内 容
何を守り、何を見直していけばよいのか ——。なしくずしの政策追随に陥る大学。なぜこんなことになっているのか。価値や理念や規範をめぐる議論を避けることなく、教育の質、評価、学問の自由など具体的なトピックを通して、よい改革論とダメな改革論を区別し、大学が公共的な役割を果たし続けられる道を拓く。
目 次
はじめに
Ⅰ 総 論
第1章 日本の大学とグローバリゼーション
はじめに
1 グローバリゼーションの衝撃
2 「大学教育の質」をめぐる日本的文脈
3 方向性を見失う「質」
おわりに
Ⅱ 大学の組織と教育改善
第2章 大学の組織と機能
はじめに
1 「進まない改革」それとも「果てしない改革」?
2 大学という奇妙な組織
3 4つのレベルと対立・葛藤
4 大学の機能をとらえ直す
おわりに
第3章 大学教育の改善・改革をどう考えるか
はじめに
1 大学の学校化をどう超えるか
2 職業世界との関係の変容
おわりに
Ⅲ 大学の分野別教育の質保証をめぐって
第4章 大学教育の質保証をどう考えるか
—— 政策と現場との間
はじめに
1 「大学教育の質保証」が出てきた経緯と問題点
2 質保証をどう考えるか
3 何をするべきか
おわりに
第5章 第一線大学教員はなぜ改革を拒むのか
—— 分野別参照基準の活用について
はじめに
1 分野別参照基準と評価
2 「役に立たない」という認識
3 質保証の政治的性格
4 同僚との話し合いの困難さ
5 参照基準の有効活用に向けて
Ⅳ 評価の問題
第6章 教育研究の評価をどう考えるか
はじめに
1 評価が不可欠になってきた文脈
2 評価のあり方を見直す視点
3 評価の目的と手段をめぐる混乱
4 選択と自律性の必要
おわりに
第7章 評価に関する議論の整理と今後の課題
はじめに
1 誰が何のために評価するのか
2 何をどのように評価するのか
おわりに
Ⅴ 学問の自由と大学の自律性
第8章 ポスト「教授会自治」の時代における大学自治を考える
はじめに
1 教授会自治の時代の終わり
2 自治を手放してはいけない理由
3 自治をあきらめない
おわりに
第9章 学問の自由と政治
—— 自由な社会のために
はじめに
1 国会でのおかしなやり取り —— 問題の発端
2 教育目標規定の乱用
3 歯止めを無視
4 「適切に」ということの不適切さ
5 税金で賄われているから言うことをきけ?
6 たかが式典?
7 国旗・国歌問題とネオリベラルな大学改革
おわりに —— 学問の自由が社会の自由を支える
Ⅵ これからの社会と大学
第10章 技術革新が描く社会と大学
—— その性格を問い直す
はじめに
1 大学の知と社会的有用性
2 第四次産業革命論と日本の Society 5.0論
3 未来投資会議における大学教育論
4 見落とされている諸問題
5 民主主義と文化という社会的有用性に向けた大学 —— 結論に代えて
あとがき
図表一覧
索 引
書 評
朝日新聞(2023年7月8日付、書評欄「ひもとく」、評者:石原俊氏)
『教育學雑誌』(第57号、2021年3月、評者:間篠剛留氏)
『教育学研究』(第87巻第3号、2020年9月、評者:夏目達也氏)
『IDE現代の高等教育』(2020年6月号、第621号、評者:羽田貴史氏)
『図書新聞』(2020年4月11日号、第3443号、評者:崎山直樹氏)
『週刊エコノミスト』(2020年1月28日号、評者:服部茂幸氏)
毎日新聞(2019年12月8日付、読書欄特集「2019 この3冊」、評者:内田麻理香氏)
著者の既刊書
『士族の歴史社会学的研究』 園田英弘・濱名 篤・廣田照幸 著