2019年度書評一覧

『図書新聞』 [2019年10月19日号、第3419号] から(評者:板倉史明氏)

影の美学
日本映画と照明

影の美学

宮尾大輔著『影の美学』(笹川慶子・溝渕久美子訳)が、『図書新聞』(2019年10月19日号、第3419号、武久出版)で紹介されました。光と影から見た日本映画史 ——。それは伝統ではなかった! 『陰翳礼讃』以前、日本映画は「明るさ」に価値を求めていた。では「影の美学」はどのように現れ、展開し、伝統となったのか。照明のテクノロジーに注目し、トランスナショナルな視点から新たな日本映画史を描きます。

“…… 本書を通じて、これまで何気に見ていた映画作品の意味を、映像の光と影の特徴から(も)読み解くという、映画の新たな愉しみ方を習得することができる。ただし、本書は単に映画における照明技法の細部とその意味を読み解くリテラシーを教えてくれるだけではない。そのスキルを踏まえたうえで、具体的な映画作品における照明表現と、同時代の照明に関する言説との関係を考察することで、同時代の映画人や映画産業と社会・国家をめぐるポリティクスを浮かび上がらせることこそが、本書のより重要な目的である。なぜなら、「照明のテクノロジーとテクニックは、スクリーン上のイメージを超えて、映画ビジネスの主導権や、日本の文化的アイデンティティの確立などをめぐる、映画製作者、批評家、観客の間での絶え間ない葛藤と交渉の中に存在していた」(本書277頁)からである。…… 本書の成果は、映画研究だけでなく、同時代の写真や絵画など、ほかの表象文化における「影の美学」との比較にも活用できそうだ。戦時下あるいは戦後復興期の日本映画界と同じように、日本写真界や日本画の世界においても、“日本独自の”「影の美学」という “伝統の創出” や、その文化的・政治的な流用が行われたのではないか。その意味で、本書は映画研究者だけでなく、より表象芸術一般に興味を持つ読者・研究者にも大きな刺激を与えてくれるものになるだろう。”(『図書新聞』2019年10月19日号、第6面)

宮尾大輔 著
笹川慶子・溝渕久美子 訳
価格 5,400円
A5判・上製・374頁
ISBN978-4-8158-0951-5 C3074
在庫有り


『図書新聞』 [2019年10月12日号、第3418号] から(評者:都築勉氏)

丸山眞男の教養思想
学問と政治のはざまで

丸山眞男の教養思想

西村稔著『丸山眞男の教養思想』が、『図書新聞』(2019年10月12日号、第3418号、武久出版)で紹介されました。「知」が問い直される時代に ——。教養と学問が関係することは、実は自明ではない。教養とは何か。また学問と思想はどのように関わるのか。知識人として、学者として、丸山が発し続けた問いと思考の展開を、遺された言葉の総体から精緻に読み解き、「丸山論」をこえて現代日本に提示。

西村 稔 著
価格 6,800円
A5判・上製・566頁
ISBN978-4-8158-0953-9 C3010
在庫有り


『アイソトープニュース』 [2019年10月号、第765号] から(評者:坂野康昌氏)

詳解テキスト 医療放射線法令[第三版]

詳解テキスト医療放射線法令第三版

西澤邦秀編『詳解テキスト 医療放射線法令[第三版]』が、『アイソトープニュース』(2019年10月号、第765号、日本アイソトープ協会)で紹介されました。医療放射線法令の全体像を理解するために、医療法施行規則第4章の内容を、関連通知も含めて体系的に整理。図表や写真を豊富に用いて視覚的・直感的に把握できる本書は、診療放射線技師をめざす学生だけでなく、医療放射線実務のための参考書としても必携。第2版刊行後に出された通知や改正など、最新の情報を盛り込んだ待望の改訂版。

“…… この書籍は、学生時代のテキストに使用するだけでは勿体無いです。むしろ実務の医療現場は、「医療法をはじめとする多数の法律で幾重にも取り巻かれている」といっても過言ではないため、現職のプロフェッショナルや放射線領域の管理者が活用すべき書物とも言えます。…… 放射線による不要な被ばくの防止・低減を主眼として、医療用放射線を有効に活用していくためのマイルストーンになるということは間違い無いでしょう。”(『アイソトープニュース』2019年10月号、p.51)

西澤邦秀 編
価格 4,500円
B5判・並製・222頁
ISBN978-4-8158-0934-8 C3047
在庫有り


「朝日新聞」 [2019年10月5日付] から(評者:山下範久氏)

『近代世界システム』(全4巻)

近代世界システム

I.ウォーラーステイン著/川北稔訳『近代世界システム』(全4巻)が、「朝日新聞」(2019年10月5日付)読書欄の「ひもとく」で紹介されました。

『近代世界システム』(全4巻)
I.ウォーラーステイン 著/川北 稔 訳
第Ⅰ巻: 農業資本主義と「ヨーロッパ世界経済」の成立
第Ⅱ巻: 重商主義と「ヨーロッパ世界経済」の凝集 1600-1750
第Ⅲ巻:「資本主義的世界経済」の再拡大 1730s-1840s
第Ⅳ巻: 中道自由主義の勝利 1789-1914


『ゲンロン10』 [2019年9月] から

ロボットに倫理を教える
モラル・マシーン

ロボットに倫理を教える

ウェンデル・ウォラックほか著『ロボットに倫理を教える』(岡本慎平・久木田水生訳)が、『ゲンロン10』(2019年9月、ゲンロン)の「ブックガイド 山本貴光+吉川浩満 人工知能と人文知を結ぶ15の必読書」で紹介されました。AIやロボットは、果たして道徳的になれるのか? 間近に迫る倫理的な機械の必要性を、哲学的背景も含めて明確に提示。実現に向けた種々の工学的アプローチを概観し、困難ではあるが避けがたい取り組みのこれからを展望する。エンジニアと哲学者を架橋する待望の書。

ウェンデル・ウォラック/コリン・アレン 著
岡本慎平/久木田水生 訳
価格 4,500円
A5判・上製・388頁
ISBN978-4-8158-0927-0 C3010
在庫有り


『アジア経済』 [第60巻第3号、2019年9月] から(評者:三須拓也氏)

ジェノサイド再考
歴史のなかのルワンダ

ジェノサイド再考

鶴田綾著『ジェノサイド再考』が、『アジア経済』(第60巻第3号、2019年9月、ジェトロ・アジア経済研究所)で紹介されました。1994年の悲劇を導いた力学は、「多数派部族による少数派の虐殺」という標準的な解釈では捉えきれない。脱植民地化から体制の転換を経て内戦へと向かう複雑な過程を、旧宗主国や国連の動向、冷戦などの国際的な文脈に置きなおして丹念にたどり、その深奥から理解を一新する意欲作。

“…… 評者の観点では、本書の評価点は3つある。第1の評価点として本書は、ルワンダ独立史の詳細な分析を試みるが、刮目に値するのはさまざまな資料を渉猟した点である。…… ベルギー植民地関連の史料はもとより、米国政府、英国政府、国連の公式資料、さらには独立当時を知るルワンダ人への聞き取りなどを試みる。…… 第2の評価点として、本書からは歴史の岐路の問題を考えさせられる。本書は、ベルギーがルワンダから退出する際にフトゥに肩入れし、フトゥとトゥチの対立を利用しようとした局面を描く。また本書は、ルワンダとコンゴの統合、タンガニーカとルアンダ・ウルンディの統合の可能性、パン・アフリカニズムに向けた動きなどから、この時期が国境線を巡ってさまざまな未来を展望した時代であったことを想起させる。もしベルギーのこのような分断統治の試みがなければ、あるいは現地社会の実態に即した国境線の変更があれば、歴史はどうなっていたのか。想像は尽きない。第3の評価点として、比較的読みやすい叙述も本書の特徴である。…… 本書は、熟読するほどさまざまな論点を見出すことができる刺激的な本である。…… また世界的にも類書が乏しいなかでの著者の向学心と努力にも感服する。ルワンダ研究の一里塚として、今後、必読書となることは間違いないだろう。”(『アジア経済』第60巻第3号、pp.78-80)

鶴田 綾 著
価格 6,300円
A5判・上製・360頁
ISBN978-4-8158-0931-7 C3031
在庫有り


「神戸新聞」 [2019年9月8日付] 他から(評者:福嶋亮大氏)

桃源の水脈
東アジア詩画の比較文化史

桃源の水脈

芳賀徹著『桃源の水脈』が、「神戸新聞」(2019年9月8日付)ほか26地方紙で紹介されました。なぜ懐かしさを感じるのか ——。ユートピアでもなくアルカディアでもなく、東アジアの人びとの根源的な夢想と願望に根ざして作り上げられた、平和の小世界。古代中国に発し、詩的トポスとして幾多の詩文や絵画を生み出してきた「桃源郷」の系譜を、現代の日本に掬いとるライフワーク。[福島民友・北日本新聞・北國新聞:2019年7月20日付、岩手日報・秋田さきがけ・南日本新聞・琉球新報:2019年7月21日付、福島民報・沖縄タイムス:2019年7月27日付、下野新聞・神奈川新聞・新潟日報・京都新聞・日本海新聞・山陰新聞・愛媛新聞・宮崎日日新聞:2019年7月28日付、山梨日日新聞・岐阜新聞・四国新聞・長崎新聞・大分合同新聞:2019年8月4日付、信濃毎日新聞:2019年8月11日付、静岡新聞・山陰中央新報:2019年9月1日付、神戸新聞:2019年9月8日付、東奥日報:2019年9月29日付]

“…… 桃源郷はかつてあった世界へのノスタルジーの産物であり、その想像力はいわば「子供の領分」に根ざしている。著者は桃源郷に託して文明の幼年期を、つまり大人たちの忘れた小世界をかたどってみせた。もとより、人間の営みは大人の時間軸には収まりきらない。歴史とは数限りない夢と記憶の折り畳まれた複合体だからである。”(「神戸新聞」2019年9月8日付、第19面)

芳賀 徹 著
価格 3,600円
四六判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0946-1 C3090
在庫有り


『史学雑誌』 [第128編第8号、2019年8月号] から(評者:齊藤寛海氏)

原典 中世ヨーロッパ東方記

原典中世ヨーロッパ東方記

高田英樹編訳『原典 中世ヨーロッパ東方記』が、『史学雑誌』(第128編第8号、2019年8月号、史学会)で紹介されました。モンゴル帝国の侵攻はヨーロッパを震撼させ、その世界像に転換を迫った。当時、東方に派遣された修道士や商人たちは何を見、どのように記録したのか。ルブルクやマルコ・ポーロ、ハイトンらの旅行記から、書簡、教会壁画、世界地図まで全15編を原典から翻訳集成し、ヨーロッパによるアジア認識の展開をたどります。

“…… 西欧人が中国やインド洋に進出したのに、なぜ、中国人やムスリムは西欧に進出しなかったのだろうか。本書が紹介した「東方の記」がもたらした東方の知識とそれが掻き立てた憧憬が、進出の原点にあったことは否定できないだろう。”(『史学雑誌』第128編第8号、p.82)

高田英樹 編訳
価格 12,000円
菊判・上製・852頁
ISBN978-4-8158-0936-2 C3022
在庫有り


『しんくみ』 [2019年9月号] から(評者:桑原武志氏)

もう一つの金融システム
近代日本とマイクロクレジット

もう一つの金融システム

田中光著『もう一つの金融システム』が、『しんくみ』(2019年9月号、全国信用組合中央協会)で紹介されました。日本の発展を導いたのは、日銀中心の銀行システムだけではなかった。現代の郵便貯金や農協に連なる系譜をもつ「大衆資金ネットワーク」が地方経済の安定と成長に果たした役割を、資金供給の実例や制度設計から解明。見過ごされてきた半身に光を当て、経済成長の条件を問い直す意欲作。

“タイトルの「もう一つの金融システム」とは、個人の少額貯蓄すなわち大衆資金を基盤とした非営利目的の金融システムのことである。本書は、日本の発展を導いたのは、日本銀行を頂点とした一般の銀行・株式市場を中心とした通常の金融システムだけでなく、もう一つの金融システムもそうなのだと主張している。…… 過去から学べるものは数多くある。本書のいう「もう一つの金融システム」から学んだことを、これからの人口減少時代におけるシステム構築に活かすためにも、ぜひ読んでいただきたい一書である。”(『しんくみ』2019年9月号、p.61)

田中 光 著
価格 6,300円
A5判・上製・360頁
ISBN978-4-8158-0932-4 C3033
在庫有り


『歴史評論』 [2019年9月号、第833号] から(評者:玉真之介氏)

