内 容
商品市場の統合から国際金融システムの構築まで、域内各地で沸き起こる経済活動のうねりを巧みに結びあわせ、外部世界へと接続した中継港シンガポールの役割を多角的に分析。植民地化による分割をこえた東南アジア地域の形成過程を捉え、自律的発展のメカニズムを新たな次元で実証する。
目 次
凡例・略語一覧
地 図
序 章 国際中継港からみたアジア間貿易とグローバル経済
—— 長期の19世紀とシンガポール
はじめに
1 グローバル経済史とアジア経済史
2 西洋の衝撃とアジア間貿易論
3 長期の19世紀
4 東南アジア域内交易と国際中継港への注目
5 アジア域内「市場統合」の実証
6 東南アジア地域史の断絶を超えて
7 本書の構成
第Ⅰ編 東南アジア域内交易の成長とシンガポールの勃興
第1章 国際中継港の起源
——「華人の世紀」とシンガポールの登場(18世紀から1820年代)
はじめに
1 「華人の世紀」におけるアジア域内交易のパターン
2 域内交易の構造と東南アジア貿易の推計(1800~1830年)
3 1820年代におけるシンガポール貿易の初期発展
おわりに
第2章 遠隔地貿易と域内交易の融合と成長
—— シンガポールの台頭(1828~73年)
はじめに
1 西洋植民地の貿易統計
2 英蘭植民地を中心とした貿易パターン —— 分析の枠組み
3 英蘭植民地を中心とした東南アジア貿易の規模と趨勢
4 シンガポール域内交易の特徴
5 広域東南アジアにおける貿易拡大と地域性
おわりに
第3章 一次産品輸出の成長とシンガポール
—— 中継港からステープル港へ(1874~1913年)
はじめに
1 1870年代以降の東南アジア植民地化と貿易発展
2 東南アジア貿易のパターンとシンガポールの中継機能
3 域内交易の変容とステープル貿易成長
おわりに
第Ⅱ編 国際中継港を介した商品流通システムの発達
第4章 中継港機能の形成と発展
—— 綿製品と東南アジア現地産物の交易(19世紀前半)
はじめに
1 綿製品と東南アジア産物の交易発展
2 英蘭関税政策の展開
3 商業取引における仲介華人商人の役割
4 綿製品域内輸出の地域性と商人活動
5 仲介華人商人とアジア人商人の取引
6 新旧商品流通の接続と融合
おわりに
第5章 シンガポールをハブとする域内市場統合
—— 米貿易の発展(1828~70年)
はじめに
1 1870年以前の東南アジアの米貿易
2 シンガポールの米貿易と市場取引
3 市場統合分析の枠組み
4 米価データ
5 米価収斂と構造変化 —— 分析結果1
6 市場統合パターンの転換 —— 分析結果2
7 ビルマ米市場の統合 —— 分析結果3
おわりに
第6章 域内交易の構造転換とアジア人商人
—— ステープル港への成長(19世紀末)
はじめに
1 ステープル貿易成長と域内米交易の連関
2 アジア域内貿易関係の転換 —— 1870年以降の変化
3 アジア人商人活動の競合と適応
おわりに
第Ⅲ編 国際中継港の決済・金融システムと国際収支調整
第7章 国際中継港の決済システム
—— 貨幣流通拡大と為替市場の成長(19世紀中葉)
はじめに
1 シンガポールの貨幣流通 —— 銀・金・銅貨流通の発展
2 西欧からの銀流入の拡大 —— 東南アジア銀貿易の推計
3 為替銀行の台頭と決済システムの形成
おわりに
第8章 シンガポールにおける裁定取引メカニズム
—— 為替市場とブリオン市場の調整(19世紀中葉)
はじめに
1 異質な貨幣システム間の調整へのアプローチ
2 為替市場とブリオン市場の相互作用 —— シンガポール-ロンドン間の分析
3 ジャワからシンガポールへの銀流入
おわりに
第9章 東南アジア域内交易の均衡的成長
—— 購買力平価と交易条件の分析(1820~1913年)
はじめに
1 購買力平価と交易条件に関する経済史研究の課題
2 物価指数の選択 —— 分析手法とデータ
3 購買力平価は成立したのか —— 分析結果
4 交易条件と域内交易の成長
おわりに
終 章 東南アジア地域経済の形成
—— シンガポールをハブとする域内交易の発展
1 東南アジア域内交易の成長とシンガポール
2 アジア域内市場統合と近代グローバル経済
3 東南アジア地域経済の歴史性
付録Ⅰ 週次・月次米価とデータ調整
付録Ⅱ ブリオン取引コストの推計
付録Ⅲ ジャワの域内交易の貿易物価指数(1825~1873年)
参考文献
あとがき
図表一覧
索 引
関連書
『世界史のなかの東南アジア 上・下』 アンソニー・リード 著/太田 淳・長田紀之 監訳


