書籍の内容
精密な人間科学を打ち立てようとしてヒュームが書き、欧米では現在も最も言及されることの多い 『人間本性論』 全巻を対象に、当時の政治・社会・思想状況をも射程に入れてその思想の全体像を描く。それはまた現代社会科学の脊梁たるモラル・サイエンスの形成を辿ることでもある。
書籍の目次
はしがき
凡 例
序 章 ヒュームのモラル・サイエンスを生んだもの
第1章 「知性論」 における哲学的論理
第1節 知覚の分析
第2節 因果性
第3節 懐疑論と自然主義
第2章 情念論とその意義
第1節 第2章での目標について
第2節 情念の分類
第3節 間接情念
第4節 直接情念
第5節 自由意志の問題
第6節 穏やかな情念
第7節 共 感
第8節 行為論
第3章 道徳論
第1節 道徳的感情
第2節 道徳的区別を構成する感情は、間接情念と密接な関係があること
第3節 道徳的是認は穏やかな情念である
第4節 人為的ならびに自然的な徳と悪徳の区別
第5節 正義は人為的徳である
補 章 インテルメッツォ
第4章 政治哲学
第1節 正義の概念
第2節 ヒュームの正義論
第3節 政 府
第5章 政治イデオロギー
第1節 歴史的状況 (1) —— トーリーとホイッグの成立
第2節 歴史的状況 (2) —— 宮廷派と在野派の成立
第3節 体制派ホイッグの防衛
第4節 ヒュームのイデオロギー
第5節 政府の基礎と世論
第6節 政党について
第7節 自由について
第6章 説明のヒューム的概念
第1節 『論集』 における説明概念
第2節 ヒュームにおける歴史は科学か
第3節 モラル・サイエンスの構造
第7章 ヒュームから何を学ぶか
文献表
事項索引
人名索引
関連書籍の紹介
『ヒューム 道徳・政治・文学論集 [完訳版]』 デイヴィッド・ヒューム 著/田中敏弘 訳