胃袋の近代
食と人びとの日常史

胃袋の近代

湯澤規子著『胃袋の近代』が、『歴史評論』(2019年9月号、第833号、歴史科学協議会)で紹介されました。人びとは何をどのように食べて、空腹を満たしてきたのか。一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを、日々生きるための〈食〉の視点から活写、農村にもおよぶ広範な社会と経済の変化をとらえ、日本近代史を書き換えます。

“…… 評者が最も感銘を受けたのは、著者が特に都市の「集団食」をめぐって、国や自治体の社会政策と民間や地域の社会事業が棲み分けつつ相互作用して、確かなネットワークを作っていたことを明らかにした点であった。小河滋次郎の監獄論・食堂論に始まり、大阪のセツルメント運動や大原孫三郎の社会問題研究所設立などの実践、さらに愛知県社会事業主事・三上孝基と方面委員会制度、それとも関わる林曜三の起町での共同炊事事業などなど。
「食」が都市における社会問題となって、それに対する官民双方での社会政策や社会事業が取り組まれたところにこそ、紛れもなく「近代」の日本の姿があった。かつてのパラダイムは、もっぱら生産力や生産関係の近代化に視点を向けるものだった結果として、こうした社会問題とそれへの挑戦に適切な評価を与えられず、「近代化の遅れ」や階級闘争の課題に還元してしまう傾向がつよかった。その場合、著者が検出したような実践も、「温情主義」といった評価しか与えられてこなかったのである。
その意味でも、キーワードは「社会」である。「福祉国家」を解体して新自由主義の時代を導いたリーダーの一人、マーガレット・サッチャーは述べている。「社会なんてものはない。個人としての男がいて、個人としての女がいて、家族がある。ただそれだけだ。」と。社会主義の破綻により、すべての問題を自己責任に帰結させる新自由主義が世界を席巻する今日、かつての発展段階論や階級闘争史観に換わって、著者が着目したような、社会政策の展開や社会事業の実践に対する積極的な評価が必要になっている。その意味でも、著者による社会事業ネットワークの検出は、本書の野心的な取組が新しい歴史学を切り開く着実な一歩であることの証と言えるだろう。……”(『歴史評論』第833号、pp.71-72)

湯澤規子 著
価格 3,600円
四六判・上製・354頁
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


「朝日新聞」 [2019年9月13日付] から

近代世界システム

過日逝去された、『近代世界システム』(全4巻)の著者、イマニュエル・ウォーラーステイン氏。本書の訳者である川北稔先生による追悼文が、「朝日新聞」(2019年9月13日付)に掲載されました。“世界システム論、壮大な試み ウォーラーステインさんを悼む”

『近代世界システム』(全4巻)
I.ウォーラーステイン 著/川北 稔 訳


「朝日新聞」 [2019年9月11日付、夕刊、「編集者がつくった本」] から

イスラーム 書物の歴史

イスラーム書物の歴史

当会編集部長である橘宗吾が、「朝日新聞」(2019年9月11日、夕刊)の「編集者がつくった本」で、小杉泰・林佳世子編『イスラーム 書物の歴史』を紹介しました。 “アラビア文字の巨大山脈へ” 本書誕生のきっかけが語られています。【内容】これを知らずして書物を語るなかれ——。近代以前、東アジアの木版本と並んで世界の書物文化の二大山脈を形づくったのはイスラーム世界の写本であった。聖典クルアーンから歴史書や科学書まで、また華麗な書や絵画から装丁まで、広大な地域の知と文芸を支えた書物の歴史を、デジタル時代の現在からふりかえる待望の書。

“今世紀の初め、すでに書物の歴史には、日本についても、ヨーロッパについても、日本語で読める優れた本があった。そんな中、なかなか眺望の得られなかった書物大国・中国について『中国出版文化史』(井上進著)を編集・刊行できて、有頂天になっていた。これで世界の書物の歴史をすべて見渡せた気がしたのだ。
そのことを、イスラーム研究者の小杉泰先生に得意になってお話ししたところ、先生曰く「大きな山を一つ忘れていませんか」。それが、漢字ならぬアラビア文字で記された、イスラーム世界の書物だった。
ショックを受けて勉強開始。だが読める本がない。これは自分でつくるしかない。ということで、また小杉先生にご相談。しかし山は予想を超えて巨大だった。
活版印刷が本格的に始まる以前には、中国とともに世界の書物の二大山脈を形づくっていたのだから、それも当然だ。その時代の写本(手書き本)を中心に、イスラーム誕生からデジタル時代まで、広大なアラビア文字文化圏をカバーし、美麗な文字や挿絵や装丁を論じ、聖典から歴史や科学にわたる書物について述べようとすると、とてもすぐにはできない。
林佳世子先生にご助力いただき、若い研究者が育つのも待って、最初の衝撃から10年ほどかかって出版できたのがこの本だ。以来、「真理の一部をその全体と思うなかれ」が座右の銘となっている(ただし、すぐに忘れる)。”(「朝日新聞」2019年9月11日付夕刊、第3面)

小杉 泰・林 佳世子 編
価格 5,500円
A5判・上製・472頁
ISBN978-4-8158-0773-3 C3022
在庫有り


「静岡新聞」 [2019年9月1日付] 他から(評者:福嶋亮大氏)

桃源の水脈
東アジア詩画の比較文化史

桃源の水脈

芳賀徹著『桃源の水脈』が、「静岡新聞」(2019年9月1日付)ほか24地方紙で紹介されました。なぜ懐かしさを感じるのか ——。ユートピアでもなくアルカディアでもなく、東アジアの人びとの根源的な夢想と願望に根ざして作り上げられた、平和の小世界。古代中国に発し、詩的トポスとして幾多の詩文や絵画を生み出してきた「桃源郷」の系譜を、現代の日本に掬いとるライフワーク。[福島民友・北日本新聞・北國新聞:2019年7月20日付、岩手日報・秋田さきがけ・南日本新聞・琉球新報:2019年7月21日付、福島民報・沖縄タイムス:2019年7月27日付、下野新聞・神奈川新聞・新潟日報・京都新聞・日本海新聞・山陰新聞・愛媛新聞・宮崎日日新聞:2019年7月28日付、山梨日日新聞・岐阜新聞・四国新聞・長崎新聞・大分合同新聞:2019年8月4日付、信濃毎日新聞:2019年8月11日付、静岡新聞・山陰中央新報:2019年9月1日付]

“…… 桃源郷はかつてあった世界へのノスタルジーの産物であり、その想像力はいわば「子供の領分」に根ざしている。著者は桃源郷に託して文明の幼年期を、つまり大人たちの忘れた小世界をかたどってみせた。もとより、人間の営みは大人の時間軸には収まりきらない。歴史とは数限りない夢と記憶の折り畳まれた複合体だからである。”(「静岡新聞」2019年9月1日付、第18面)

芳賀 徹 著
価格 3,600円
四六判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0946-1 C3090
在庫有り


「くにおんぴーぷる」 [国立音楽大学ウェブサイト] から

イエズス会士と普遍の帝国

『イエズス会士と普遍の帝国 —— 在華宣教師による文明の翻訳』の著者である新居洋子先生のインタビューが、「くにおんぴーぷる」(国立音楽大学ウェブサイト)に掲載されました。在学時代の思い出や研究の道のりについて語られています。

新居洋子 著
価格 6,800円
A5判・上製・414頁
ISBN978-4-8158-0889-1 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2019年9月14日号、第3415号] から(評者:高田宏史氏)

チャールズ・テイラーの思想

チャールズ・テイラーの思想

ルース・アビィ著/梅川佳子訳『チャールズ・テイラーの思想』が、『図書新聞』(2019年9月14日号、第3415号、武久出版)で紹介されました。多文化社会から宗教、AIまで、「哲学的人間学」の全景 ——。多様性と統合への渇望とのあいだで思考し、「承認の政治」やコミュニタリアニズムなど現代の思想を牽引してきた哲学者テイラー。自己論や道徳論から、言語論、認識論、政治哲学、宗教論まで、その巨大な思想の全体を体系的に理解するために最善の入門書。

“…… 入門書としての本書の特徴は、テーマ(道徳論、自己論〔人間論〕、政治理論、認識論、そして宗教論)ごとにテイラーの思想を解説している点にある。このアプローチには明確な利点がある。それぞれのテーマについて「テイラーが何を問題とし、どのような主張を展開しているのか」が非常に「わかりやすい」という点である。さらに本書は、テイラーの主張に対する他の思想家や研究者からの主要な反応(批判を含む)を挙げているため、現代哲学上の諸争点におけるテイラー思想の位置づけを理解しやすくなっている。
 さらに本書では、テイラーの思想の核心的な部分として、次の2つの点が章を超えて繰り返し指摘されている。第一に、彼の思想における「単純化」ないしは「還元主義」への批判である。道徳であれ、人間理解であれ、政治であれ、知や認識であれ、テイラーは複雑な現象を単一の原理で説明しうるとする立場に鋭く対立する。第二に、彼の思想における「多様性と統一性の和解」というモチーフである。テイラーは、一見すると対立しているようにみえるさまざまな概念や思想的立場が両立可能であるこを、いたるところで示そうと試みているのである。これらのテーマを超えたモチーフの強調は、テイラーの思想の横断的な理解に資することになるだろう。……”(『図書新聞』2019年9月14日号、第5面)

ルース・アビィ 著
梅川佳子 訳
価格 4,500円
A5判・上製・332頁
ISBN978-4-8158-0947-8 C3010
在庫有り


『地理学評論』 [第92巻第5号、2019年9月] から(評者:金坂清則氏)

胃袋の近代
食と人びとの日常史

胃袋の近代

湯澤規子著『胃袋の近代』が、『地理学評論』(第92巻第5号、2019年9月、日本地理学会)で紹介されました。人びとは何をどのように食べて、空腹を満たしてきたのか。一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを、日々生きるための〈食〉の視点から活写、農村にもおよぶ広範な社会と経済の変化をとらえ、日本近代史を書き換えます。

“……「食」をめぐって、多様にして膨大な人びとのさまざまな営為とその成果を押さえつつ広範な観点から論じた結果、本書が日本近代の活き活きした歴史理解に資する作品となっている …… さらに、見えない歴史を歴史学の俎上にのせることを意図した本書が、アナール学派を中心とする社会史を超え、小さな物語と大きな物語の双方を視野に入れて両者のせめぎ合いを描く「新しい歴史学」(リン・ハント)の大きな成果にもなっている ……”(『地理学評論』第92巻第5号、p.299)

湯澤規子 著
価格 3,600円
四六判・上製・354頁
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


「建築討論」 [ウェブマガジン、2019年9月1日付] から(評者:長谷川新氏)

キュビスム芸術史
20世紀西洋美術と新しい〈現実〉

キュビスム芸術史

松井裕美著『キュビスム芸術史』が、「建築討論」(ウェブマガジン、2019年9月1日付、日本建築学会)で紹介されました。絵画、彫刻、文学、建築などの作品においても、理論や批評の言説においても、多面的かつ国際的な拡がりをもつキュビスム。「幾何学」的表現の誕生・深化から、二度の世界大戦を経て、歴史的評価の確立へと至る曲折に満ちた展開を、美術と〈現実〉との関係を軸に描ききります。

松井裕美 著
価格 6,800円
A5判・上製・692頁
ISBN978-4-8158-0937-9 C3071
在庫有り


『図書新聞』 [2019年9月7日号、第3414号] から(評者:山岡加奈子氏)

外交と移民
冷戦下の米・キューバ関係

外交と移民

上英明著『外交と移民』が、『図書新聞』(2019年9月7日号、第3414号、武久出版)で紹介されました。人の移動がもたらす力 ——。ワシントン、ハバナ、そしてマイアミ。衝撃はキューバ危機だけではなかった。移民とその社会が生みだす三つ巴のダイナミズムを捉え、グローバルな冷戦の現場と、アメリカ、キューバの国内政治の連関を、アクセス困難な史料から鮮やかに描きだした俊英の力作。

“本書は、冷戦期の米国とキューバの外交関係を分析する。その際に両国政府の政策に加えて、米国へ移住したキューバ系米国市民の働きかけを詳しく取り上げている。…… フロリダ州に散らばるアーカイブに眠る資料を丹念に発掘し、移民の活動を分析することに成功している。また、米国とキューバ両政府のやり取りについても、米国公文書館だけでなく、米国内に点在する大統領記念館を訪れ、さらにキューバ外務省公文書館やハバナ大学の史料へもアクセスしている。それに加え、日本やカナダ、メキシコの外交文書館や公文書館でも資料を集めており、広い範囲での資料調査を基にしている。米国の資料については、近年機密解除となった新資料も取り上げている。日本のキューバ研究ではかつてない規模での調査を成功させており、世界的に見ても、新史料を取り上げて貢献しており、大変な労作である。……”(『図書新聞』2019年9月7日号、第5面)

上 英明 著
価格 5,400円
A5判・上製・366頁
ISBN978-4-8158-0948-5 C3022
在庫有り


『港湾』 [2019年8月号] から(評者:元野一生氏)

