内 容
アフリカ系アメリカ人への差別撤廃を求めた市民権運動は、合衆国南部から全米へと波及した。本書はこの闘争の全容を、著者自身による現地での聞きとり調査や一次史料の検討を通じて、前史・後史を含め克明に描出。運動の果たした歴史的意義をアメリカ社会全体の中で位置づける労作。
目 次
プロローグ
第Ⅰ部 過渡期の地域闘争
—— 1950年代から60年代へ
第1章 ボイコットから「座り込み」へ
—— 始動する一連の地域闘争としての南部市民権運動
はじめに
1 「下から」の運動高揚の諸前提
2 モントゴメリー闘争の意義(1955年12月~56年12月)
3 アトランタにおける「座り込み」闘争(1960年2月~61年9月)
むすびに代えて —— ケネディ政権の門出と運動の新たな方向性
第2章 「リトルロック学校危機」事件
—— 1950年代後半におけるもうひとつの「下から」の運動
はじめに —— 再解釈の試みの中で
1 ブロッサム計画
2 暴動からいじめへ
3 学校閉鎖と中産階級白人女性の反撃
4 黒人闘争の第二段階と州政治再適合過程
むすびに代えて —— リトルロック事件の歴史的位置
第3章 「閉鎖社会」ミシシッピの胎動
——「自由の夏」の歴史的前提
はじめに
1 第二次世界大戦後の自生的運動
2 COFO
むすびに代えて ——「自由の夏」へ向けて
第Ⅱ部 南部地域闘争の高揚
—— 動員と組織化をめぐって
第4章 オールバニー運動と持続的地域闘争
——「挫折」神話の検証
はじめに —— 誰にとって「失敗」だったのか
1 長い前史と新たな時代の息吹
2 第一局面
3 闘争再燃
「後史」—— 歌とともに受け継がれる精神
第5章 バーミングハム闘争と複数の合意文書
—— 地域社会の自主的解決努力と連邦政府の役割
はじめに
1 闘争前史
2 「プロジェクトC」
3 収拾過程
4 物語は終わらない
むすびに代えて —— 複数の合意文書の意味すること
第6章 「自由の夏」とミシシッピ自由民主党の挑戦
—— 州全土に拡大した市民権地域闘争の成果検証の試み
はじめに
1 「自由の夏」
2 アトランティックシティ
3 持続的地域闘争への苦闘
むすびに代えて —— 60年代を超えて
第Ⅲ部 「事実上の」隔離との闘い
——「ブラック・パワー」から真の自立化の模索へ
第7章 「シカゴ自由運動」と市民権運動の変容
—— マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの北部での地域闘争
はじめに
1 前史 —— キングの招聘へ
2 ゲットー組織化の困難
3 「頂上合意」へ
むすびに代えて —— 教育と雇用の改善を求めて
第8章 ボストンの「バス通学」命令をめぐって
—— 法廷闘争への回帰による地域的解決の試みとその限界
はじめに ——「失敗」神話の再検討へ向けて
1 「モーガン 対 ヘニガン」裁判
——「人種」間で乖離する「統合」の意味
2 郊外と都心部
むすびに代えて ——「共通の基盤」を求めて
第9章 「その後」の地域闘争
—— 法廷闘争への回帰、南部の「北部化」、そして黒人自立化運動
はじめに
1 シカゴ闘争の遺産
2 南部の「北部化」
むすびに代えて —— ミシシッピから見えるアメリカの現状と未来
エピローグ
あとがき
註
参考文献一覧
付 録
市民権運動関係年表
付 表
略語一覧
索 引