内 容
メディア企業の生き方とは ——。言論によって民主主義に奉仕すると同時に、私企業として資本主義のなかで動くジャーナリズム。戦後フランスに生まれ、サルトルはじめ知識人を結集する一方、市場で稀有な成功を収めたニューズマガジンの歴史を、変容する社会とともに捉え、その思想と身体を見つめた俊英の力作。
目 次
凡 例
はじめに
第Ⅰ部 ニューズマガジンの誕生(1964~72年)
第1章 言論誌による倫理の探求
——『フランス・オプセルヴァトゥール』について
1 1963年の冬、1964年の秋
2 廃刊の諸原因
3 ジャーナリズムの市場
第2章 『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の創刊
1 『レクスプレス』の変化 —— ニューズマガジンの誕生
2 『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』創刊の基礎的条件
3 メディア企業の自立という問い —— 政治的自立と経済的自立
第3章 言論誌の再定義
1 「日常生活の政治化」と新たなジャーナリズム
2 収益構造の変化
3 68年5月を超えて —— 言論誌とニューズマガジンのあいだで
第Ⅱ部 『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の成功(1972~81年)
第4章 フランス社会の変容とジャーナリズム
1 社会運動への政治参加
2 プレス企業としての成長
3 ニューズマガジンの市場拡大
第5章 組織としてのル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール
—— ネットワークの拡大
1 『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の読者と知識人
2 『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の政治的・文化的影響
3 プレス企業と政党の関係
第6章 統御されない成功
1 多角的経営の試み
2 新聞の創刊 ——『ル・マタン・ド・パリ』について
3 変調の予兆
第Ⅲ部 危機と発展(1981~95年)
第7章 危機の時代
1 『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の動揺
2 『ル・マタン・ド・パリ』の栄光と挫折
3 財政危機の諸要因
第8章 政治的・経済的自立の再設定
1 編集部門の再組織化
2 危機についての考察
3 危機の克服
第9章 メディア企業の特質
1 編集の変化と一貫性
2 『ル・ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』の事業展開
3 不動の地位
おわりに
あとがき
初出について
注
参考文献
図表一覧
略語一覧
索 引
受 賞
書評等
『西洋史学』(第274号、2022年12月、評者:長野壮一氏)
『経営史学』(第57巻第3号、2022年12月、評者:矢後和彦氏)
読売新聞(2021年11月10日付、渋沢・クローデル賞受賞関連記事)