内 容
光と影から見た日本映画史 ——。それは伝統ではなかった! 『陰翳礼讃』以前、日本映画は「明るさ」に価値を求めていた。では「影の美学」はどのように現れ、展開し、伝統となったのか。照明のテクノロジーに注目し、トランスナショナルな視点から新たな日本映画史を描く。
【ALL REVIEWS】『キネマ旬報』書評(2019年10月下旬号、第1822号、評者:北村匡平氏)
目 次
凡 例
序 章 影の美学とは何か
第1章 照明と資本主義
—— 松竹とハリウッド
ハリウッドから来た男
蒲田調とパラマウント調
—— ラスキー・ライティングからスリーポイント・ライティングへ
『情の光』
見やすさと表現の豊かさ —— 新派とハリウッド
「一ヌケ」のスローガンと蒲田調
合理化 —— 松竹の資本主義と近代化
スターの照明法
第2章 刀の閃きとスターの輝き
—— 松竹と時代劇
時代劇の誕生と刀の閃き
伊藤大輔の時代劇
明るく楽しい松竹時代劇映画
林長二郎、彗星の如く現る —— 時代劇と女性観客
セクシーな時代劇映画へ —— 新しいプロモーションと照明
対話とフォトジェニー
—— 林長二郎のスター・イメージと新しい映画観客
第3章 ストリート映画
—— 松竹とドイツ
『十字路』—— 松竹の「不純な調和」、時代劇、ストリート映画
光で殺す
蒲田の街
発光する手
視覚について
視覚の光と触覚の光
蒲田調の復活
第4章 影の美学
—— 松竹、東宝、日本
闇の奥へ —— 林長二郎から長谷川一夫への変身
黒の凱歌 ——『婦系図』と『川中島合戦』
ハリウッド映画のロー・キー・ライティングの賞賛
写実的精神と日本の崇高
“ハリー”・三村明 —— ハリウッド帰りの東宝の男
終 章 宮川一夫の映画撮影
日本の美を伝える
「影の美学」の実現 —— 第二次世界大戦期
「影の美学」の再検討 —— 第二次世界大戦後
日本映画と照明
注
訳者あとがき
参考文献
図版一覧
索 引
書 評
『キネマ旬報』(2019年10月下旬号、第1822号、評者:北村匡平氏)
『図書新聞』(2019年10月19日号、第3419号、評者:板倉史明氏)