内 容
ヒロシマを世界に伝えたジャーナリスト、ロベルト・ユンク。ドイツのユダヤ人家庭に生まれ、迫害を生き延びた激動の生涯を、20世紀の歴史とともに描き上げる初の伝記。1945年までの青年期を中心に、透徹した『世界週報』論説や「プレスの自由」研究などナチ時代の活動に光をあてる。
目 次
序 章 「短い20世紀」を駆け抜ける
—— ユンクの生涯と少年時代
1 ユンク研究の現状と課題
2 自伝と本書の対象時期、および史資料
3 本書の構成と表記について
4 ユンクの成育環境と少年時代
補論1 最近の伝記研究の目的と方法
第1章 20代前半の亡命と遍歴
はじめに
1 亡命と抵抗の歴史的概観
2 パリ亡命からベルリン帰還期(1933年5月~36年11月)
3 プラハ亡命期(1936年11月~38年5月)
4 チューリヒとパリの往還期(1938年5月~39年1月)
5 ロンドン滞在期(1939年1月~4月)
6 チューリヒ大学の学生時代・前期(1939年5月~42年12月)
7 スイス滞在の法的な規制措置
おわりに
補論2 ヘルマン・ゴールドシュミットのニヒリズム論
第2章 「無敵の怪物」を探る
—— 1940/41年の「第三帝国」論
はじめに
1 1940年の欧州情勢
2 第三帝国の相談役と兵士たち
3 電撃戦と宣伝戦
4 将帥と外交
5 戦争三年目の冬を迎えて
おわりに
第3章 「終わりの始まり」を見通す
—— 1942年の「第三帝国」論
はじめに
1 世界戦争に向かって
2 ハイドリヒとロンメル
3 テロ支配の先鋭化
4 崩壊への序曲
おわりに
補論3 アドリエン・トゥレルの「ウルトラ技術未来」論
第4章 危機の中の学的営為
—— 1942年秋~1944年夏
はじめに
1 母ゼリの救出と収容
2 ユンクの国外退去処分と収容
3 博士論文を仕上げる
おわりに
第5章 「プレス(出版・報道)の自由」の歴史認識
—— ユンクの博士論文
はじめに
1 カール・ヴェーバーのスイス・ジャーナリズム史論
2 ナチ政権期スイスの報道政策
3 ユンクの博士論文『1823~29年プレス評決下のスイス』(1944年)
おわりに
第6章 「第三帝国」の終末を越えて
—— 1945年のユンク論説
はじめに
1 論説活動再開への道のり
2 『オブザーバー』通信員の記者活動
3 最初のユンク署名論説 —— ヒトラー暗殺計画の全物語
4 廃墟の戦後ドイツ取材旅行
5 敗戦ドイツとニュルンベルク裁判
おわりに
終 章 迫害と抵抗の青春を生きる
はじめに
1 追放と抵抗の青春の諸類型
2 若き政治亡命者の事例 —— ブルーノ・クライスキー
3 ヴァイスおよびゴールドシュミットとユンクの共通項
4 ユンクの青年時代を振り返って
おわりに
あとがき
註
史資料と主要参考文献
略語一覧
図版一覧
索 引
関連書
『戦後ヒロシマの記録と記憶 上・下』 若尾祐司・小倉桂子 編
『ヒロシマ』 ラン・ツヴァイゲンバーグ 著/若尾祐司・西井麻里奈・髙橋優子・竹本真希子 訳
『ヨーロッパ家族社会史』 M・ミッテラウアー,R・ジーダー 著/若尾祐司・若尾典子 訳