海港の政治史
明治から戦後へ

海港の政治史

稲吉晃著『海港の政治史』が、『港湾』(2019年8月号、日本港湾協会)で紹介されました。横浜・神戸に代表される国際貿易港から全国の中小港湾まで、帝国日本を世界と結んだ海港はいかにして形成されたのか。開港から戦後に至る史的展開を示すとともに、港湾整備の知られざる難題を剔出、日本の交通インフラ整備が抱える政治的課題をも浮き彫りにしたわが国初の近代海港史。

稲吉 晃 著
価格 5,800円
A5判・上製・400頁
ISBN978-4-8158-0789-4 C3031
在庫有り


『日本歴史』 [2019年9月号、第856号] から(評者:長澤伸樹氏)

日本中世市場論
制度の歴史分析

日本中世市場論

安野眞幸著『日本中世市場論』が、『日本歴史』(2019年9月号、第856号、日本歴史学会)で紹介されました。支払い・貸借・契約・裁判・差押えなど、市場が果たした多様な役割を明らかにするとともに、債権取立てを軸に中世日本の展開を描き出したライフワーク。神人・悪僧に発し金融を担う「公界」と公権力とは、慣習法と制定法、文書とその破棄、暴力と秩序等をめぐり、いかに切り結ぶのか。

“…… 副題とその重厚な内容からも明らかなように、本書が注目するのは、市場内部での売買・契約行為を成り立たせた背景にある「制度」(制度史)の実態である。なかでも説話や狂言・往来物、戦国大名の分国法などを素材として、市場のもつ多様な機能に注目し、かつて網野善彦氏が唱えた「公界」論へのアンチテーゼも含んでいる点に、大きな特徴があろう。…… 市場を一義的に解釈せず、平安末期から戦国時代に至る長期的なスパンのなかで捉え直し、その多面的な役割を明らかにした著者の姿勢は、大いに学ぶべきものがある。本書は、長年にわたり「市」や「港」といった交易空間のあり方を軸に、多くの業績を積み重ねてきた、著者ならではの市場論の集大成と評することができよう。市場史や法制史はもちろん、ひいては近年注目される債務史研究などにも大きな議論を呼ぶ一冊であることは疑いない。……”(『日本歴史』2019年9月号、pp.82-83)

安野眞幸 著
価格 6,800円
A5判・上製・460頁
ISBN978-4-8158-0921-8 C3021
在庫有り


『月刊美術』 [2019年9月号、通巻528号] から

桃源の水脈
東アジア詩画の比較文化史

桃源の水脈

芳賀徹著『桃源の水脈』が、『月刊美術』(2019年9月号、通巻528号、サン・アート)で紹介されました。なぜ懐かしさを感じるのか ——。ユートピアでもなくアルカディアでもなく、東アジアの人びとの根源的な夢想と願望に根ざして作り上げられた、平和の小世界。古代中国に発し、詩的トポスとして幾多の詩文や絵画を生み出してきた「桃源郷」の系譜を、現代の日本に掬いとるライフワーク。

芳賀 徹 著
価格 3,600円
四六判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0946-1 C3090
在庫有り


「信濃毎日新聞」 [2019年8月11日付] 他から(評者:福嶋亮大氏)

桃源の水脈
東アジア詩画の比較文化史

桃源の水脈

芳賀徹著『桃源の水脈』が、「信濃毎日新聞」(2019年8月11日付)ほか22地方紙で紹介されました。なぜ懐かしさを感じるのか ——。ユートピアでもなくアルカディアでもなく、東アジアの人びとの根源的な夢想と願望に根ざして作り上げられた、平和の小世界。古代中国に発し、詩的トポスとして幾多の詩文や絵画を生み出してきた「桃源郷」の系譜を、現代の日本に掬いとるライフワーク。[福島民友・北日本新聞・北國新聞:2019年7月20日付、岩手日報・秋田さきがけ・南日本新聞・琉球新報:2019年7月21日付、福島民報・沖縄タイムス:2019年7月27日付、下野新聞・神奈川新聞・新潟日報・京都新聞・日本海新聞・山陰新聞・愛媛新聞・宮崎日日新聞:2019年7月28日付、山梨日日新聞・岐阜新聞・四国新聞・長崎新聞・大分合同新聞:2019年8月4日付、信濃毎日新聞:2019年8月11日付]

“…… 桃源郷はかつてあった世界へのノスタルジーの産物であり、その想像力はいわば「子供の領分」に根ざしている。著者は桃源郷に託して文明の幼年期を、つまり大人たちの忘れた小世界をかたどってみせた。もとより、人間の営みは大人の時間軸には収まりきらない。歴史とは数限りない夢と記憶の折り畳まれた複合体だからである。”(「信濃毎日新聞」2019年8月11日付、第8面)

芳賀 徹 著
価格 3,600円
四六判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0946-1 C3090
在庫有り


『週刊読書人』 [2019年8月16日号、第3302号] から(評者:伊高浩昭氏)

外交と移民
冷戦下の米・キューバ関係

外交と移民

上英明著『外交と移民』が、『週刊読書人』(2019年8月16日号、第3302号、読書人)で紹介されました。人の移動がもたらす力 ——。ワシントン、ハバナ、そしてマイアミ。衝撃はキューバ危機だけではなかった。移民とその社会が生みだす三つ巴のダイナミズムを捉え、グローバルな冷戦の現場と、アメリカ、キューバの国内政治の連関を、アクセス困難な史料から鮮やかに描きだした俊英の力作。

上 英明 著
価格 5,400円
A5判・上製・366頁
ISBN978-4-8158-0948-5 C3022
在庫有り


「日本経済新聞」 [2019年8月10日付] から(評者:河野元昭氏)

桃源の水脈
東アジア詩画の比較文化史

桃源の水脈

芳賀徹著『桃源の水脈』が、「日本経済新聞」(2019年8月10日付)で紹介されました。なぜ懐かしさを感じるのか ——。ユートピアでもなくアルカディアでもなく、東アジアの人びとの根源的な夢想と願望に根ざして作り上げられた、平和の小世界。古代中国に発し、詩的トポスとして幾多の詩文や絵画を生み出してきた「桃源郷」の系譜を、現代の日本に掬いとるライフワーク。

“…… 東洋の理想郷である武陵桃源については、古くから考察されてきたし、その根本文献ともいうべき陶淵明の「桃花源記」についても解説が施されてきた。しかし氏の論考は、それらと一線を画する。例えば「腑分け」と称する「桃花源記」の読みについても、その鋭さと深さに感動すら覚える。夢想つまり創造力喚起力を分析し、老子的小国寡民礼賛から田園平和への大転換を指摘し、近代的ユートピアの窮屈さを対比的に浮かび上がらせるところなど、まさに眼からウロコだ。…… 美術史家をもって任じる私にとってはとくに、15世紀朝鮮絵画の傑作である安堅の「夢遊桃源図」から清・査士標の「桃源図巻」に至る「水脈」追跡の痛快さは、胸のすく思いであった。さらに新井白石や蕪村、上田秋成らの作品を丹念に読み込むことによって、氏が提唱する「パクス・トクガワーナ」を桃源の色に染めていく。…… 東アジアの桃源が瓦解しようとしている今日、このような書が世に問われたことの意味は、想像を超えて大きい。……”(「日本経済新聞」2019年8月10日付、第28面)

芳賀 徹 著
価格 3,600円
四六判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0946-1 C3090
在庫有り


『図書新聞』 [2019年8月17日号、第3412号] 他から(評者:近藤和都氏)

映画観客とは何者か
メディアと社会主体の近現代史

映画観客とは何者か

藤木秀朗著『映画観客とは何者か』が、『図書新聞』(2019年8月17日号、第3412号、武久出版)で紹介されました。民衆・国民・東亜民族・大衆・市民 ——。映画館でシネマを観る「数」であるにとどまらず、映画や社会と多様な関係をとりむすぶ人々のあり様を、大正期から現在まで、社会主体をめぐる言説に注目することで、変容する政治やメディア環境との交渉のうちに浮かび上がらせた、映画観客100年史。

“…… 本書は、オーディエンス・カテゴリーの言説的構築という従来的な議論に回収されない、豊かな方法論的示唆を含んでいる。…… 先行研究が、あくまでもオーディエンスの受容経験・環境を間接的に理解することに目的の一つが置かれていたのに対し、本書はそうした目的を意図的に断念することで、「観ること」に限定されない「観客」のあり方を多角的に検討しようというのである。…… 著者は …… 先行研究を網羅的かつ精緻に読み解きながら自身の議論を展開していく。しかも、単にそれらの研究を自説の補強に使うのではなく、一定の影響力を持つ先行の議論に対峙しながら新たな歴史の道筋を示すことに徹底している。…… その他にも、…… 映画観客のカテゴリーをめぐるジェンダーやエスニシティの問題、言説の条件として焦点化されるトランスメディア的環境の展開過程、映画をめぐる親密圏と公共圏の折り重なりなど様々な知見をもたらしている。豊かな成果を含む本書は、日本において映画・メディア研究を行うにあたってつねに参照されるべきインフラ的な位置づけを持つことになるに違いない。”(『図書新聞』2019年8月17日号、第6面)

藤木秀朗 著
価格 6,800円
A5判・上製・680頁
ISBN978-4-8158-0938-6 C3074
在庫有り


「熊本日日新聞」 [2019年7月28日付] から(評者:西槇偉氏)

桃源の水脈
東アジア詩画の比較文化史

桃源の水脈

芳賀徹著『桃源の水脈』が、「熊本日日新聞」(2019年7月28日付)で紹介されました。なぜ懐かしさを感じるのか ——。ユートピアでもなくアルカディアでもなく、東アジアの人びとの根源的な夢想と願望に根ざして作り上げられた、平和の小世界。古代中国に発し、詩的トポスとして幾多の詩文や絵画を生み出してきた「桃源郷」の系譜を、現代の日本に掬いとるライフワーク。

“…… 著者は、比較文学を日本の学界に定着させた草分け、島田謹二の学統を継承し、比較文学を花開かせた世代の大家の一人。その四十余年来の桃源研究の集大成である本書を耽読しながら、評者は大学院時代に著者の手ほどきを受け、比較研究の面白さに目を啓かれたことを思い出した。談論風発、スケールの大きな「連想」は健在で魅力的だ。そこであぶり出されるのは、文芸の滋味とともに、「理想的な文明のかたちとは」「仕合せとは」など極めて今日的な問題だ。”(「熊本日日新聞」2019年7月28日付、第7面)

芳賀 徹 著
価格 3,600円
四六判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0946-1 C3090
在庫有り


『図書新聞』 [2019年8月3日号、第3410号] から(評者:須永徳武氏)

満鉄経営史
株式会社としての覚醒

満鉄経営史

平山勉著『満鉄経営史』が、『図書新聞』(2019年8月3日号、第3410号、武久出版)で紹介されました。満州経営の全方位的担い手とみなされた巨大植民地企業が、国策会社化の挫折と満州国成立後の解体的再編をへて、鉄道を主軸とした市場志向の企業として覚醒する姿を、株式市場への対応からとらえ、終戦まで異例の高収益企業であり続けたメカニズムを解明、日本帝国主義の先兵とする満鉄理解を大きく書き換えます。

“…… 本書を貫く視角は明確である。満鉄を「株式会社」として再措定し、「主体性」を基軸に会社として満鉄を経営分析することである。満鉄が半官半民の巨大植民地会社であり、日本帝国による満洲植民地統治の中枢に位置したことは否定すべくもない。また、関東軍や満洲国政府の政策立案にも深く関与していた。帝国主義のコンテクストから進められた多くの研究が、満鉄のこうした側面を過剰に重視した結果、経営体としての満鉄はイメージのベールに包まれた茫洋たる存在となった。しかし、本書により〈イメージとしての満鉄〉のベールは剝ぎ取られ、経営体としての満鉄の実態が明らかにされる。満鉄をごく真っ当な会社分析の俎上に載せた点が、研究史に対する本書の大きな貢献である。……”(『図書新聞』2019年8月3日号、第3面)

平山 勉 著
価格 9,500円
A5判・上製・504頁
ISBN978-4-8158-0945-4 C3021
在庫有り


『歴史学研究』 [2019年8月号、第986号] から(評者:増田都希氏)

セレブの誕生
「著名人」の出現と近代社会

セレブの誕生

アントワーヌ・リルティ『セレブの誕生』(松村博史・井上櫻子・齋藤山人訳)が、『歴史学研究』(2019年8月号、第986号、歴史学研究会)で紹介されました。スキャンダラスな公共性 ——。称賛と批判につつまれた「セレブ」とは、現代のメディアが作り上げた虚像なのか、それとも新たな威光の形なのか。王族・政治家から作家・俳優・音楽家まで、近代の始まりとともに生まれた「セレブリティ」の展開をたどり、公共圏が孕むパラドックスを問います。

