書籍の内容
①市民的結婚の法制化、②結婚行動と家族形成の実態、③女性運動による結婚・家族制度の批判、の3つの視角から、19世紀ドイツにおける「結婚の社会史」に迫るとともに、「ドイツ特有の道」論との関連を問うことを通じて、「近代」の歴史的構図を鋭く批判する。
書籍の目次
序 論
1 キリスト教と結婚
2 市民的結婚と本書の課題
第Ⅰ部 結婚と家族の法制化
1 18世紀末ドイツの結婚法制
—— その比較史的特質
はじめに
1 近世の西欧諸国における結婚法制
2 プロイセン一般ラント法の婚姻規定
おわりに
2 19世紀前半プロイセンの離婚法問題
はじめに
1 イデアリスムスと離婚法
2 1830年ラント法改訂草案
3 1842年離婚法案
4 結婚=制度論の確立
おわりに
3 ドイツ諸邦の結婚規制
はじめに
1 村落共同体と結婚規制
2 西南ドイツの結婚規制
3 結婚規制の影響
おわりに
4 統一ドイツの国家形成と強制民事婚
はじめに
1 1848年革命と強制民事婚
2 反動期プロイセンの婚姻法問題
3 北ドイツ連邦議会による結婚制限の破棄
4 強制民事婚の成立
おわりに
小 括(1)
第Ⅱ部 工業化と家族形成
—— 北西ドイツのラーヴェンスベルク地方を中心に
5 プロト工業家族の歴史的位相
はじめに
1 農村社会の人口増加
2 カメラリスムスと家内工業家族
3 プロト工業家族の特徴
おわりに
6 プロト工業家族から労働者家族へ
—— 窮乏化のなかの農村下層と地域社会
はじめに
1 リネン生産と買入制
2 プロト工業家族の危機
3 窮乏化と地域社会
4 結婚行動の特徴
おわりに
7 工業化および都市化と居住・結婚行動
—— ビーレフェルトの事例研究
はじめに
1 工業化と労働者層の形成
2 労働者層の居住行動
3 労働者層の結婚行動
4 市民層の居住・結婚行動
おわりに
8 ミシンと女性労働
—— 肌着類産業を中心に
はじめに
1 ミシンの普及
2 肌着類産業と女性労働
おわりに
小 括(2)
第Ⅲ部 市民女性運動と結婚・家族制度の批判
9 穏健派の母性主義と家父長制批判
はじめに
1 女性運動史論
2 女性の職業・公共活動
3 結婚・家族と家父長制
おわりに
10 急進派と女性の自己決定権
はじめに
1 急進派女性運動の形成
2 共同化への努力
3 急進派と婚姻・家族法問題
4 刑法218条(堕胎罪)の問題
おわりに
小 括(3)
補 論 家族・女性史研究と「ドイツ特有の道」論
はじめに
1 家族・女性史の研究基盤
2 家族圏と「特有の道」
おわりに
あとがき
引用雑誌略号
人名索引