内 容
啓蒙の運動に参加したのは男性だけではない ——。フランス革命の衝撃に揺れる英国において、政治論や教育論を著した5人の女性たち。ラディカルから保守まで立場を異にしつつも、葛藤のなか、あえて「啓蒙する」主体となった彼女らの挑戦を精緻に跡づけ、新たな思想史叙述の方法を実践する。
目 次
序 章 啓蒙と女性
1 解釈のなかの啓蒙と女性
2 歴史研究における啓蒙と女性
3 第一の研究視角 —— 女性思想家たちの視点
4 第二の研究視角 —— 動詞としての「啓蒙」
第1章 女性思想家たちにとっての「啓蒙」
1 対象の設定 —— 18世紀末イギリスの五人の女性思想家たち
2 問題の設定 —— いかにして啓蒙の主体になりえたのか
3 方法の設定 —— 個人の主観の分析
第2章 啓蒙された愛の希求
—— メアリ・ウルストンクラフトの2つの『擁護』
1 ウルストンクラフトの「力強さ」
2 ウルストンクラフトと「新しい世界」
3 『人間の権利の擁護』——「啓蒙された自己愛」の追求
4 「愛」をめぐるバーク批判 —— 理性の「光」に照らして
5 「啓蒙された哲学者」への批判 ——「誠実さ」をめぐって
6 『女性の権利の擁護』——「啓蒙された哲学者」としての自己呈示
第3章 服従のための啓蒙
—— ハナ・モアの反革命パンフレット
1 モアの「矛盾」
2 モアと福音主義信仰 ——「弱さ」と「強さ」
3 『村の政治』の執筆とその意味づけ
4 『デュポン氏の演説についての所見』の執筆とその意味づけ
5 フランス革命の無神論に抗して —— 亡命聖職者の救済チャリティ
6 政治にたいする宗教の優越性 ——「女性的」資質の価値
7 パンフレット出版後の自己省察 —— 平静を保つために
8 『現代女子教育体系批判』—— 女性の理解力の「啓蒙」
第4章 日常生活に根ざした啓蒙
—— アナ・バーボールドの政治パンフレット
1 バーボールドの「手ごわさ」
2 非国教徒のなかの「異議」—— 政治パンフレットの出版
3 政治パンフレットにおける自己呈示 —— 匿名という選択
4 「謎かけ」の装置としての筆名使用 —— 精神を鍛えるために
5 「女性的」価値に根ざした学び合い —— 社交性と共感をもとに
6 日常のミクロな「啓蒙」への期待 ——『マンスリー・マガジン』の論考
第5章 女性の経験にもとづく啓蒙
—— メアリ・ヘイズの論争への参加
1 ヘイズの「独自性」
2 非国教徒の論争文化とウルストンクラフトの助言
3 『マンスリー・マガジン』誌上の論争の展開
4 エルヴェシウス哲学の擁護 —— ゴドウィン哲学との距離
5 女性の知的能力の擁護 —— 個人の情念がもつ変革の力
6 女性の「愛」がもたらす社会的効用 ——『男性にたいする訴え』
7 「啓蒙された時代」を展望することの困難
第6章 世代継承される啓蒙
—— ジェイン・ウェストの若者宛ての『手紙』
1 ウェストの「マイナー性」
2 ウェストの体制擁護論 —— 主教パーシーの庇護のもとで
3 『ある若者への手紙』における急進派との戦い
4 『ある若者への手紙』における福音主義勢力との戦い
5 歴史の継承性と母親の役割 ——「真に正統的」な保守として
6 「啓蒙」の担い手としての自己認識 ——『ある若いご婦人への手紙』
7 若い女性に求める「啓蒙」—— 近隣コミュニティへの奉仕
終 章 女性思想家たちの「啓蒙」経験
1 啓蒙の担い手としての主張
2 啓蒙への参加を可能にしたもの
3 女性思想家たちへの批判 —— アンチ・ジャコバンという「暗黒」
4 政治的対立への忌避感 —— 女性思想家たちの「沈黙」
5 「女性の知」の可能性を求めて
あとがき
注
文献一覧
図版一覧
索 引
関連書
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『島々の発見』 J.G.A. ポーコック 著/犬塚 元 監訳/安藤裕介・石川敬史・片山文雄・古城毅・中村逸春 訳
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『ヒューム イングランド史 Ⅰ・Ⅱ』 犬塚 元・壽里 竜・池田和央 訳