“…… 一見軽々しい「セレブ」を、まじめな歴史学の対象とすることの意義とはなにか。「セレブ」を培養する「公共圏」や「公衆」の両義性に光をあてることである。ユルゲン・ハーバーマスの「公共圏」の概念が一躍脚光を浴びたことで、そこから捨象された側面が不当に覆い隠されたとリルティは言う。個人が理性の公的使用を行う批判的、合理的熟議の場としての「公共圏」が18世紀フランスに誕生した。しかしその「公共圏」は、誕生した当初から、同時にメディアによる言説・イメージによって増幅される情動的熱狂、集団的自己暗示の場でもあった。この両義性を再確認することで、現代における公共圏の「通俗性の支配」や「脱政治化」を、18世紀には存在していたはずの理想化された「公共圏」の喪失や堕落と見なす紋切り型の批判を越えることがはじめて可能になる。膨大かつ玉石混淆の情報をポケットに入れて持ち歩く時代、その厖大な情報を共有しているようで、各人が見たいものしか見ていない時代において、「公共圏」をどこに、どのような形で求めるのか。未だ見ぬ世界を知るための道標を、歴史に求める。これを実践する作品である。”(『歴史学研究』2019年8月号、p.64)

アントワーヌ・リルティ 著
松村博史・井上櫻子・齋藤山人 訳
価格 5,400円
A5判・上製・474頁
ISBN978-4-8158-0933-1 C3022
在庫有り


『洋学』 [26号、2019年4月] から(評者:橋本真吾氏)

近代科学のリロケーション
南アジアとヨーロッパにおける知の循環と構築

近代科学のリロケーション

カピル・ラジ著『近代科学のリロケーション』(水谷智・水井万里子・大澤広晃訳)が、『洋学』(26号、2019年4月、洋学史学会)で紹介されました。西洋中心でもなく、地域主義でもなく ——。科学的な「知」はどこで、いかにして生まれたのか。植物学や地理学から、法、教育の分野まで、近代的な学知の形成において植民地のアクターが果たした役割に注目し、帝国のネットワークにおける移動・循環の中で科学が共同的に構築される現場を描き出す画期的な書。

カピル・ラジ 著
水谷 智・水井万里子・大澤広晃 訳
価格 5,400円
A5判・上製・316頁
ISBN978-4-8158-0841-9 C3022
在庫有り


『洋学』 [26号、2019年4月] から(評者:阿曽歩氏)

イエズス会士と普遍の帝国
在華宣教師による文明の翻訳

イエズス会士と普遍の帝国

新居洋子著『イエズス会士と普遍の帝国』が、『洋学』(26号、2019年4月、洋学史学会)で紹介されました。カトリック拡大のため東方に渡った宣教師らが、巨大な清朝に見出したものは何か。中国古来の世界像や学術は、キリスト教の教義や勃興する科学と結びつくのか。共通言語から統治体制や歴史編纂まで、新たな帝国像を描き出した18世紀のアミオを軸に、多言語史料から「文明の翻訳」の実相を捉える力作。

新居洋子 著
価格 6,800円
A5判・上製・414頁
ISBN978-4-8158-0889-1 C3022
在庫有り


『史林』 [101巻6号、2018年11月] から(評者:鈴木健雄氏)

越境者の政治史
アジア太平洋における日本人の移民と植民

越境者の政治史

塩出浩之著『越境者の政治史』が、『史林』(101巻6号、2018年11月、史学研究会)で紹介されました。明治期からの国民統合の過程と並行し、大量に送り出された日本人移民たち。近代史から見落とされてきた彼らの政治統合は、日本およびアジア太平洋地域の秩序にどのようなインパクトをもたらしたのか。移民史・政治史の盲点を克服し、一貫した視点で新たな全体像を描き出します。

“…… およそ並の研究者では上梓し難い長大な時間と空間とを対象とした本書は、膨大な先行研究並びに史料に基づいて近代アジア太平洋における国家と民族、ヒトの移動を体系的かつ網羅的に叙述している。日本近代政治史に留まらず、植民地主義や差別の問題、ヒトの移動に伴う社会・権力構造の変化、国家・国籍・民族に関わる諸問題を扱う研究者にとって本書は必読の書であり偉大な成果である。”(『史林』101巻6号、pp.158-159)

塩出浩之 著
価格 6,300円
A5判・上製・524頁
ISBN978-4-8158-0820-4 C3031
在庫有り


「京都新聞」 [2019年7月19日付] から

絨毯が結ぶ世界

『絨毯が結ぶ世界 —— 京都祇園祭インド絨毯への道』の著者である鎌田由美子先生が、「京都新聞」(2019年7月19日付)のオピニオン・解説欄「ソフィア 京都新聞文化会議」に寄稿されました。“絨毯がつなぐ祇園祭と世界”

『絨毯が結ぶ世界 —— 京都祇園祭インド絨毯への道』
A5判・上製・608頁 価格10,000円
ISBN978-4-8158-0855-6 C3072
在庫有り


「朝日新聞」 [2019年7月24日付] から

税と正義

『税と正義』(L.マーフィーほか著)の訳者である伊藤恭彦先生が、「朝日新聞」(2019年7月24日付)のオピニオン欄「耕論 税金、もっと納得したい」に寄稿されました。(オピニオン&フォーラム) “尊厳ある生活を守るお金”

『税と正義』
A5判・上製・266頁 価格4,500円
ISBN978-4-8158-0548-7 C3033
在庫有り


『図書新聞』 [2019年7月20日号、第3408号] から(評者:山本圭氏)

チャールズ・テイラーの思想

チャールズ・テイラーの思想

ルース・アビィ著/梅川佳子訳『チャールズ・テイラーの思想』が、『図書新聞』(2019年7月20日号、第3408号、武久出版)の特集「2019年上半期 読書アンケート」で紹介されました。多文化社会から宗教、AIまで、「哲学的人間学」の全景 ——。多様性と統合への渇望とのあいだで思考し、「承認の政治」やコミュニタリアニズムなど現代の思想を牽引してきた哲学者テイラー。自己論や道徳論から、言語論、認識論、政治哲学、宗教論まで、その巨大な思想の全体を体系的に理解するために最善の入門書。

ルース・アビィ 著
梅川佳子 訳
価格 4,500円
A5判・上製・332頁
ISBN978-4-8158-0947-8 C3010
在庫有り


『地理空間』 [第12巻第1号、2019年] から(評者:坂本優紀氏)

胃袋の近代
食と人びとの日常史

胃袋の近代

湯澤規子著『胃袋の近代』が、『地理空間』(第12巻第1号、2019年、地理空間学会)で紹介されました。人びとは何をどのように食べて、空腹を満たしてきたのか。一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを、日々生きるための〈食〉の視点から活写、農村にもおよぶ広範な社会と経済の変化をとらえ、日本近代史を書き換えます。

“「ごちそうさまでした」と言いたくなるような読後感である。学術書でありながら読んだ後の満足感と爽快感は、まるで美味しい食事の後のようだ。…… 本書は、これまで着目されてこなかったサイレント・マジョリティー(沈黙する大衆)が蓄積してきた、サイレント・ヒストリーを学問的に取りあげた。大衆に関する史料は、その性質上残されにくい状況にも関わらず、本書では様々なデータが的確に示されている。そのため、彼ら/彼女らの生きた跡がはっきりとみえる。そしてさらに、随所に登場する文学作品が、よりリアルな生活を読者に教えてくれるのも本書の魅力の一つであろう。文学作品に頼り過ぎると客観性に乏しくなるものの、本書は議論を支える多くのデータがあってこそなせる記述である。著者の緻密な調査と、それを基にした読者を惹き込む書きっぷりに感嘆させられる。……”(『地理空間』第12巻第1号、pp.53-55)

湯澤規子 著
価格 3,600円
四六判・上製・354頁
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


『図書新聞』 [2019年7月6日号、第3406号] から(評者:平正人氏)

セレブの誕生
「著名人」の出現と近代社会

セレブの誕生

アントワーヌ・リルティ著『セレブの誕生』(松村博史・井上櫻子・齋藤山人訳)が、『図書新聞』(2019年7月6日号、第3406号、武久出版)で紹介されました。スキャンダラスな公共性 ——。称賛と批判につつまれた「セレブ」とは、現代のメディアが作り上げた虚像なのか、それとも新たな威光の形なのか。王族・政治家から作家・俳優・音楽家まで、近代の始まりとともに生まれた「セレブリティ」の展開をたどり、公共圏が孕むパラドックスを問います。

“「マリー・アントワネットはダイアナ妃だ!」。本書冒頭のこの文章は、娘ソフィアが監督した映画の撮影に立ち会った父フランシス・フォード・コッポラの言葉である。アントワネットとダイアナ妃。このふたりの女性にどこか似た親近感を覚える人は少なくないのかもしれない。本書を執筆した歴史家リルティはこの映画の見どころのひとつに「アナクロニズム」をあげているが、本書の読みどころもまたそこにある。リルティは、歴史家にとって禁じ手であるはずの「アナクロニズム」を用いて、現代社会のアクチュアリティーを映し出す鏡を、18世紀後半のヨーロッパ社会のアクチュアリティーのなかに発見する。それは「近代的な著名性(célébrité)」であり、現代のセレヴたちが18世紀後半のヨーロッパにその姿を現すのである。…… アクチュアルな問題を解決する鍵を過去に探求することが歴史家の本来あるべき役割であるならば、本書においてリルティが果敢に挑んだ「アナクロニズム」という手法は、もはや歴史家の禁じ手ではなく、現代社会を生きる歴史家にとっていまこそ再評価されるべき歴史学的な方法論のひとつと言えるのではないだろうか。”(『図書新聞』第3406号、第5面)

アントワーヌ・リルティ 著
松村博史・井上櫻子・齋藤山人 訳
価格 5,400円
A5判・上製・474頁
ISBN978-4-8158-0933-1 C3022
在庫有り


「西日本新聞」 [2019年6月24日付] から

胃袋の近代

『胃袋の近代 —— 食と人びとの日常史』の著者である湯澤規子先生のインタビューが、「西日本新聞」(2019年6月24日付)文化欄に掲載されました。本書と、2019年3月に刊行された『7袋のポテトチップス —— 食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社刊)に関するインタビューです。

『胃袋の近代
  —— 食と人びとの日常史』
四六判・上製・354頁 価格3,600円
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


『史苑』 [第79巻第2号] から(評者:諫早庸一氏)

モンゴル時代の「知」の東西【上下巻】

モンゴル時代の「知」の東西

宮紀子著『モンゴル時代の「知」の東西』(上下巻)が、『史苑』(第79巻第2号、立教大学史学会)で紹介されました。日本からヨーロッパまで、人・モノ・情報が行き交う ——。世界史上、空前のレベルで展開したユーラシアを貫く「知」の交流。百科事典や辞書・地図から宗教・政治・経済の諸制度まで、モンゴル帝国によるダイナミックな革新と統合の実像を、多言語の文献・美術品・出土文物を駆使して描き出す記念碑的労作。

宮 紀子 著
価格 各9,000円
菊判・上製・上574頁+下600頁
ISBN 上:978-4-8158-0900-3 下:978-4-8158-0901-0
C3022
在庫有り


『農業経済研究』 [第91巻第1号、夏季号、2019年6月] から(評者:田代正一氏)

農の科学史
イギリス「所領知」の革新と制度化

農の科学史

並松信久著『農の科学史』が、『農業経済研究』(第91巻第1号、夏季号、2019年6月、日本農業経済学会)で紹介されました。ローカルな知は科学となるのか ——。農業は古来、多くの地域で主要産業であった。工業化が進む中、諸科学と葛藤しつつ「農学」を成立させていく多元的な知と制度の展開を、啓蒙時代から20世紀まで、イギリス社会の文脈で描きます。科学史と農業史を架橋し、間文化的な示唆を与える労作。

並松信久 著
価格 6,300円
A5判・上製・480頁
ISBN978-4-8158-0853-2 C3061
在庫有り


「日本海事新聞」 [2019年6月27日付] から(評者:元野一生氏)

海港の政治史
明治から戦後へ

海港の政治史

稲吉晃著『海港の政治史』が、「日本海事新聞」(2019年6月27日付、日本海事新聞社)で紹介されました。横浜・神戸に代表される国際貿易港から全国の中小港湾まで、帝国日本を世界と結んだ海港はいかにして形成されたのか。開港から戦後に至る史的展開を示すとともに、港湾整備の知られざる難題を剔出、日本の交通インフラ整備が抱える政治的課題をも浮き彫りにしたわが国初の近代海港史。

