内 容
韓国政治を枠づけてきた憲法体制の変遷を日本ではじめて包括的に解明、激しい政治変動のなかでの憲法の試行錯誤を、民主と立憲をめぐる歴史的理解や憲法裁判所の役割からとらえるとともに、キャンドル・デモや政治の司法化として現れる民主主義の韓国固有のかたちにも迫る、渾身の成果。
目 次
凡 例
はじめに
序 章 韓国における「民主」と「共和」
はじめに
第1節 「民国」と「民本」主義
第2節 「民本」と「民主」
第3節 初期の「共和」の用法
第4節 韓国における共和制への転換
第5節 中国における「民国」
第6節 趙素昴の「民国」
おわりに
第1編 韓国における「民主共和国」のはじまり
第1編 はじめに
第1章 朝鮮・韓国における「議会設立」運動
はじめに
第1節 甲午改革における国制変化
第2節 日本の影響と開化思想
第3節 独立協会の活動
第4節 官民共同会の開催から独立協会の解散へ
おわりに
第2章 大韓帝国から大韓民国へ
はじめに
第1節 大韓自強会
第2節 新民会
第3節 大韓民国臨時憲法の制定と大韓民国臨時議政院
第4節 「大韓民国建国綱領」と趙素昴の思想
おわりに
第3章 戦後建国における議論
—— 建国時の「民主共和国」理解
はじめに
第1節 米軍政下における建国過程と憲法案
第2節 制憲国会における憲法の制定
第3節 憲法制定後の民主共和国像の変化
おわりに
第2編 南北問題と「民主共和国」
第2編 はじめに
第4章 分断と領土
はじめに
第1節 領土と統一の歴史的沿革
第2節 領土と統一をめぐる今日の憲法論上の議論
第3節 南北関係にかかわる国内法制
第4節 統一と「自由民主的基本秩序」
おわりに
第5章 韓国における国民概念
はじめに
第1節 戦後の国民概念形成
第2節 2010年の国籍法改正
第3節 国籍法に含まれる問題と国民概念との関係
第4節 在外国民と選挙権の問題
第5節 在外国民と国防の義務
第6節 兵役の義務と国籍離脱制限の問題
おわりに
第6章 韓国における統治の基本原理
——「自由民主的基本秩序」と国家保安法
はじめに
第1節 「自由民主的基本秩序」の意味
第2節 韓国民主主義の変遷
第3節 第4共和国の統治権と「反共」体制の強化
第4節 国家保安法の制定
第5節 国家保安法の改正と展開
第6節 「自由民主的基本秩序」と国家保安法
おわりに
第3編 現代における「民主共和国」の統治構造
第3編 はじめに
第7章 大統領制における国会の機能
はじめに
第1節 第2共和国以降の政治部門の変遷
第2節 今日の憲法における政府と国会の牽連関係
第3節 立法過程における特徴と近年の変化
第4節 「国会先進化法」以降の新たな問題
おわりに
第8章 政治部門と憲法裁判所
はじめに
第1節 憲法裁判所の権限
第2節 憲法裁判所の沿革
第3節 憲法裁判所の間接的法形成機能
第4節 韓国における政治の司法化
第5節 政治の司法化と権限争議
おわりに
第9章 大統領弾劾と憲法裁判所
はじめに
第1節 廬武鉉大統領弾劾訴追事件と憲法裁判所の審議基準
第2節 朴槿恵大統領弾劾訴追事件
第3節 大統領罷免の基準
第4節 弾劾審判の位置づけ
おわりに
第10章 政党解散と憲法裁判所
はじめに
第1節 統合進歩党の解散
第2節 統合進歩党解散決定に対する評価
第3節 政党をめぐる憲法規定の変遷
第4節 政党解散決定と政党解散条項のもつ意味
おわりに
第11章 憲法裁判所と「民主共和国」
はじめに
第1節 憲法裁判所決定と民主主義
第2節 憲法裁判所と「憲法」概念
第3節 「政治の司法化」についての韓国における理解
第4節 韓国の制度と「政治の司法化」の関係
おわりに
終 章 韓国における「民主共和国」の到達点とそのゆくえ
あとがき
初出一覧
索 引