内 容
「知」が問い直される時代に ——。教養と学問が関係することは、実は自明ではない。教養とは何か。また学問と思想はどのように関わるのか。知識人として、学者として、丸山が発し続けた問いと思考の展開を、遺された言葉の総体から精緻に読み解き、「丸山論」をこえて現代日本に提示。
目 次
凡 例
はじめに
第1章 戦後の学問と知識人
第1節 知識人と政治
a インテリとファシズム —— お化粧的なヨーロッパ的教養
b インテリ像の変容
第2節 心情倫理と教養主義
a 抵抗の思想
b 2つの教養主義
第3節 実践との緊張関係
a 文化から政治へ —— 知識人の戦略
b 社会的使命
c 実践の方法論的地平
第4節 アカデミズムとジャーナリズム
a 『現代政治の思想と行動』
b 学者・知識人・市民
第2章 欧化問題から原型へ
—— イデオロギーと「思想史」
第1節 内発性
a 麻生義輝書評
b 内発性からの脱却 ——「日本の思想」
第2節 天皇制の病理現象から「原型」へ
a 日本の普遍的病理現象
b 内発性論批判
c 〈原型-原型突破の原理〉
第3節 和辻哲郎との対質
a 学問とイデオロギー
b 和辻哲郎と原型論
第3章 丸山の欧化主義
——「思想」としての原型突破
第1節 イデオロギー鎖国から「精神的」鎖国へ
a 「御製」の思想 —— 天皇制の欧化主義
b 戦後の鎖国
第2節 原型的思考様式とその克服
a 精神的鎖国から原型的思考様式へ
b 主体的決断
c 普遍主義の行方
第4章 欧化論と教養思想
第1節 大正教養主義
a 原点 —— 阿部次郎
b 和辻哲郎の欧化論
第2節 法学部教養派と丸山
a 南原繁・田中耕太郎の欧化論
b 戦中・戦後の丸山
第3節 南原繁の影響と確執
a 南原政治哲学
b 日本と世界 —— 欧化論
第5章 知識人から学者へ
—— 撤退の構造
第1節 「しつけ」と「型」
a 江戸の再評価
b 秩序と形式
c 文化と型
第2節 遊びとしての学問
a 「遊び」の意味
b 「変革」から「面白さ」へ
c ふたたび「知識人と学者」
第3節 教育の社会的使命
a 社会教育
b 学問の民衆化、もしくは民衆の学問化
c 丸山塾 —— 教養思想の伝道
註
あとがき
人名・書名索引
書 評
『アステイオン』(第92号、2020年6月、評者:苅部直氏)
『みすず』(2020年1・2月合併号、読書アンケート特集、評者:上山安敏氏)
『週刊読書人』(2019年11月29日号、第3317号、評者:山辺春彦氏)
『図書新聞』(2019年10月12日号、第3418号、評者:都築勉氏)