内 容
西洋史上の画期をなすピピンの即位とカールの皇帝戴冠。彼らの血を引く王たちの覇権争いの下、中世世界は本格的に姿を現す。「自由なる民」の興亡をたどる初の通史の最終巻。本巻では、王権の動向を軸に、経済的・軍事的変革やキリスト教規範の浸透、新勢力の台頭を世界史的視座から見届ける。
目 次
カロリング朝系図
はじめに
第1章 ピピン3世の国王即位
1 カルロマヌスの修道誓願
2 ピピンの選択
3 ピピンの外征と教会改革
4 カロリング貴族の生成
第2章 カロリング朝の確立と国王カール
1 ランゴバルト王国征服とスペイン遠征
2 王国の再組織化と王朝の確立
3 カールを取り巻く人々
第3章 カロリング朝の社会機構とカールの皇帝戴冠
1 西ヨーロッパを囲む外部世界
2 生産と流通の展開
3 戦争の形態と支配の紐帯
4 ビザンティン帝国の政変とカールの皇帝戴冠
第Ⅱ部 弛緩する王朝内部の統制力
第4章 ルートヴィヒ敬虔帝の危うさ
1 不意の相続人
2 早すぎた「帝国措置令」(817年)
3 帝国運営の新たな指向
第5章 帝国分裂への序曲
1 「宮廷反乱」とロタリウスの思惑
2 息子たちの反乱
3 最後の相続構想
第6章 兄弟支配体制の内破
1 ヴェルダン条約による王国分割
2 「友愛の体制」
3 三者体制の終焉
第7章 解体過程の揺らぎ
1 ルートヴィヒ・ドイツ王とシャルル禿頭王の対立
2 王国内における父子の政治的確執
3 シャルル禿頭王の見果てぬ夢
第Ⅲ部 権力継承勢力の布置
第8章 錯綜する支配継承
1 東西フランク王国の政治的交錯
2 カール3世肥満王の統治
3 レグナ理論の射程
第9章 領邦覇権の生成様式
1 9世紀最後の皇帝アルヌルフ
2 権力継承の展転
3 10世紀初頭のフランク王国
第10章 支配門閥間の権力ゲームとその結末
1 ラウルからルイ4世渡海王へ
2 大ユーグとルイ4世の宥和
3 カロリング血統の「断絶」
おわりに
主要門閥系図
あとがき
註
引用文献
図版一覧
索 引
『フランク史』(全3巻)
関連書
『西洋中世史研究入門[増補改訂版]』 佐藤彰一・池上俊一・高山 博 編