稲吉 晃 著
価格 5,800円
A5判・上製・400頁
ISBN978-4-8158-0789-4 C3031
在庫有り


「朝日新聞」 [2019年6月27日付] から

戦争違法化運動の時代

『戦争違法化運動の時代』の著者である三牧聖子先生が、「朝日新聞」(2019年6月27日付)のオピニオン欄「あすを探る 国際」に寄稿されました。(オピニオン&フォーラム 論壇時評) “人権問題、米中対立の影”

『戦争違法化運動の時代 ——「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』
A5判・上製・358頁 価格5,800円
ISBN978-4-8158-0782-5 C3031
在庫有り


「毎日新聞」 [2019年6月23日付] から(評者:張競氏)

桃源の水脈
東アジア詩画の比較文化史

桃源の水脈

芳賀徹著『桃源の水脈』が、「毎日新聞」(2019年6月23日付)で紹介されました。なぜ懐かしさを感じるのか ——。ユートピアでもなくアルカディアでもなく、東アジアの人びとの根源的な夢想と願望に根ざして作り上げられた、平和の小世界。古代中国に発し、詩的トポスとして幾多の詩文や絵画を生み出してきた「桃源郷」の系譜を、現代の日本に掬いとるライフワーク。

“…… 空想体系のせせらぎを渉るとき、感性的直観の鋭さをいかに深めていくかで、探検者の知性と力量が問われている。著者はテクストの温もりを肌で感じ取り、情念のぬかるみの感触を確かめながら、共同体の記憶の底に沈みたまった古人の想いをすくい上げようとした。そこには批評理論に武装されたような、凝り固まった観念性はなく、海辺へと導く小径を知り尽くした釣り人のような、忘我の恬淡さがあった。こうして、桃源郷を論じる者がまるで桃源郷に迷い込んだように、かつて存在していたかもしれないトポスをめぐって、詩的形象と絵画的言語のあいだを自由自在に往来し、一枚一枚の絵、一首また一首の詩から驚くべき夢の世界を発見した。…… 同じく陶淵明に共鳴しながらも、日本列島と朝鮮半島では桃源郷幻想に向ける想像力のベクトルはまた異なる方向にある。著者は比較文化史家だけあって、そのことを決して見逃さなかった。日中韓のあいだの音階の高低や色彩の濃淡を吟味し、些細な気配の違いから、彼我の風土や精神文化、さらには人生美学の差異を見いだし、円転滑脱な名調子でそれぞれの面白みを縦横無尽に語ってみせた。桃源郷の日本的展開は著者のもっとも得意とするところで、また、その本領がもっともよく発揮される分野でもある。上田秋成の『背振翁伝』、松岡映丘一門による『草枕絵巻』、さらに辻原登の『村の名前』など、近世から現代にいたるまでさまざまな名作を取り上げ、陶淵明はいうにおよばず、あらゆる夢の収集家たちがついに知りえない世界を次々と引き合いに出し、列島の文学芸術にしか見られない感受性を大いに自慢した。……”(「毎日新聞」2019年6月23日付、第10面から)

芳賀 徹 著
価格 3,600円
四六判・上製・380頁
ISBN978-4-8158-0946-1 C3090
在庫有り


『比較家族史研究』 [第33号、2019年3月] から(評者:奥山恭子氏)

歴史人名学序説
中世から現在までのイベリア半島を中心に

歴史人名学序説

芝紘子著『歴史人名学序説』が、『比較家族史研究』(第33号、2019年3月、比較家族史学会)で紹介されました。名前に刻まれたヨーロッパ社会の軌跡 ——。家族・親族の結びつきやアイデンティティのあり方、封建制と家族・ジェンダーの関係、フロンティア社会と文化移転、キリスト教の浸透・教化など、人名という新たなプリズムを通して過去・現在の社会・心性を色鮮やかに浮かび上がらせます。

“…… 本書の内容は単に姓名に関する史料紹介にはとどまらない。姓名は社会制度、産業、宗教、家族形態等々の様々な要因に影響を受け、発生、変貌してきたものである。特にイベリア半島では、ローマの支配以前から諸族の社会、文化が混在し、時に興亡の歴史を経てきていることから、それぞれの時代の命名の記録をたどることで社会構造や変革、文化の潮流、心性も見えるとする序章の記述が、本書刊行の意義でもあろう。”(『比較家族史研究』第33号、p.144)

芝 紘子 著
価格 5,400円
A5判・上製・308頁
ISBN978-4-8158-0912-6 C3022
在庫有り


『表象』 [第13号、2019年4月] から(評者:北村匡平氏)

テレビ成長期の日本映画
メディア間交渉のなかのドラマ

テレビ成長期の日本映画

北浦寛之著『テレビ成長期の日本映画』が、『表象』(第13号、2019年4月、表象文化論学会)で紹介されました。「テレビ vs 映画」を超えて ——。高度成長期、テレビの台頭で映画は「斜陽」を迎えたのか。テレビ向けフィルム映画の試みやお色気・やくざ映画の流行、ワイドスクリーンという新機軸、時代劇やメロドラマの変遷など、映像の新時代の幕開けを描き、現在につながる大転換の実像を明らかにします。

“…… 本書における議論の射程は、作品論・作家論から産業史・技術論、さらにはジャンル論・身体論・観客論・都市論まで、きわめて幅広い。メディア間の歴史的な現場を来訪し、その「交渉と闘争の歴史」をさまざまな角度から照射して、人びとの活動や実践を鮮やかに浮かび上がらせている点が本書の妙味である。…… 本書を通読して何より胸を打つのは、20世紀の二大メディアにおける産業・技術の変遷のなかで、2つのメディアに携わり、奮闘してきた者たちの「ドラマ」が見事に浮かび上がってくる点である。それはおそらく、筆者の多角的な視座と歴史の重層性を掬い上げようとする誠実さによって生み出されている。卓越したテクスト分析のみならず、丹念な調査で収集された歴史資料と統計データによって緻密に組み立てられた議論は、今後の映画/テレビ研究の指標となるとともに、重要文献として参照されていくことは間違いない。”(『表象』第13号、p.190,193)

北浦寛之 著
価格 4,800円
A5判・上製・312頁
ISBN978-4-8158-0905-8 C3074
在庫有り


『図書新聞』 [2019年6月22日号、第3404号] から(評者:松田健児氏)

キュビスム芸術史
20世紀西洋美術と新しい〈現実〉

キュビスム芸術史

松井裕美著『キュビスム芸術史』が、『図書新聞』(2019年6月22日号、第3404号、武久出版)で紹介されました。絵画、彫刻、文学、建築などの作品においても、理論や批評の言説においても、多面的かつ国際的な拡がりをもつキュビスム。「幾何学」的表現の誕生・深化から、二度の世界大戦を経て、歴史的評価の確立へと至る曲折に満ちた展開を、美術と〈現実〉との関係を軸に描ききります。

“…… 本書は …… キュビスムを同時代フランスの政治的・社会的文脈に置いて理解しようとする、至極真っ当な試みである。そこで得られる知見は、想像以上に実り豊かなものだ。キュビスムが「様式のうえでは過去の芸術と明らかな断絶を示すものであったが、他方で、理論のうえでは過去の試みを踏襲するものであった」と明確に述べられているように、キュビスムを単に造形上の「革命」ともちあげるだけの見解に、根底から修正を迫ってくる。…… 本書を読了した後は、たとえば「分析的キュビスムが行った対象の分析を極限まで突き詰めていくと、対象そのものが溶解して把握できなくなってしまうため、壁紙や新聞紙を貼り付けて現実感を導入する総合的キュビスムが始まった」というような、教科書的な物語(ストーリー)さえも採用できなくなってしまうはずだ。しかも、ピカソとブラックを論じるだけで事足れりとするのではなく、このふたりとは別に、キュビスムの展開に寄与したピュトー派(ル・フォーコニエ、ジャック・ヴィヨンやデュシャン兄弟など)、あるいはフェルナン・レジェ、フアン・グリスのキュビスムにも目を配る。このため、キュビスムがもつ多様性を包括的に把握することもできるだろう。……”(『図書新聞』第3404号、第6面)

松井裕美 著
価格 6,800円
A5判・上製・692頁
ISBN978-4-8158-0937-9 C3071
在庫有り


『図書新聞』 [2019年6月15日号、第3403号] から(評者:上田知亮氏)

帝国後のインド
近世的発展のなかの植民地化

帝国後のインド

小川道大著『帝国後のインド』が、『図書新聞』(2019年6月15日号、第3403号、武久出版)で紹介されました。インドはなぜ英領となったのか。ムガル帝国の衰退と後継国家の群雄割拠のもと生じた在地の大変動をとらえ、中間層権力をめぐる状況の変遷から植民地化の起源を解明、イギリス統治政策の浸透過程を丹念にたどるとともに、近代インドを近世史の発展との連続性のなかに位置づけます。

“…… 植民地化直後のイギリス人行政官には観察できないほど弱体化していた郡レベルの中間層権力のことが英語史料に詳細に書き残されることはなかった。既に存在していないものが記録に残されることは滅多にない。しかし古いものが無くなることで新しいものの道が拓かれるということはしばしば起こる。だが「在る」ものの影響は気付きやすいが、「無い」ものや「無くなった」ことが要因であると着想することは難しい。それを史料に基づき厳密に実証するならなおさらである。しかも植民地化の歴史的意義を再考するという本書の研究課題を解くには、英語史料のみならず、大量のマラーティー語史料を長期にわたって地道に調査することも必要不可欠である。…… 英語史料からは見えない植民地化以前の政治経済構造を踏まえて植民地化前後の継続性を明らかにした本書は、イギリスのインド統治とは何であったか考察するうえでの必読文献となるであろう。……”(『図書新聞』第3403号、第3面)

小川道大 著
価格 6,800円
A5判・上製・448頁
ISBN978-4-8158-0939-3 C3022
在庫有り


『週刊読書人』 [2019年6月14日号、第3293号] から(評者:武田徹氏)

海軍技術者の戦後史
復興・高度成長・防衛

海軍技術者の戦後史

沢井実著『海軍技術者の戦後史』が、『週刊読書人』(2019年6月14日号、第3293号、読書人)で紹介されました。戦後日本の復興と発展に、海軍技術者たちが果たした役割とは何か。造船、自動車、新幹線開発、土木などで高度成長を下支えした技術継受の全体像を復元、防衛生産も視野にその質的・量的インパクトを客観的に叙述するとともに、技術者たちの敗戦経験の歴史的特質をも浮き彫りにします。

沢井 実 著
価格 4,500円
A5判・上製・256頁
ISBN978-4-8158-0943-0 C3021
在庫有り


『村落社会研究ジャーナル』 [50号、2019年6月] から(評者:安岡健一氏)

胃袋の近代
食と人びとの日常史

胃袋の近代

湯澤規子著『胃袋の近代』が、『村落社会研究ジャーナル』(50号、2019年6月、日本村落研究学会)で紹介されました。人びとは何をどのように食べて、空腹を満たしてきたのか。一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを、日々生きるための〈食〉の視点から活写、農村にもおよぶ広範な社会と経済の変化をとらえ、日本近代史を書き換えます。

“…… 豊富な資料の探究とともに理論的挑戦も行い、また林芙美子の『放浪記』など文学作品も同時代の記録として折り込むという実験的手法も相まって、本書の達成は多くの角度から見て実りあるものとなっている。第4章の食の産業化に関して取り上げられた事例は「漬物」であった。それから約100年が過ぎた現在、質量ともにはるかに多くの食が規格化され産業化し、その多様性は目をみはるばかりである。当時と比較すれば年間平均で数十倍の肉を食べている、現代的な飽食と欠乏が私たちの眼前にある。この現在を歴史的に相対化し、私たち自身が生きる不安定さを問い返す手がかりにも本書はなるに違いない。”(『村落社会研究ジャーナル』50号、p.53)

湯澤規子 著
価格 3,600円
四六判・上製・354頁
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


『民衆史研究』 [第97号、2019年5月] から(評者:岩崎正弥氏)

胃袋の近代
食と人びとの日常史

胃袋の近代

湯澤規子著『胃袋の近代』が、『民衆史研究』(第97号、2019年5月、民衆史研究会)で紹介されました。人びとは何をどのように食べて、空腹を満たしてきたのか。一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを、日々生きるための〈食〉の視点から活写、農村にもおよぶ広範な社会と経済の変化をとらえ、日本近代史を書き換えます。

“…… 著者は実証に基づく堅実な歴史地理学者としての顔と同時に、社会的弱者に寄り添おうとする生活者(実践者)としての顔も持ち合わせていると評者は感じた。「あとがき」で引用された石垣りんの詩「くらし」(『表札など』2000年)に象徴されるような、人びとの暮らしに真摯に向き合うという姿勢である。この姿勢こそ本書の通奏低音だろう。食の人文社会科学的な研究は、ともするとマニアックな食の文化史か、権力による食の管理史に傾きがちである。だがそうではなく、フードシステムに目配りしながら、「地域社会事業」という視角からも「胃袋の近代」を切り開こうとした点が、本書を魅力ある《作品》にしていると評者は感じた。……”(『民衆史研究』第97号、p.77)

