内 容
研究者・専門職双方の輩出で世界をリードするアメリカの高等教育は、どのように支えられているのか。大学院を動かす仕組みとお金の実態を、インタビュー調査や文献から見通しよく整理。その多様性に富んだあり方を初めてトータルに解き明かす待望の書。
目 次
はじめに
第Ⅰ部 本書の枠組み
序 章 多様な大学院教育の基盤を探る
1 問題意識・目的・課題
2 研究の枠組み
3 研究の方法と本書の構成
第1章 大学院教育の多様性の系譜と学位
1 大学院教育の多様性の系譜 —— 研究者養成と専門職養成
2 研究学位と専門職学位 —— 教育機能上の分類
3 その他の学位分類 —— 学位名称による分類/専門分野による分類
4 研究学位と専門職学位の対比の妥当性と限界
第Ⅱ部 アメリカの大学院の概要
第2章 大学院の成立
—— 研究者養成と専門職養成の双方の観点から
1 研究者養成と専門職養成の両方から大学院成立を捉える
2 19世紀前半までのアメリカ —— 大学院形成の第1段階(助走段階)
3 研究者(Ph.D.)養成の組織化 —— 大学院形成の第2段階
4 伝統的専門職養成の大学院化 —— 大学院形成の第3段階①
5 新たな専門職養成の拡大 —— 大学院形成の第3段階②
6 アメリカ的ユニバーシティと大学院
第3章 アメリカの大学院のマクロな枠組み
1 量的にみた現在の大学院のマクロ構造
2 現在までの大学院の拡大プロセス
3 大学院教育の国際化
4 大学院教育の質と量の調整に関わる制度・組織
5 高等教育システムの階層構造と大学院
6 大学院のマクロ構造
第Ⅲ部 研究大学の大学院の組織的基盤
第4章 スクールの二元モデル再考
1 文理大学院とプロフェッショナル・スクールという「二元モデル」
2 スクールと学位プログラムの対応関係
3 限定的な「二元モデル」
第5章 大学組織と大学院
1 大学を構成する基本的な組織 —— カレッジとスクール
2 カレッジやスクールを構成する基本組織 —— プログラムとデパートメント
3 大学院のスクール —— 3種類の「グラジュエト・スクール」
4 大学組織の多様性
第6章 機関レベルの大学院管理
1 全学的な大学院管理方式の3パターン
2 全学的な大学院管理組織の守備範囲
3 大学院教育に対する大学の関与のパターン
4 全学的な管理組織と個別スクールの役割分担
5 全学的な大学院管理の構造と直面する問題
第7章 スクール・レベルの大学院教育の組織と運営
1 大学院プログラム運営の分析枠組み
2 スクール別にみた大学院教育の運営
3 大学院プログラム運営のパターンとその規定要因
4 大学院プログラム運営における研究学位と専門職学位との違い
補 論 スクールにおける多様性への組織的対応
—— マトリクス組織
第Ⅳ部 研究大学の大学院の経済的基盤
第8章 大学院教育の財源と資金の流れ
—— スクールの重要性
1 大学院教育の経済的基盤の把握の難しさ
2 資金のフロー
3 スクールの財務運営の自律性
4 スクールに集まる大学院教育の資金
第9章 大学院プログラムの経済的基盤
1 大学院教育の経済的基盤を分析する枠組み
2 スクールの財源内訳の大まかな特徴
3 スクール別にみた大学院プログラムの経済的基盤
4 大学院プログラムの多様性
第10章 大学院教育の経済的基盤の特徴
1 大学院生への経済的支援
2 研究経済と専門職経済
3 分権的な大学院運営
4 多様な内部補助
第11章 スクールの大学院経営
1 スクールの大学院経営の4モデル
2 スクールの大学院経営のパターン
3 バランスを調整するメカニズム
4 多様性を支えるスクール
終 章 大学院教育の基盤の変化と日本への示唆
1 研究大学における大学院教育とその組織的・経済的基盤
2 変化する大学院教育とその社会的基盤
3 日本の大学院を考えるために
注
参考文献
あとがき
索 引
書 評
『IDE 現代の高等教育』(第572号、2015年7月号、評者:福留東土氏)
『比較教育学研究』(第50号、2015年、評者:江原武一氏)
リクルート「カレッジマネジメント」(2014年9・10月号、評者:潮木守一氏)