“本気で考えるための十番勝負!” —— 『科学技術をよく考える』
“本気で考えるための十番勝負!”
—— 『科学技術をよく考える』
いまの社会で、科学技術と無縁に暮らすことのできる人はほとんどいないと言っていいでしょう。個人のレベルだけでなく、社会的なレベルでも、科学技術についての意思決定は必要になりますが、では、個人として、あるいは社会的な決定に直接・間接的に参加する一人の市民として、こうした問題にどう向き合っていけばいいのでしょうか?
本書は、この科学技術をめぐるホットな話題を事例に用いながら、論理的に思考し議論する 「クリティカルシンキング」 のスキルを磨くことを目的としており、同時に、科学技術社会論で使われる概念・議論も学ぶことができるよう構成されています。
「科学技術についてよく考える」 ためにはいろいろなものが必要になります。具体的な個々の理論や科学的事実、技術や製品の仕組みなどを学ぶことも大事なのですが、本書で扱うのは、そういった個別の科学や技術に関する知識ではなく、そもそも科学技術と社会とのかかわりについて考えていくための考え方の枠組み、スキル、背景知識などを身につけてもらおう、というのが趣旨になっています。
【本書の構成】 目次はこちら
本書は全部で10のユニットから構成されています。各ユニットの中心となるのは、ある問題についての2つの意見であり、本書ではこれを 「課題文」 と呼んでいます。この課題文には、実際にそれぞれの問題について目にするさまざまな議論が取り入れられていて、大変実践的な内容になっており、さらに言えば、課題文には吟味するための課題という性格上、わざと詭弁的な議論をしている部分や論理のあまい部分も入れてあります。
課題文に続いて、その課題文と関連するスキルや知識についての解説と演習問題、ディスカッション課題がつけられています。スキルや知識の内容は、クリティカルシンキングに関するものも科学技術社会論に関するものもあります。また、スキルや知識の項は、それぞれ独立にも読めるように書かれており、その他、もう少し細々した知識についてはコラムという形で補ってあります。
【本書の使い方】
個人の独習にも、大学などでの授業でも利用できるようになっています。
1. 個人の独習の場合
まずはそれぞれのユニットの課題文を読み比べ、それぞれがどんな主張をしているか、どちらの主張に説得力を感じるかをまずは立ち止まって考えてみましょう。次にスキルや知識を読んで、演習問題に取り組むこととなります。クリティカルシンキングのスキルを身につけるには 「手を動かす」 ことが大事なので、実際に書きながらやってみることをおすすめします。
ディスカッション課題はさすがに一人でやるわけにはいきませんが、自分ならばそういうディスカッションでどういう意見を言いそうか、そして他の意見としてどういうものが出てきそうか、ということを自分なりに考えてみましょう。それをひととおり終えたら、あるユニットのスキルや知識を別のユニットの課題文に当てはめてみましょう。こうやって順列組合せをすることで、本書はひと粒で二度、三度、いや十度くらいはおいしい本へと変貌するはずです!
2. 大学の授業で使う場合
大学の授業で使う場合の組み立て方としては、たとえば、各ユニットに2回ずつの授業時間をあて、課題文そのものの解説とディスカッションに1回、スキルや知識の解説と、それらを使った練習問題やディスカッションに1回、といった構成が考えられます。有意義なディスカッションをするためにも、その回の課題文を事前に読んでおいてもらうことをおすすめします。
伊勢田哲治・戸田山和久・調 麻佐志・村上祐子 編
定価/本体価格 2,940円/2,800円
A5判・並製・306頁
ISBN978-4-8158-0728-3 C3040
在庫有り