内 容
学術雑誌の歴史から、科学のあり方を問い直す ——。科学ジャーナルはいつ誕生し、いかにしてその地位を確立したのか。科学者はなぜ論文を投稿するようになったのか。19世紀イギリス・フランスの学協会やメディアを中心に、商業化、オープン化、査読、不正など現代の学術ジャーナルにも通ずる課題の根源を解き明かす。
著者紹介
アレックス・シザール (Alex Csiszar)
ハーヴァード大学科学史科教授。本書が初の単著。現在は,次著 Rank and File: From the Literature Search to Algorithmic Judgment(予定)を鋭意執筆中。
(所属等は邦訳初版第1刷発行時のものです)
目 次
序 章 「ばらばらの事実の破片」
第1章 雑誌とアカデミーの判定
オルデンバーグの計画の誕生と衰退
梗概と書簡
オーサーシップと毎月あらわれる貧しき熱狂者
転載、およびその他のきわめて不適切な行為
第2章 公開会合
会議録の誕生
代表の政治学 —— 自由主義の新聞・雑誌と科学アカデミー
ジャーナリスト対報告者
祭壇に対抗して祭壇を作る
第3章 著者と査読者
オーサーシップと区分
判定方法の試行錯誤
読書する公衆と公的な読者
公的な権威から匿名の査読者へ
第4章 発見、出版、知的財産
日付を特定するために
科学史の書き方
開かれた科学の地政学
第5章 科学論文とはなにか
19世紀中盤の逐次刊行
印刷、名称、自然誌
科学論文と境界
第6章 19世紀末のアクセスの空想
科学の脱中央集権化
科学の定期刊行物の機構
世界システム
終 章 インパクトのある話
謝 辞
解説(伊藤憲二)
訳者あとがき
注
略語一覧
図版一覧
索 引
書評等
『情報の科学と技術』(第74巻第9号、2024年9月、評者:池田貴儀氏)
科学技術社会論学会ウェブサイト(2024年5月3日公開、評者:調麻佐志氏)
『週刊読書人』(2024年6月7日号、第3542号、評者:鶴田想人氏)
関連書
『リヴァイアサンと空気ポンプ』 スティーヴン・シェイピンほか著/吉本秀之 監訳/柴田和宏・坂本邦暢 訳
『客観性』 ロレイン・ダストンほか著/瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪 訳
『近代科学のリロケーション』 カピル・ラジ 著/水谷 智・水井万里子・大澤広晃 訳
『アインシュタインの時計 ポアンカレの地図』 ピーター・ギャリソン 著/松浦俊輔 訳
『ニュースピークからサイバースピークへ』 スラーヴァ・ゲローヴィチ 著/大黒岳彦 訳/金山浩司 校閲・解説