内 容
18歳の女性が誘拐・殺害された「三面記事」事件。だが、大規模な捜査と政治の介入によって、それはスキャンダラスな国家的事件となった。作者=歴史家は自ら調査を進め、被害者の生の物語を語り始める。そこから明らかになる「真実」とは ——。メディシス賞、ル・モンド文学賞受賞作。フランスでテレビドラマ化。
著者紹介
イヴァン・ジャブロンカ
(Ivan Jablonka)
1973年生まれの歴史家・作家。現在、パリ第13大学教授。『私にはいなかった祖父母の歴史』(2012年)によりギゾー賞、オーギュスタン・ティエリ賞、歴史書元老院賞を受賞。本作『歴史家と少女殺人事件 —— レティシアの物語』(2016年)は文学的な観点からも高く評価され、メディシス賞、ル・モンド文学賞を受賞。ほかの著作に『歴史は現代文学である』(2014年)、『公正な男性』(2019年)など。
目 次
1 ジェシカ
2 不在現場
3 カッターを突きつけられた母子
4 ル・カスポ
5 隅っこのパパ
6 「一縷の望み」
7 言葉なき子供時代
8 誘拐致死
9 判事の前の二人の少女
10 特別な一日
11 「傾斜屋根のある」家
12 近親者と歩み寄る者たち
13 デッサン
14 三面記事事件の誕生
15 里親家庭
16 泥濘の中で
17 パトロン氏
18 「性犯罪の多重累犯者」
19 「私はあなたの奥さんじゃない」
20 パトロン=サルコジ枢軸
21 マシュクール高校
22 人間としての犯罪者
23 大西洋沿岸地域
24 トルー・ブルー池
25 レティシアの肖像
26 「制裁」と「過失」
27 フェイスブック上のレティシア
28 犯罪ポピュリズム
29 美しい夏
30 フロンド
31 「たいようがたのしかた」
32 生きている顔
33 陰鬱なレティシア
34 「釣りはうまくいったかい?」
35 年越しパーティー
36 鑑定員の時代
37 遺 書
38 のこぎりを持った男
39 最後の日々
40 その後の生活
41 1月18日午前
42 ブリオール池
43 1月18日午後
44 葬 儀
45 1月18日晩
46 取り引きの終わり
47 「あの子はおれに「やめて」と言った」
48 「書類」と「売女」
49 原初的な欠落
50 女性殺し
51 夜中の沈黙
52 不正の領分
53 翌 日
54 三面記事事件、民主的事件
55 正 義
56 レティシアは私だ
57 レティシアの時代
訳 注
訳者あとがき
主要参考文献
地 図
書 評
『布団の中から蜂起せよ』(高島鈴著、人文書院 2022年10月25日発行)
『図書新聞』(2020年12月19日号、第3476号、特集「20年下半期読書アンケート」、評者:塚原史氏)
『週刊読書人』(2020年8月21日号、第3353号、評者:菅谷憲興氏)
朝日新聞(2020年7月29日付、「文芸時評」(小野正嗣氏))