湯澤規子 著
価格 3,600円
四六判・上製・354頁
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


『社会経済史学』 [第85巻第1号、2019年5月] から(評者:中林真幸氏)

経済成長の日本史
古代から近世の超長期GDP推計 730-1874

経済成長の日本史

高島正憲著『経済成長の日本史』が、『社会経済史学』(第85巻第1号、2019年5月、社会経済史学会)で紹介されました。奈良時代~近代初頭にいたる列島経済の展開を一望、最貧国水準を抜け出し、1人あたりGDPが着実な上昇に転じていく過程を、利用可能な数値の精査と多様な文献の活用により、災害・飢饉・環境・都市化なども視野に解明。はじめて日本の超長期GDP推計を実現し、日本史の新たな扉を開きます。

高島正憲 著
価格 5,400円
A5判・上製・348頁
ISBN978-4-8158-0890-7 C3033
在庫有り


『週刊ダイヤモンド』 [2019年6月8日号、特集「使える哲学」] から

『週刊ダイヤモンド』(2019年6月8日号、ダイヤモンド社)の特集「使える哲学」で、以下の図書が紹介されました。

【伊勢田哲治氏による紹介(クリティカルシンキング講座)】
伊勢田哲治・戸田山和久・調 麻佐志・村上祐子 編
『科学技術をよく考える —— クリティカルシンキング練習帳』

戸田山和久 著
『論理学をつくる』


『週刊読書人』 [2019年5月31日号、第3291号] から(評者:河本真理氏)

キュビスム芸術史
20世紀西洋美術と新しい〈現実〉

キュビスム芸術史

松井裕美著『キュビスム芸術史』が、『週刊読書人』(2019年5月31日号、第3291号、武久出版)で紹介されました。絵画、彫刻、文学、建築などの作品においても、理論や批評の言説においても、多面的かつ国際的な拡がりをもつキュビスム。「幾何学」的表現の誕生・深化から、二度の世界大戦を経て、歴史的評価の確立へと至る曲折に満ちた展開を、美術と〈現実〉との関係を軸に描ききります。

松井裕美 著
価格 6,800円
A5判・上製・692頁
ISBN978-4-8158-0937-9 C3071
在庫有り


『図書新聞』 [2019年6月1日号、第3401号] から(評者:饗場和彦氏)

ジェノサイド再考
歴史のなかのルワンダ

ジェノサイド再考

鶴田綾著『ジェノサイド再考』が、『図書新聞』(2019年6月1日号、第3401号、武久出版)で紹介されました。1994年の悲劇を導いた力学は、「多数派部族による少数派の虐殺」という標準的な解釈では捉えきれない。脱植民地化から体制の転換を経て内戦へと向かう複雑な過程を、旧宗主国や国連の動向、冷戦などの国際的な文脈に置きなおして丹念にたどり、その深奥から理解を一新する意欲作。

“…… なんにしても社会の事象は、複雑であるから、ルワンダのジェノサイドもそうである。しかし、本書を通して得るこの当たり前の理解が、むしろ大きな意義を持つのは、難民、移民問題を含めエスニックな文脈の事件に関しては、逆にことさら短絡化して理解される傾向が強いからである。そして、そうした単純な受け止め方は、民族問題を道具主義的に悪用しようとする政治権力(たとえば昨今の国際社会で見られる右派ポピュリズム)に対し、無防備にもなってしまうからである。
 また、ああすればよかったのに、とわたしたちはよく過去を振り返る。本書では、歴史研究ならタブーであるはずの、この「歴史のif」をあえて提起している。ルワンダのジェノサイドはその被害が常軌を逸していたため、回避・予防という問題意識が強く働くのであるが、それゆえ、本書で示される「あのとき、もしこうしていれば」という当たり前の発送は、格段の重い意義を持つわけである。
 E・H・カーが歴史とは「現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話」であると指摘したように、植民地時代から現在に至るまでの「継続性」がルワンダのジェノサイドを理解するうえで不可欠である。だから著者はルワンダ内外の公文書館や図書館で一次資料を精力的に渉猟し、丹念に読み解きつつ、また頻繁に現地を訪れインタビューも繰り返した。そうして叙述されるルワンダの歴史は緻密さと臨場感をかねて、読む者をひきつけていく。……”(『図書新聞』2019年6月1日号、第1面から)

鶴田 綾 著
価格 6,300円
A5判・上製・360頁
ISBN978-4-8158-0931-7 C3031
在庫有り


『経済セミナー』 [2019年6・7月号、通巻708号] から(評者:小島庸平氏)

もう一つの金融システム
近代日本とマイクロクレジット

もう一つの金融システム

田中光著『もう一つの金融システム』が、『経済セミナー』(2019年6・7月、通巻708号、日本評論社)で紹介されました。日本の発展を導いたのは、日銀中心の銀行システムだけではなかった。現代の郵便貯金や農協に連なる系譜をもつ「大衆資金ネットワーク」が地方経済の安定と成長に果たした役割を、資金供給の実例や制度設計から解明。見過ごされてきた半身に光を当て、経済成長の条件を問い直す意欲作。

“…… 庶民金融のミクロな世界を緻密に分析し、経済発展と関連させて大胆かつマクロに論じたところに、本書の最大の魅力がある。近年、多くの批判にさらされている財政投融資や組合金融が、歴史的に見ればきわめて重要な役割を果たしてきたことを、著者は史料に即して強調する。日本の経済発展の特徴を振り返ろうとしたとき、本書は一つの有力な解答を与えてくれることだろう。……”(『経済セミナー』2019年6・7月号、p.125)

田中 光 著
価格 6,300円
A5判・上製・360頁
ISBN978-4-8158-0932-4 C3033
在庫有り


『教育学研究』 [第86巻第1号、2019年3月] から(評者:坂井俊樹氏)

政治教育の模索
オーストリアの経験から

政治教育の模索

近藤孝弘著『政治教育の模索』が、『教育学研究』(第86巻第1号、2019年3月、日本教育学会)で紹介されました。半歩先のモデルか ——。民主主義の拡大を支え劣化を押しとどめるために、世界各国で注目される「政治教育」。先駆的な16歳選挙権を導入したオーストリアにおいても試行錯誤が続く。ナショナリズムに動員された過去から、現在のコンピテンシー重視の教育や「民主主義工房」の挑戦まで、変容と深化を跡づけます。

“…… 本書を通じて改めて政治教育とは何かを考えさせられる。オーストリアの取り組みの在り方と共に著者の分析枠組みが、ドイツの政治教育の豊富な知見が基盤にあり、明快に政治教育の概念化を、オーストリアの独特の歴史過程と結びつけながら明らかにしている。それはヒトラーのドイツの侵攻と併合の歴史過程に強く影響されているからである。著者は「世界各地の歴史を学ぶことは、それ自体が貴重な政治的学習に他ならないのである」(Ⅴ頁)と指摘するが、本書はそうした点での貴重な成果である。…… 本書に描かれたオーストリアの紆余曲折の政治教育の展開過程から、親近感と日本の課題が明確に浮きぼりにされると共に、日本の主権者教育を考えていくための貴重な提言が随所になされている。……”(『教育学研究』第86号第1号、p.106,107)

近藤孝弘 著
価格 4,100円
A5判・上製・232頁
ISBN978-4-8158-0913-3 C3037
在庫有り


『週刊読書人』 [2019年5月17日号、第3289号] から(評者:森枝卓士氏)

飲食朝鮮
帝国の中の「食」経済史

飲食朝鮮

林采成著『飲食朝鮮』が、『週刊読書人』(2019年5月17日号、第3289号、読書人)で紹介されました。牛肉、明太子、ビールなど、帝国による「食」の再編は日韓の食文化を大きく変えた。収奪論をこえて、帝国のフードシステムの歴史的意義をはじめてトータルに解明、生産・流通から植民地住民の身体に与えた影響まで、帝国の統治にはたした「食」の決定的な役割を浮かび上がらせます。

林 采成 著
価格 5,400円
A5判・上製・388頁
ISBN978-4-8158-0940-9 C3022
在庫有り


『図書新聞』 [2019年5月25日号、第3400号] から(評者:仲田誠氏)

ロボットに倫理を教える
モラル・マシーン

ロボットに倫理を教える

ウェンデル・ウォラック他著『ロボットに倫理を教える』(岡本慎平・久木田水生訳)が、『図書新聞』(2019年5月25日号、第3400号、武久出版)で紹介されました。AIやロボットは、果たして道徳的になれるのか? 間近に迫る倫理的な機械の必要性を、哲学的背景も含めて明確に提示。実現に向けた種々の工学的アプローチを概観し、困難ではあるが避けがたい取り組みのこれからを展望する。エンジニアと哲学者を架橋する待望の書。

ウェンデル・ウォラック/コリン・アレン 著
岡本慎平・久木田水生 訳
価格 4,500円
A5判・上製・388頁
ISBN978-4-8158-0927-0 C3010
在庫有り


『女性労働研究』 [第63号、2019年3月] から(評者:矢島聖子氏)

胃袋の近代
食と人びとの日常史

胃袋の近代

湯澤規子著『胃袋の近代』が、『女性労働研究』(第63号、2019年3月、女性労働問題研究会)で紹介されました。人びとは何をどのように食べて、空腹を満たしてきたのか。一膳飯屋、残飯屋、共同炊事など、都市の雑踏や工場の喧騒のなかで始まった外食の営みを、日々生きるための〈食〉の視点から活写、農村にもおよぶ広範な社会と経済の変化をとらえ、日本近代史を書き換えます。

“…… 随所に登場する『放浪記』の一節や、一膳飯屋、公営食堂、女工たちの食事、あらゆるところに登場するメニューなど本当に興味深い。私たちにも共通の「食べる」ということが中心に据えられているため、筆者が集め丹念に調べたこうした資料によって歴史に対し不思議な追体験をさせられる。たとえば一膳飯屋の朝鮮米とごった煮などの食事と清潔感のない店内、若い女工たちの豊かではないけれどにぎやかな食事風景やまるで給食のお楽しみメニューのようなぜんざい、そして『放浪記』のどうしようもない空腹感……。何度となく自分の胃袋がきゅうきゅうと反応するような記述があり、読み終わったところで、では現代はどうだろう、と目の前の食事についてしばしば考えさせられた。
 本書に胃袋をつかまれたというのは大げさだが、こんな歴史や経済のとらえ方があったのかという新鮮な驚きと喜びがあった。需要と供給、大量消費と大量生産、市場と分配、どれも教科書的に学んではいたが、こんなに身近に感じることができたのは文章としてだけではなく、五感で近代を感じることができたからだろう。”(『女性労働研究』第63号、p.203)

湯澤規子 著
価格 3,600円
四六判・上製・354頁
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


『世界の艦船』 [2019年6月号、通巻第901号] から

海軍技術者の戦後史
復興・高度成長・防衛

海軍技術者の戦後史

沢井実著『海軍技術者の戦後史』が、『世界の艦船』(2019年6月号、通巻第901号、海人社)で紹介されました。戦後日本の復興と発展に、海軍技術者たちが果たした役割とは何か。造船、自動車、新幹線開発、土木などで高度成長を下支えした技術継受の全体像を復元、防衛生産も視野にその質的・量的インパクトを客観的に叙述するとともに、技術者たちの敗戦経験の歴史的特質をも浮き彫りにします。

“…… 商船や自衛艦の建造に携わった造船技術者、車両や産業機械の発展に尽力した造機技術者、建設会社で国土の復興に努めた施設系技術者など、分野ごとに分かりやすくまとめている。さらに防衛政策への提言を行なった技術者グループの動向も見逃していない。戦後日本を黙々と支えた有名無名の海軍技術者たちの活躍を、手軽に紐解くことができる貴重な書といえよう。”(『世界の艦船』2019年6月号、p.113)

沢井 実 著
価格 4,500円
A5判・上製・256頁
ISBN978-4-8158-0943-0 C3021
在庫有り


『ジェイ・シップス JShips』 [2019年6月号、通巻86号] から

海軍技術者の戦後史
復興・高度成長・防衛

海軍技術者の戦後史

沢井実著『海軍技術者の戦後史』が、『ジェイ・シップス JShips』(2019年6月号、通巻86号、イカロス出版)で紹介されました。戦後日本の復興と発展に、海軍技術者たちが果たした役割とは何か。造船、自動車、新幹線開発、土木などで高度成長を下支えした技術継受の全体像を復元、防衛生産も視野にその質的・量的インパクトを客観的に叙述するとともに、技術者たちの敗戦経験の歴史的特質をも浮き彫りにします。

