏弘 訳
『イギリス思想家書簡集 アダム・スミス』 篠原 久・只腰親和・野原慎司 訳
『アダム・スミス 修辞学・文学講義』 アダム・スミスの会 監修/水田 洋・松原慶子 訳