内 容
科学的知識に社会的次元はどのように関わっているのか。—— 近年急速な発展をみた社会認識論を紹介しつつ、科学社会学と認識論のよりよい関係を構築するために何をすべきか、とりわけ社会学的な理論や知見を認識論や科学哲学にどのように生かすことができるかを丹念に考察した、気鋭による力作。
目 次
序 論 社会認識論とは何か
1 認識論の社会化への流れ
2 社会認識論的研究の具体例
3 本書の構成
第Ⅰ部 社会認識論のさまざまな形
第1章 科学知識社会学
1 科学知識社会学の見取り図
2 社会的構成の2つの種類
3 社会的原因アプローチ
4 社会的過程アプローチ
5 2つの「社会」概念の区別とSSKをめぐる論争
6 「もっと強いプログラム」
7 「もっと強いプログラム」の哲学的含意
第2章 記述的社会認識論
1 科学の進化論的分析
2 サッピの「認証プロセス」に関する分析
3 まとめ
第3章 規範的社会認識論
1 自然化された認識論から社会化された認識論へ
2 ゴールドマンの自然化された認識論
3 ゴールドマンの社会認識学
4 まとめ
第Ⅱ部 事例研究 —— 社会学の歴史から
第4章 戦後アメリカ社会学の理論的・方法論的多様化
1 社会学における実証主義と機能主義
2 構造機能主義の支配
3 実証主義の支配
4 構造機能主義の衰退
5 方法論の多様化
第5章 社会学者による自己評価の試み
1 グールドナーの分析
2 フリードリクスの『社会学の社会学』
3 リッツァーの3パラダイム論
4 その他の分析
5 社会学の多様性に関する自己評価
6 SSKからの視点
第6章 社会学の多様化の哲学的分析
1 ハルの理論の記述的含意
2 ハルの議論の規範的含意
3 サッピの分析の適用
4 ゴールドマンの分析と社会学の多様性
5 社会学の多様性のよりよいあり方への提言
6 社会学以外の分野への適用
第Ⅲ部 よりよい社会認識論へむけて
第7章 メタ認識論的分析
1 2つのアプローチの一般的性格
2 規範的アプローチへの記述主義からの批判
3 記述的アプローチに対する規範主義的批判
4 社会認識論の方法としての広い反照的均衡
5 メタ認識論的概念と社会学の多様化
6 まとめ
結 論
補 章 KKテーゼと懐疑主義
1 KKテーゼとその問題点
2 懐疑主義に対するサッピの批判
3 懐疑的議論のもう1つの解釈
4 伝統的懐疑主義とKKテーゼ —— ヒュームの懐疑主義を例にとる
5 PEHKKテーゼと認識論の運命
6 まとめ
あとがき
参照文献
索 引
書 評
【『日経サイエンス』10月号】
著者の既刊書
『誇り高い技術者になろう[第2版]』 黒田光太郎・戸田山和久・伊勢田哲治 編
『科学技術をよく考える』 伊勢田哲治・戸田山和久・調 麻佐志・村上祐子 編