内 容
都市化・産業化が進み、生命に関する新たな学問が発展するなか、人と動物の関係も大きな転機を迎えた。科学振興を目指すロンドン動物園の展示から、虐待・実験をめぐる社会的論争、進化論とグローバルな採集に基づく「生物多様性」の誕生まで、現代にいたる動物観の形成を解き明かす。
目 次
序 章 ペンギン、空を翔ぶ
動物史とは何か
本書の構成
術語と訳語
第Ⅰ部 動物の可視化と主題化
第1章 黎明期の動物園
はじめに
1 動物園の誕生
2 都市の中のユートピア
3 動物学の制度化
おわりに
第2章 収集、展示、馴致
はじめに
1 劇場型の展示空間
2 実在した幻獣
3 オリエンタリズム
おわりに
第3章 科学とカネ
はじめに
1 動物学会の再編
2 遊園地化する動物園
3 動物園の公共性とは
おわりに
第Ⅱ部 人と動物の相互関係
第4章 銃を握れない牛のために
はじめに
1 法制化のはじまり
2 マーティン法の成立
3 二分された世論
おわりに
第5章 幸福な家族
はじめに
1 猫と鼠の友愛
2 ケージの中の社会実験
3 変貌する家族像
おわりに
第6章 進化論の被造物
はじめに
1 ダーウィンの感情研究
2 動物が流す涙
3 植物に通う神経
おわりに
第Ⅲ部 人新世の動物種
第7章 気候に挑む
はじめに
1 気候馴化の理論と実践
2 ヒマラヤからハイランドへ
3 帝国の大いなる遺産
おわりに
第8章 生物多様性の起源
はじめに
1 動物地理区の設定
2 分類体系の標準化
3 何のための採集か
おわりに
終 章 雪原のキリン
あとがき
注
参考文献
図表一覧
関連書
『近代科学のリロケーション』 カピル・ラジ 著/水谷 智・水井万里子・大澤広晃 訳
『客観性』 ロレイン・ダストン,ピーター・ギャリソン 著/瀬戸口明久・岡澤康浩・坂本邦暢・有賀暢迪 訳