内 容
二重国籍者や移民女性から黒人・コリア系まで、モデル・マイノリティの物語からこぼれ落ちる者たちは、日系コミュニティといかに交わり、何を残したのか。戦時強制収容のインパクトや出身国日本との関係にも新たな解釈を与え、国境・人種をこえた多層的な語りをもとに歴史像を刷新する。
目 次
序 章
第Ⅰ部 戦前期の「在米同胞」コミュニティ
第1章 人種主義を翻訳する
—— 排日運動期における「在米同胞」コミュニティの形成
はじめに —— 人種主義とヴァナキュラーな認知
1 「民族」への置換 —— 交錯するネーション、エスニシティ、人種
2 「人種」を抱きしめて —— 日系移民にとっての人種的世界観
3 「同胞」—— 人種主義に対峙するコミュニティ
おわりに
第2章 太平洋を往復する「日本女性」
—— 山田わかのジェンダーとナショナリズム
はじめに —— 山田わかのアメリカ
1 「アラビヤお八重」の救出と初期日系コミュニティ
2 「新しい女」の時代 —— 太平洋の両岸から
3 山田わかと移民ナショナリズム —— 1937年のアメリカ再訪
おわりに —— 山田わかの越境と隘路
第Ⅱ部 コミュニティ経験としての戦時強制収容と再定住
第3章 鉄条網のなかのコミュニティ
—— 戦時強制収容と日系人社会
はじめに —— 強制収容は日系コミュニティをどう変えたのか
1 「アメリカン・コミュニティ」との遭遇
2 協力・暴動・隔離 ——「コミュニティ」との対峙
3 「エスニック・コミュニティ」への帰還
おわりに —— 均質なエスニック・コミュニティへ?
第4章 エスニックな場所、多人種の痕跡
—— リトルトーキョー/ブロンズヴィルの軌跡
はじめに —— リトルトーキョーの「再建」?
1 再定住期リトルトーキョーの「新陳代謝」
2 ブロンズヴィルの周縁化
おわりに —— エスニック・コミュニティ史への縮減
第Ⅲ部 冷戦期における「モデル・マイノリティ」の誕生
第5章 新しい移動の時代
—— 戦後日米関係の再編と在米日系人社会
はじめに ——「出移民国」日本の再来
1 1952年体制の確立 —— 日米間の出入国と国籍の管理
2 1952年体制における日本からの新しい移民
3 新しい移動を支えたイデオロギーと人種主義
おわりに
第6章 国家反逆者の遺産
—— 1950年代前半における国籍と市民権の政治
はじめに —— 日系コミュニティと二重国籍者
1 トモヤ・カワキタ反逆罪裁判
2 国籍確定のエスニック・ポリティクスとその困難
3 日系コミュニティはカワキタ裁判をどう受け止めたのか
おわりに —— カワキタ判決とコミュニティの越境性
第7章 多人種都市における「日系アメリカ人」への撤退
—— 1950年代後半の国際主義とその困難
はじめに —— 人種関係のなかの日系コミュニティ
1 多人種コミュニティへの市民的参画と冷戦期公民権
2 日系コミュニティのトランスナショナルな拡張
3 「日系アメリカ人」とめぐる折衝
おわりに ——「モデル・マイノリティ」像とコミュニティの現実
第Ⅳ部 アジア太平洋時代のロスアンジェルスと日系コミュニティ
第8章 リトルトーキョー再開発における越境と抵抗
—— 日本企業と多人種コミュニティ
はじめに —— 再開発という「危機」
1 越境的な再開発構想と経済ナショナリズム
2 もう一つの再開発計画 —— アジアメリカ社とその挫折
3 越境的な再開発計画の行き詰まり
おわりに —— 越境型再開発の成果と課題
第9章 トランスパシフィック・リトルトーキョー
—— 環太平洋時代の日本化と企業家多文化主義
はじめに —— ポスト大規模再開発時代のコミュニティ企業家
1 ジャパニーズ・ヴィレッジ・プラザと「草の根」コミュニティ
2 「日本化」するリトルトーキョー —— 太平洋時代の日系エスニシティ
3 拡張するモデル、潜在する植民地主義
おわりに —— 開かれたコミュニティの条件
終 章
あとがき
註
文献一覧
索 引
書 評
朝日新聞(2025年12月27日付、読書欄特集「今年の3点」、評者:保阪正康氏)





