内 容
ルソーはほんとうに全体主義者なのか?—— ジュネーヴに生まれ自由な共和国市民としての思想と感情を吸収したルソーが、祖国における市民階級の政治闘争を背景に、自らの政治思想を結晶させた『社会契約論』。その誕生を歴史的コンテキストの中で捉え、人民主権理論に新たな光をあてる。
目 次
序 章 ジュネーヴ人ルソー
第1章 ジュネーヴ共和国の歴史と国制
1 歴史
2 国制
第2章 ルソーが見たジュネーヴの内乱
—— 1737年
第3章 2つの共和国
—— ジュネーヴとヴェネツィア
1 ルソーのヴェネツィア体験
2 ヴェネツィア —— 最悪の政体「世襲貴族政」
第4章 ルソーの「ジュネーヴ共和国への献辞」
1 再改宗と市民権の回復
2 「献辞」の執筆と公表
3 「献辞」とジュネーヴの民主政
第5章 18世紀ジュネーヴ市民階級の政治闘争
1 1707年 —— ピエール・ファティオの闘争
2 1731年 —— ミシュリ・デュ・クレとルニエの弾圧
3 1734~8年の動乱と『調停決定』
第6章 『調停決定』の批判的検討
——『山からの手紙』
1 総会主権と『調停決定』
2 人民主権の原理と応用
第7章 人民主権の理論構成
——『社会契約論』
1 契約と国家の起源 ——『人間不平等起源論』
2 契約による国家の設立 ——『社会契約論』
3 一般意志
4 人民と政府 —— 代議制批判
終 章 ジュネーヴ政府の弾圧とルソーの市民権放棄
あとがき
注
人名索引
関連書
『セレブの誕生』 アントワーヌ・リルティ 著/松村博史・井上櫻子・齋藤山人 訳