内 容
世界恐慌とファシズムを背景に、市場原理主義を斥けつつも自由な競争を志向した「秩序」の思想は、新しい国家と社会をどのように構想したのか。経済学・法学にくわえ歴史・哲学・宗教にも根ざしたその全貌を、黎明期からナチスとの両義的な関係、戦後の活動やEUとの関わりまで一望し、現代への示唆を探る。
目 次
序 章 オルド自由主義とは何か
1 本書の問題意識
2 主要人物の紹介
3 研究史における特徴
4 オルド自由主義の世代論、第三世代による「現代化」
5 本書の課題と構成
第Ⅰ部
第1章 ワイマル末期の政治とドイツ「新自由主義」の成立
はじめに
1 戦間期の全般的状況とイタリア・ファシズムへの見方
2 ワイマル共和国の国家的危機の前夜に —— 1929年リュストウ講演
3 社会国家の悲劇と議会制的統治の自壊
4 国家的危機の深化と「新自由主義」の創立宣言
5 「オルド自由主義」の思想的定礎 —— ベームの教授資格論文『独占と独占闘争』
おわりに
第2章 ナチ・レジームのなかでの活動
はじめに
1 ナチ体制への転換とフライブルク・クライス
2 四カ年計画とフライブルク・クライス
おわりに
第3章 転換点1938年
はじめに
1 フライブルク学派の変化
2 保守的市民層の抵抗集団の成立
3 フライブルク教会闘争と覚書「教会と世界」
おわりに
第4章 ドイツ法アカデミー第四部会での活動
はじめに
1 召集までの経緯
2 ドイツ法アカデミー第四部会の設置と活動
3 シュメルダースのケルン講演
4 ナチ戦時経済批判・戦後再建へ —— 1941年11月シンポジウム
5 解散、ベッケラート研究会へ
おわりに
第5章 フライブルク覚書(1942/43年)
はじめに
1 「フライブルク・ボンヘッファー・クライス」の形成と「覚書」の作成
2 「フライブルク覚書」クライスの抵抗集団との密接な関わり
3 フライブルク覚書の内容的特徴
おわりに
第Ⅱ部
第6章 自由主義の思想的再構築へ
—— カトリック社会教説とオルド思想の受容
はじめに
1 時代診断(近代批判)とナチズム論
2 カトリック社会教説の受容とオルド概念の登場
3 戦後オルド自由主義者たちにおけるオルド思想
おわりに
第7章 新しい社会・経済・国家秩序
はじめに
1 業績競争秩序と現代国家の再構築へ —— オイケンを中心に
2 民主主義の再建、共和主義的な自由主義 —— レプケを中心に
3 法治国家、民主主義、社会国家の関係
4 法治国家および基本法の「社会的法治国家」をめぐって
おわりに
第8章 戦後政治のなかのフライブルク・クライス
はじめに
1 非ナチ化問題・罪責問題
2 占領行政期とフライブルク学派
3 反独占政策の追求
4 社会的市場経済とフライブルク学派
おわりに
第9章 ヨーロッパ統合とオルド自由主義
はじめに
1 共通市場かヨーロッパ自由貿易か
2 ミュラー=アルマックにおける社会的市場経済とヨーロッパ統合
3 1960年代の欧州統合の路線対立 —— アトランティック協調か独仏枢軸か
4 退任後のミュラー=アルマックのヨーロッパ構想・諸提言
おわりに
補 論 ユーロ圏危機以後のオルド自由主義
1 南欧危機・ユーロ圏危機へのEU執行部の対応批判
2 「ターゲットシステム」とその批判
3 競争連邦主義、補完性原理の対置
4 「マーストリヒト2・0」と負債償却協定をめざして
5 コロナ危機対応=EU共同債(次世代EU)の発行へ
まとめ 図式的なオルド自由主義批判をこえて
終 章
はじめに
1 本書から確認できること
2 オルド自由主義における社会政策・社会統合に関わる思想
3 補完性原理と欧州統合
おわりに
あとがき
注
図版一覧
索 引
関連書
『三つの新体制』 W. シヴェルブシュ 著/小野清美・原田一美 訳
『ウェーバー 近代への診断』 D.ポイカート 著/雀部幸隆・小野清美 訳


