内 容
彼らはなぜ「U・S・A!」と叫ぶのか ——。ヴェトナム戦争時の暴動からWTCの再建現場まで、その「愛国主義的」な行動が注目されてきたニューヨークの建設労働者たち。インタヴュー資料をもとにその生活世界を内側から解明し、人種やジェンダーの境界が揺らぐ世紀を生きた人々の実像に迫る。
目 次
序 章
1 本書の問題関心 —— 労働生活への注目
2 先行研究について
第Ⅰ部 ニューヨークに生きる建設労働者
第1章 建設労働者の形成と公権力・資本との関係
1 ニューヨークと建設労働者
2 建設労働と公権力
3 建設労組と民間資本の関係 —— ニューヨーク・プランの存在
第2章 建設労働者の労働生活 —— つくられる絆
1 位階制組織としての熟練工労組
2 労働者の絆と誇り —— 縁故主義、見習い制度、労働現場の日常
3 「男らしさ」の文化
第3章 建設労働者とコミュニティ
1 家族・コミュニティ生活における建設労働、組合の存在
2 よりよき暮らしを求めて —— 教育への渇望
3 労働者の生活世界とコミュニティ ——「電気工の街」エレクチェスター
第4章 労働者の日常生活と宗教
1 イエズス会とニューヨーク労働運動 —— 労働学校の創設とその特徴
2 教区学校と労働者の精神世界
第Ⅱ部 揺らぐ境界、固執される秩序
第5章 押し寄せる変化の波 —— 技術革新、公民権運動、分散化
1 熟練技術への脅威 ——「オートメーション」の時代
2 変貌する熟練工の街 —— ブルックリン海軍造船所の閉鎖
3 公民権運動の高揚と建設労働
第6章 固執される秩序 —— 熟練工として
1 高まる批判、揺れる境界
—— 連邦政府のスタンスとフィラデルフィア・プラン
2 ニューヨークでの攻防 —— リンジー市政と建設労組
3 改訂フィラデルフィア・プランの登場とニューヨーク・プランをめぐる攻防
4 拡がる混乱、激化する対立 —— ヴェトナム戦争とニューヨーク
5 ハードハット暴動とニューヨーク・プランの結末
6 ニューヨーク・プランと建設労働者の論理 —— 秩序、境界への固執
第7章 守られる境界、守るべき境界
1 進む建設労組の影響力低下
2 煩悶する建設労組 —— 自壊と変革の狭間で
3 熟練工を目指して —— 女性たちの闘いとその波紋
4 「侵された境界」—— 労働現場での境界線をめぐって
5 建設労働の論理 —— 秩序への固執と変化の兆し
6 ジェンダーの境界、人種の境界
終 章
1 「当為としての秩序」と権力 —— 本書のまとめ
2 9・11 —— 世界貿易センタービルの倒壊と建設労働者の「愛国主義的」行動
3 世界貿易センター再建の現場から見えるもの
あとがき
注
参考文献
図表一覧
索 引
受 賞
書 評
『アメリカ太平洋研究』(第17号、2017年4月、評者:佐藤千登勢氏)
『アメリカ研究』(第51号、2017年3月、評者:横山良氏)
『みすず』(第656号、2017年1・2月合併号、評者:生井英考氏)
『経営史学』(第51巻第3号、2016年12月、評者:上野継義氏)
『史学雑誌』(第125編第8号、2016年8月、評者:立林奈々子氏)
『日本労働研究雑誌』(第672号、2016年7月、評者:熊沢誠氏)