内 容
際限ない宗教抗争の可能性をどのように抑止しうるのか? 従来ほとんど論じられてこなかった宗教論の徹底的解読を軸に、ホッブズにおける近代国家論の誕生を指し示す。自然状態論などの通説的理解を排し、『リヴァイアサン』の新たな全体像に迫る画期的労作。
目 次
序 論
1 なぜいま『リヴァイアサン』か —— 近代政治思想史と現代
2 研究史の特徴と問題
(1)欧米の研究史
(2)日本の研究史
3 『リヴァイアサン』解釈の方法
第Ⅰ部 『リヴァイアサン』の歴史的コンテクスト
—— ホッブズの実践的課題
はじめに
第1章 政治思想家としての出発 1588-1640
1 マームズベリそしてオックスフォード大学
2 キャヴェンディッシュ家とトゥキュディデスの翻訳
3 幾何学との出会いと『法の原理』
第2章 フランス亡命と名声の確立 1640-1651
1 デカルトとの対決
2 『市民論』と自由意志論争
3 革命と『リヴァイアサン』
第3章 論争の時代 1651-1660
1 エンゲイジメント論争
2 神義論と政治学
3 『物体論』と数学論争
第4章 王政復古そして知識人としての使命 1660-1679
1 『リヴァイアサン』ラテン語版と『ビヒモス』
2 知識人としての使命
おわりに
第Ⅱ部 『リヴァイアサン』におけるホッブズの思想世界
—— テクストの理論的性格
はじめに
第1章 ホッブズの人間学と政治学
1 ホッブズの意志論
(1)リヴァイアサンの人間学=意志論
(2)感覚と意志
(3)良心と理性
2 必然的な意志と国家
(1)自然状態
(2)自然法と自然権
(3)信約と国家
第2章 社会契約論とキリスト教の政治学
1 ホッブズとフッカー
(1)フッカーとホッブズ —— 社会契約論の一系譜として
(2)フッカーのアングリカニズム
(3)ホッブズの社会契約論 —— 受動的服従と国家の二類型
2 リヴァイアサン —— 政治と宗教の問題に対するホッブズの解決策
(1)「神の王国」論
(2)主権的預言者
(3)暗黒の王国
(4)『リヴァイアサン』ラテン語版と三位一体論
おわりに
結 論
あとがき
注
文献目録
ホッブズのテクストについて
人名索引
事項索引
書 評
【讀賣新聞書評】
【讀賣新聞・2005年お薦めの3冊】