“…… 海軍技術者たちが、どのような思いを抱えて戦後を切り開き、戦前・戦中・戦後を生き抜いたかを、彼らの発言や技術観を通して明らかにしていく。造船、自動車、新幹線開発、土木など、高度成長を支えた技術継受の全体像や、防衛生産のインパクトなどについて、ときにはその問題点も指摘する客観的な考察は興味深い。”(『ジェイ・シップス JShips』2019年6月号、p.105)

沢井 実 著
価格 4,500円
A5判・上製・256頁
ISBN978-4-8158-0943-0 C3021
在庫有り


「読売新聞」 [2019年5月12日付] から(評者:宮下志朗氏)

原典 中世ヨーロッパ東方記

原典中世ヨーロッパ東方記

高田英樹編訳『原典 中世ヨーロッパ東方記』が、「読売新聞」(2019年5月12日付)で紹介されました。モンゴル帝国の侵攻はヨーロッパを震撼させ、その世界像に転換を迫った。当時、東方に派遣された修道士や商人たちは何を見、どのように記録したのか。ルブルクやマルコ・ポーロ、ハイトンらの旅行記から、書簡、教会壁画、世界地図まで全15編を原典から翻訳集成し、ヨーロッパによるアジア認識の展開をたどります。

高田英樹 編訳
価格 12,000円
菊判・上製・852頁
ISBN978-4-8158-0936-2 C3022
在庫有り


『週刊読書人』 [2019年4月19日号、第3286号] から(評者:緑慎也氏)

ロボットに倫理を教える
モラル・マシーン

ロボットに倫理を教える

ウェンデル・ウォラック他著『ロボットに倫理を教える』(岡本慎平・久木田水生訳)が、『週刊読書人』(2019年4月19日号、第3286号、読書人)で紹介されました。AIやロボットは、果たして道徳的になれるのか? 間近に迫る倫理的な機械の必要性を、哲学的背景も含めて明確に提示。実現に向けた種々の工学的アプローチを概観し、困難ではあるが避けがたい取り組みのこれからを展望する。エンジニアと哲学者を架橋する待望の書。

ウェンデル・ウォラック/コリン・アレン 著
岡本慎平・久木田水生 訳
価格 4,500円
A5判・上製・388頁
ISBN978-4-8158-0927-0 C3010
在庫有り


『国際政治』 [195号、2019年3月] から(評者:衛藤安奈氏)

対中借款の政治経済史
「開発」から二十一ヵ条要求へ

対中借款の政治経済史

久保田裕次著『対中借款の政治経済史』が、『国際政治』(195号、2019年3月、日本国際政治学会)で紹介されました。戦後ODAの淵源ともいうべき対中借款は、いかにして始まったのか。草創期にあたる日清戦後から第一次大戦期の展開を多角的にたどり、帝国主義的理解の限界をこえて、国際環境と中国側の主体性も踏まえた新たな実像を描き出す。開発と侵略の間を浮彫にする新鋭の成果。

久保田裕次 著
価格 6,300円
A5判・上製・372頁
ISBN978-4-8158-0856-3 C3021
在庫有り


『史学雑誌』 [第128編第3号、2019年3月] から(評者:岸本美緒氏)

大清帝国の形成と八旗制

大清帝国の形成と八旗制

杉山清彦著『大清帝国の形成と八旗制』が、『史学雑誌』(第128編第3号、2019年3月、史学会)で紹介されました。ユーラシア東方の覇権へ ——。マンジュ(満洲)人が支配する大帝国はいかにして生まれたのか。国家=軍事システムたる「八旗制」を軸に大清帝国の構造を満漢文史料から実証的に解明、その帝国形成を中央ユーラシア世界と近世世界の交点に位置づけることで、新たな世界史像を描き出します。

杉山清彦 著
価格 7,400円
A5判・上製・574頁
ISBN978-4-8158-0798-6 C3022
在庫有り


『ピエリア』 [2019年春号] から(評者:三代川寛子氏)

アレクサンドロス変相
古代から中世イスラームへ

アレクサンドロス変相

山中由里子著『アレクサンドロス変相』が、『ピエリア』(2019年春号、東京外国語大学出版会・附属図書館)で紹介されました。大王が征服した広大な地域に流布した伝承を、宗教・政治・歴史の分野にわたって、アラブ・ペルシアの多様なテクストにたどり、語りや図像の担い手たちが求めた「真実」に迫ります。アレクサンドロスが内包する本質と、古代世界の遺産を受けいれ再解釈していくムスリムの精神史をみごとに浮かび上がらせた力作。

山中由里子 著
価格 8,400円
A5判・上製・588頁
ISBN978-4-8158-0609-5 C3022
在庫有り


「academist Journal」 [2019年4月10日・12日] から

「ボランティア」の誕生と終焉

『「ボランティア」の誕生と終焉 ——〈贈与のパラドックス〉の知識社会学』の著者である仁平典宏先生のインタビューが、「academist Journal」(2019年4月10日・12日)に掲載されました。

【前編】「冷笑的な私」はどこから? ボランティアの歴史からたどる

【後編】日本は「純度100%」を求めがち?

『「ボランティア」の誕生と終焉 ——〈贈与のパラドックス〉の知識社会学』
A5判・上製・562頁 価格6,600円
ISBN978-4-8158-0663-7 C3036
在庫有り


『図書新聞』 [2019年4月13日付、第3395号] から(評者:岡本充弘氏)

近代世界の誕生【上下巻】
グローバルな連関と比較 1780-1914

近代世界の誕生

C.A.ベイリ著『近代世界の誕生』(平田雅博・吉田正広・細川道久訳、上下巻)が、『図書新聞』(2019年4月13日付、第3395号、武久出版)で紹介されました。【上巻】欧米から日本まで全世界に及ぶ相互連関と比較を軸に、「近代世界」成立の全体像を描ききるグローバル・ヒストリーの代表作。待望の邦訳。【下巻】世界各地の相互連関を解明し、従来の地域史や一国史を見直すことで、「多中心的」な近代史を描き出すグローバル・ヒストリーの名著。

C.A.ベイリ 著
平田雅博・吉田正広・細川道久 訳
価格 各4,500円
A5判・上製・上356頁+下408頁
ISBN 上:978-4-8158-0929-4 下:978-4-8158-0930-0
C3022
在庫有り


『東京人』 [2019年5月号、第410号] から(評者:苅部直氏)

吉野作造と上杉愼吉
日独戦争から大正デモクラシーへ

吉野作造と上杉愼吉

今野元著『吉野作造と上杉愼吉』が、『東京人』(2019年5月号、第410号、都市出版)で紹介されました。「民本主義」対「国家主義」の単純な枠組みに収まりきらない、近代社会科学最大のライバルの共通基盤と真の分水嶺はどこにあったのか。ドイツ経験などの見過ごされた契機も手掛かりに、近代日本政治の現実の焦点を捉え、デモクラシーと帝国をめぐる議論に新たな地平を拓きます。

“……著者の筆致はどちらかと言えば吉野のきびしく、上杉に対する再評価が目立つ。しかしこれは、戦後になって民主主義の先駆者として吉野が顕彰されるかたわら、上杉の活躍が忘れられた状況に対して、均整のとれた叙述をめざす姿勢の表れである。アカデミズムにおいて、異なる立場・学統が競い共存する闊達さが、戦後には失なわれ、閉塞と抑圧を再生産してきた。そうした問題意識が叙述の底に流れている。西洋の学問と日本の伝統とをいかに関係づけるかという問題も含め、現代の学問のあり方についても考えさせられる本である。……”(『東京人』2019年5月号、p.136)

今野 元 著
価格 6,300円
A5判・上製・484頁
ISBN978-4-8158-0926-3 C3031
在庫有り


『建築史学』 [第72号、2019年3月] から(評者:元岡展久氏)

〈モータウン〉のデザイン

〈モータウン〉のデザイン

堀田典裕著『〈モータウン〉のデザイン』が、『建築史学』(第72号、2019年3月、建築史学会)で紹介されました。クルマと交通システムによって創り出された環境 —— 現代の〈モータウン〉はどのようなカタチをしているのか。自動車工場や住宅から、高速道路や物流ターミナル、レジャーセンターやショッピングモールまで、生産・居住・移動・消費の観点で車社会を捉え直し、環境デザインの可能性を問う力作。

堀田典裕 著
価格 4,800円
A5判・上製・424頁
ISBN978-4-8158-0910-2 C3052
在庫有り


「書標 ほんのしるべ」 [2019年4月号] から

パチンコ産業史
周縁経済から巨大市場へ

パチンコ産業史

『パチンコ産業史』の著者・韓載香先生による自著紹介が、「書標 ほんのしるべ」(2019年4月号、丸善ジュンク堂書店)の「著書を語る」に掲載されました。本書誕生のプロセスがつぶさに語られています。【本書の内容】戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」論を超えた等身大の姿を浮き彫りにします。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。

韓 載香 著
価格 5,400円
A5判・上製・436頁
ISBN978-4-8158-0898-3 C3033
在庫有り


「日刊ゲンダイ」 [2019年4月4日付] から

胃袋の近代

『胃袋の近代 —— 食と人びとの日常史』の著者である湯澤規子先生のインタビューが、「日刊ゲンダイ」(2019年4月4日付)の HOT Interview に掲載されました。2019年3月に刊行された新刊『7袋のポテトチップス —— 食べるを語る、胃袋の戦後史』(晶文社刊)について語られています。

『胃袋の近代
  —— 食と人びとの日常史』
四六判・上製・354頁 価格3,600円
ISBN978-4-8158-0916-4 C3021
在庫有り


『社会経済史学』 [第84巻第4号、2019年2月] から(評者:鍛冶博之氏)

パチンコ産業史
周縁経済から巨大市場へ

パチンコ産業史

韓載香著『パチンコ産業史』が、『社会経済史学』(第84巻第4号、2019年2月、社会経済史学会)で紹介されました。戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」論を超えた等身大の姿を浮き彫りにする。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。

“…… 本書の意義は、戦後から1990年代に至るパチンコ産業の内的発展動向が初めて学術的観点から解明された点にある。これまでにもパチンコの歴史を扱う書籍や論文が散見されたが、それらの多くは「史実の収集と整理」に終始し、まらその史実の多くを伝聞や先行研究からの引用などに依存する傾向が見られた。本書では、先行研究を踏まえながら業界関係者へのインタビュー内容を織り交ぜ、さらに一般的には入手困難な業界内の一次データを活用し、客観的数値に基づいた史実の抽出を徹底する。「一次データが極少で実態把握が難しい」と言われるパチンコ産業研究において、本書による貫徹した実証分析による表出した多くの史実がもつ意味は極めて大きく、著者の丹念で緻密な資料分析は高く評価される。……”(『社会経済史学』第84巻第4号、鍛冶博之氏評、pp.114-115から)

韓 載香 著
価格 5,400円
A5判・上製・436頁
ISBN978-4-8158-0898-3 C3033
在庫有り


『社会経済史学』 [第84巻第4号、2019年2月] から(評者:江夏由樹氏)

産業化する中国農業
食料問題からアグリビジネスへ

産業化する中国農業

宝剣久俊著『産業化する中国農業』が、『社会経済史学』(第84巻第4号、2019年2月、社会経済史学会)で紹介されました。製造業など工業の高度成長の陰で見過ごされてきた農業。しかしその経済発展を可能にしたのは、飢饉の経験を乗り越えて、厖大な人口への食料供給を実現した農業であった。龍頭企業の台頭など、アグリビジネスでも世界的地位を築きつつある中国農業の現状を、新たな視座で描き出します。

“…… 本書のなかでは、農協と農民専業合作社との比較が論じられるなど、日本と中国の農業の対比がしばしばなされている。農村における高齢化の進行、農産品の消費構造の変化など、中国の向き合う問題の多くは日本の場合と共通するところが少なくない。農村社会の高齢化が農業の将来に難しい問題を投げかけていることは、中国も日本も同様である。「食の高度化」は飼料の輸入増加をもたらし、農業は国際市場の動きに大きく左右されている。本書が論じた中国農業の試みは日本の農業の将来にとって、どのような示唆をあたえるのであろうか。本書は中国経済の専門家だけではなく、日本の農業問題に関心をもつ人々にとっても貴重な内容を含んでいる。”(『社会経済史学』第84巻第4号、江夏由樹氏評、p.126から)

宝剣久俊 著
価格 5,800円
A5判・上製・276頁
ISBN978-4-8158-0886-0 C3033
在庫有り


『比較教育学研究』 [第58号、2019年] から(評者:木戸裕氏)

