書籍の内容
「インディアン」 かつ 「市民」 という曖昧な法的地位におかれた20世紀前半のアメリカ先住社会をとりあげ、土地制度・法的身分・学校教育に関する施策とその背景を実証的に検討することで、「インディアン」 とすること/されることの意味を明らかにするとともに、「市民」 概念の歴史性・政治性を逆照射した力作。
書籍の目次
序 章
1 本書の主題
2 合衆国と日本における先行研究の特徴と本書の位置づけ
3 前史としての 「もう一つのコロニアル・ヒストリー」
第Ⅰ部 合衆国による併合と南西部先住社会
—— 19世紀後半~1910年代
第1章 「インディアン」 と 「市民」 のあいだ
—— 併合後の先住民政策とプエブロ社会
1 先住者の法的地位と土地制度
2 プエブロは 「インディアン」 か?
3 「変則的」 な法的地位への批判 —— 保留地の解体と同化教育論の浮上
4 異文化としての学校
第2章 「野蛮なトライブ」 から 「自活しているインディアン」 へ
—— 併合後の先住民政策とナヴァホ社会
1 故郷における再出発
2 「一対一の実地教育方式」 と学校教育制度の併存
第Ⅰ部 小 括
第Ⅱ部 先住民政策改革運動の高揚と南西部先住社会
—— 1920年代~30年代
第3章 「トライバル」 な組織・習俗をめぐる論争
—— 先住民政策改革運動とプエブロ社会
1 バーサム法案反対運動の高まり
2 「トライバルダンス」 論争の展開
3 全プエブロ評議会の役割
第4章 「玉虫色の法案」 とトライバル・ファンドをめぐる論争
—— 重要法案審議過程とナヴァホ社会
1 24年市民権法と 「インディアン」
2 石油発見と 「玉虫色の法案」 —— ヘイデン法案の争点
3 「白昼の強盗」 —— リー・フェリー橋建設費をめぐる論争
4 ナヴァホ評議会の創設
第Ⅱ部 小 括
第Ⅲ部 「インディアン・ニューディール」 と南西部先住社会
—— 1930年代~40年代
第5章 改革のモデルケース
—— 重点施策地域・プエブロ社会における諸改革の意義
1 「経済的・精神的リハビリテーション」 —— 再組織法案の審議過程
2 先住民の 「市民的・文化的自由」 とプエブロ社会
3 寄宿学校制度批判の高まり
4 「学校が伝える文化」 と 「民俗伝承に基づく文化」 の相克
—— サンタフェ寄宿学校における諸改革
第6章 「第二のロング・ウォーク」 の波紋
—— ナヴァホ社会における家畜削減政策と通学学校論争
1 家畜削減政策という試金石
2 ナヴァホ評議会の内部対立 —— チー・ドッジとJ・C・モーガン
3 寄宿学校対通学学校論争
第Ⅲ部 小 括
終 章
1 「インディアン・ネイション」 の位置づけ
2 「移民国家」 / 「開拓国家」 としての合衆国
3 カリフォルニア先住民 —— 否認の暴力
4 「インディアン」 と 「市民」 のはざまで
5 市民権概念の再検討
6 諸刃の剣としての 「インディアン」