内 容
知識観の分裂をもたらした近代的知識論を批判しつつ、行為の場面から生態系・知的分業秩序までを視野に入れ、知覚知・言語知から科学知・実践知へと広がる知識の領域、そして暗黙知を含めた知識の深層を照射。そのリアルな姿を求めて、環境としての知識構想を展開した白熱の論集。
執筆者一覧
(執筆順)
森際康友 田村 均
大沢秀介 横山輝雄
戸田山和久 別所良美
柴田正良
目 次
[提起]知識とはどのように成り立ち、何の役に立つのか ………… 森際康友
[Ⅰ] 知識の構造
1 知識の個人主義
—— 近代哲学の神話 ………… 大沢秀介
反個人主義の勇み足
—— 大沢論文への批判(別所良美)
批判への応答
2 人間的知識の構造
—— システム論的外界主義に向けて ………… 森際康友
スペンサリズムの亡霊
—— 森際論文への批判(大沢秀介)
批判への応答
3 知識と情報
—— 動物は信じない ………… 戸田山和久
意識の流れは情報化できるか
—— 戸田山論文への批判(田村均)
批判への応答
4 知識とスキル
—— 知識から信念を引くと何が残るか ………… 柴田正良
認識論を正しく葬り去るために
—— 柴田論文への批判(戸田山和久)
批判への応答
[Ⅱ] 知識の生態
5 経験的知識の成立
—— 所与・効用・社会 ………… 田村均
経験知の権威とその調達方法をめぐる疑問
—— 田村論文への批判(森際康友)
批判への応答
6 科学論と知識論
—— 科学知識に対する2つのアプローチ ………… 横山輝雄
事実認定から態度決定へ
—— 横山論文への批判(柴田正良)
批判への応答
7 暗黙知と共同体
—— 知識論から社会理論へ ………… 別所良美
ポラニーで公共的批判の可能性を基礎づけできるか
—— 別所論文への批判(横山輝雄)
批判への応答
[結びと展望] 知識という環境 ………… 森際康友
[付録] 正当化された真なる信念は知識だろうか ………… E.L.ゲティア(柴田正良訳)
あとがき
文献表
索 引
関連書
『専門知を再考する』 H・コリンズ,R・エヴァンズ 著/奥田太郎 監訳/和田 慈・清水右郷 訳
『リヴァイアサンと空気ポンプ』 スティーヴン・シェイピン,サイモン・シャッファー 著/吉本秀之 監訳/柴田和宏/坂本邦暢 訳