政治教育の模索
オーストリアの経験から

政治教育の模索

近藤孝弘著『政治教育の模索』が、『比較教育学研究』(第58号、2019年、日本比較教育学会)で紹介されました。半歩先のモデルか ——。民主主義の拡大を支え劣化を押しとどめるために、世界各国で注目される「政治教育」。先駆的な16歳選挙権を導入したオーストリアにおいても試行錯誤が続く。ナショナリズムに動員された過去から、現在のコンピテンシー重視の教育や「民主主義工房」の挑戦まで、変容と深化を跡づけます。

“…… 本書の特色を挙げれば次のようになろう。それは、ある特定の時期に限定された政治教育とその環境に見られる特質を論じるのではなく、連続的に百数十年の歩みを大きな流れの中で把握し(第1-3章)、その上で現在のオーストリアにおける政治教育が直面する課題に論及している点である(第4、5章)。このように政治教育に見られる発展過程を長期間にわたって観察しつつ、その意味するところが解明されている点は、われわれが日本における状況を相対的に捉える上で少なからぬ重要な手がかりを与えてくれるように思われる。…… 著者も指摘しているように、近年の諸外国の政治状況と歴史教育に目を向けるとき、歴史教育において自国史を讃える傾向が強い諸国で、いわゆるナショナル・ポピュリズムによる民主主義の劣化が早く進行している傾向がみられるようである。こうした動きを見ると、著者も言っているように、歴史教育と政治教育のより緊密な協力が求められよう。世界各地の歴史を学ぶことは、それ自体が貴重な政治的学習にほかならないからである。……”(『比較教育学研究』第58号、木戸裕氏評、pp.147-148から)

近藤孝弘 著
価格 4,100円
A5判・上製・232頁
ISBN978-4-8158-0913-3 C3037
在庫有り


「朝日新聞」 [2019年3月23日付] から(評者:間宮陽介氏)

セレブの誕生
「著名人」の出現と近代社会

セレブの誕生

アントワーヌ・リルティ著『セレブの誕生』(松村博史・井上櫻子・齋藤山人訳)が、「朝日新聞」(2019年3月23日付)で紹介されました。スキャンダラスな公共性 ——。称賛と批判につつまれた「セレブ」とは、現代のメディアが作り上げた虚像なのか、それとも新たな威光の形なのか。王族・政治家から作家・俳優・音楽家まで、近代の始まりとともに生まれた「セレブリティ」の展開をたどり、公共圏が孕むパラドックスを問います。

アントワーヌ・リルティ 著
松村博史・井上櫻子・齋藤山人 訳
価格 5,400円
A5判・上製・474頁
ISBN978-4-8158-0933-1 C3022
在庫有り


『史学雑誌』 [2019年2月、第128編第2号] から(評者:大黒俊二氏)

公共善の彼方に
後期中世シエナの社会

公共善の彼方に

池上俊一著『公共善の彼方に』が、『史学雑誌』(2019年2月、第128編第2号、史学会)で紹介されました。公共善の政治的理想のみならず、近隣・家族・職業・遊興・霊性による結びつきから、裁判記録にみられる噂と評判の世界、人間関係の結節点としての都市空間や諸々のイメージまで、中世都市に生きる人々の社会的絆を、多様な文書の丹念な解読によって描きだし、人間の共同性を更新していく力のありようを探った労作。

“…… 歴史上シエナがもっとも輝いていた13-14世紀を中心に、本書はこの時期のシエナのあらゆる局面に光を当て、政治構造から社会団体まで、遊興から宗教運動まで、都市形成の過程から絵画・建築の特徴まで明らかにしようとする。1つの中世都市についてこれほど詳細な実証研究はわが国では例がなく、彼の地でも稀であろう。本格的な中世シエナ史研究者を志す者にとって、また中世シエナに魅せられた一般読者にとって本書は最初に参照すべき基本文献といってよい。……
…… 本書はたとえていえば中世シエナという一本の巨木のようなものである。中心の公共善という太い幹が左右に枝を伸ばし、その枝がさらに小枝をつけている。そうした枝や小枝の各々が幹の公共善と微妙なつながりを保ちながらも独立した議論となっていることが多い。たとえば一大金融機関と化していくサンタ・マリア・デッラ・スカーラ施療院、自家の莫大な富を遊興に使い果たしわずか10カ月で貧窮の底に落ち込んでしまった「浪費連」、「幻の河」あるいは「ディアーナと呼ばれる水」を求めて掘り進められた地下水路のエピソードなどは、幹の議論を離れても読者をひきつけてやまない。こうした細部の充溢が幹の議論とともに本書を600頁の大著にしている。……”(『史学雑誌』第128編第2号、大黒俊二氏評、pp.84-85、p.90から)

池上俊一 著
価格 7,200円
A5判・上製・602頁
ISBN978-4-8158-0765-8 C3022
在庫有り


『パチンコ必勝ガイド メガ盛』 [Vol.15、2019年2月] から

パチンコ産業史
周縁経済から巨大市場へ

パチンコ産業史

『パチンコ産業史』の著者である韓載香先生のインタビューが、『パチンコ必勝ガイド メガ盛』(Vol.15、2019年2月)の「パ知の巨人」に掲載されました。研究のきっかけ・プロセスから本書の誕生まで、当インタビューならではの貴重な内容となっています。【本書の内容】戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」論を超えた等身大の姿を浮き彫りにします。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。

韓 載香 著
価格 5,400円
A5判・上製・436頁
ISBN978-4-8158-0898-3 C3033
在庫有り


「日本経済新聞」 [2019年3月12日付] から

現代中国の財政金融システム

『現代中国の財政金融システム』の著者である梶谷懐先生のインタビューが、「日本経済新聞」(2019年3月12日付)のオピニオン欄(「複眼」)に掲載されました。「減速する中国経済」“インフレ目標 実行に注目”

『現代中国の財政金融システム
  —— グローバル化と中央-地方関係の経済学』
A5判・上製・256頁 価格4,800円
ISBN978-4-8158-0678-1 C3033
在庫有り


「日本経済新聞」 [2019年3月9日付] から

台湾外交の形成
日華断交と中華民国からの転換

台湾外交の形成

清水麗著『台湾外交の形成』が、「日本経済新聞」(2019年3月9日付)で紹介されました。「一つの中国」という原則と、国際社会での地位存続との板挟みのなかで、台湾は何を選択してきたのか。安全保障をめぐる米国との交渉、国連の中国代表権問題、日中国交回復とその裏での対日断交などを、台湾側の動向を軸にたどり、今日の台湾外交の真の根源を浮き彫りにする画期的著作。

清水 麗 著
価格 5,400円
A5判・上製・344頁
ISBN978-4-8158-0935-5 C3031
在庫有り


『図書新聞』 [2019年3月9日付、第3390号] から(評者:大中真氏)

法と力
戦間期国際秩序思想の系譜

法と力

西平等著『法と力』が、『図書新聞』(2019年3月9日付、第3390号、武久出版)で紹介されました。「国際法 vs 現実政治」を超えて——。第一次大戦後の国際法学の中から「国際政治学」的思考は誕生した。〈国際紛争は裁判可能なのか〉という連盟期の最重要課題を軸に、法と力の関係をダイナミックに捉える諸学説の系譜をたどることで、モーゲンソーやE・H・カーらの思想を新たに位置づけ直す力作。

“挑戦の書である。…… 「新しい国際法思想史叙述の道を切り拓く」ことを本書の目的の1つとして掲げ、ラッソン、カウフマン、ブライアリの3人の国際法学者と、モーゲンソーとカーという一般には国際政治学者に分類される2人の、合計5人に主に焦点を当て、国際法学の中からいかに国際政治学的思考が誕生したのかを、探究する。すでにこの時点で読者には、本書が大きな学問的挑戦であることが充分に窺えるであろう。…… 本書の強みは、国際法学説の歴史を、自然法論と実証主義との対抗という伝統的構図のみに拘泥せず、実証主義と反実証主義(モーゲンソーは後者に自らを位置付けていたという)の方法論上の対立をも踏まえている点にある。著者は、従来の戦間期研究が紛争の裁判可能性問題に焦点を当ててこなかったことをたびたび指摘するが、新たな視角の提示がここに活かされている。例えば第4章では、国際関係史でよく扱われるロカルノ条約やパリ不戦条約ではなく、ジュネーヴ議定書(1924年)についての精緻な考察が目を引くが、これも著者の興味関心と問題提起を反映しているように思われる。……”(『図書新聞』2019年3月9日付、大中真氏評、第3面から)

西 平等 著
価格 6,400円
A5判・上製・398頁
ISBN978-4-8158-0919-5 C3032
在庫有り


「中国新聞」 [2019年2月24日付] 他から

吉野作造と上杉愼吉
日独戦争から大正デモクラシーへ

吉野作造と上杉愼吉

今野元著『吉野作造と上杉愼吉』が、「中国新聞」(2019年2月24日付)ほか11地方紙で紹介されました。「民本主義」対「国家主義」の単純な枠組みに収まりきらない、近代社会科学最大のライバルの共通基盤と真の分水嶺はどこにあったのか。ドイツ経験などの見過ごされた契機も手掛かりに、近代日本政治の現実の焦点を捉え、デモクラシーと帝国をめぐる議論に新たな地平を拓きます。[掲載紙:中国新聞・東奥日報・四国新聞・大分合同新聞(2月24日付)、新潟日報・山陽新聞(2月17日付)、日本海新聞(2月11日付)、河北新聞・福井新聞・愛媛新聞(2月10日付)、沖縄タイムス(2月9日付)、琉球新報(2月3日付)]

“……明治日本が模範とし、若き日の2人が共に留学したドイツという補助線を引いて、彼らの思想を丹念にたどり、単純な善悪二元論からの脱却を図る。2人は「一君万民的秩序を理想とし、国民の政治参加を推進しようとした点で、共に『大正デモクラシー』の担い手だった」のだと。普通選挙を支持する一方で、大衆への不信を隠さず、晩年には「東洋モンロー主義」を唱え、英米への対抗心をあらわにした「西洋派日本ナショナリズム」の吉野。他方、議会を敵視し続けながら、社会政策や人民投票に関心を示し、朝鮮人ら有色人種との連携など「対西洋自立のための日本回帰」を志向した上杉。日中戦争前後に没した2人の評価は、戦争と敗戦で目まぐるしく揺れ動いた。著者は、両者の対立構造は「今も本質的には解消されていない」とみる。トランプ米政権の誕生や、中国の台頭などにより、「リベラルな国際秩序」の終焉が議論される現在だからこそ、じっくり読みたい。”(「中国新聞」2019年2月24日付、第14面から)

今野 元 著
価格 6,300円
A5判・上製・484頁
ISBN978-4-8158-0926-3 C3031
在庫有り


「日刊工業新聞」 [2019年2月22日付] から

パチンコ産業史
周縁経済から巨大市場へ

パチンコ産業史

韓載香著『パチンコ産業史』が、「日刊工業新聞」(2019年2月22日付)の「話題の本」で紹介されました。戦前以来の縁日娯楽はなぜ、30兆円産業となりえたのか。見過ごされてきた周縁経済の躍動を、ホール、メーカー、規制の動向からダイナミックに捉え、「地下経済」論を超えた等身大の姿を浮き彫りにします。産業が存続可能となる条件を新たな視点で照射し、日本経済論の盲点に迫った初の通史。

韓 載香 著
価格 5,400円
A5判・上製・436頁
ISBN978-4-8158-0898-3 C3033
在庫有り


年度別書評一覧

近刊案内

2019年10月29日出来予定

郵政民営化の政治経済学

伊藤真利子著
A5判・上製・360頁
価格  5,400円
ISBN 978-4-8158-0968-3
Cコード 3033

近刊書籍の予約を受け付けております。予約をご希望の方は、上の「予約の受付ページへ」をクリックして受付ページへリンクしていただき、そこでご予約の手続きをお願いいたします。刊行次第、商品を発送いたします。

重版案内

2019年8月29日出来

近代世界システムⅣ

I. ウォーラーステイン 著
川北 稔 訳
A5判・上製・432頁
価格  4,800円
ISBN 978-4-8158-0746-7
Cコード 3022

2019年8月23日出来

「満洲」の成立

安冨 歩・深尾葉子 編
A5判・上製・586頁
価格  7,400円
ISBN 978-4-8158-0623-1
Cコード 3022

購入について

書籍を購入される方は以下の注文受付ページから必要事項をご記入の上ご注文下さい。

また、個別の書籍紹介ページ上からもご購入いただけます。ご購入に関する詳細については、下の「購入についての説明」をクリックして、説明をご覧ください。

その他の書籍購入方法

小会刊行の書籍は以下のオンラインショップでも取り扱っております。

お問い合わせ

書籍に関するお問い合わせ、その他のお問い合わせについては、下記のお問い合わせフォームよりお願いいたします。電話でのお問い合わせも受け付けております。

TEL:052-781-5027

FAX:052-781-0697


ページの先頭へ戻る