書籍の内容
本書は、ケネー、リカード、マルクス、マーシャル、ワルラス、スラッファなど著者が40年間の経済学研究の途上でめぐり会った忘れえぬ独創的経済学者たちとの対話を通じて、正統派近代経済学体系とは異なる独自の経済学体系の構想を提示する。古典派経済学復権の試み。
書籍の目次
第1章 経済学研究への発足 —— ケネーの 『経済表』 をめぐって
1 ケネーとの出会い
2 ケネーの生涯
3 私のケネー研究
4 ケネーの 「経済表」
Q&A
第2章 リカード経済学への傾斜 —— スラッファのマーシャル批判を介して
1 リカード研究会
2 スラッファの初期論文
3 スラッファによるリカードの復位
4 スラッファのマーシャル批判
5 費用不変のテーゼ
Q&A
第3章 スラッファのリカード論 —— 初期利潤論と不変の価値尺度を中心に
1 『リカード全集』 への 「編者序文」
2 初期リカードの利潤論
3 不変の価値尺度
4 穀物比率論の問題性
Q&A
第4章 マーシャルの均衡理論
1 需要と供給の均衡
2 価値論争と時間区分
3 均衡分析の限定性
4 道徳科学と物理数学的科学
5 力学的均衡を越えて
Q&A
第5章 マーシャル体系の発展 —— ピグーの経済分析の再建を中心に
1 適者生存法則と代替法則
2 哲学者シジウィックの貢献
3 「自然的自由の制度」 の限定性
4 ピグーによる供給分析の再建
5 市場経済制度の限界
Q&A
第6章 「貨幣的経済」 分析の深化 —— ワルラス、ウィクセル、ケインズ
1 「組織された信用」 とその接近法
2 「二分法」 的接近法
3 ワルラス一般的均衡理論の 「貨幣化」
4 「自然的利子率」 と 「貨幣利子率」
Q&A
第7章 ケインズ研究事始 —— ケインズの 『確率論』 を介して
1 ケインズとの巡り会い
2 私のケインズ開眼
3 ケインズのベンサム主義批判
4 ムーアの 『倫理学原理』
5 初期ケインズのベンサム主義批判
Q&A
第8章 ケインズの行動仮説と方法論的個人主義
1 方法論的個人主義をめぐって
2 市場における行動仮説
3 「投資市場」 における資産家の行動
4 合成の誤謬 —— 貯蓄の不妊性
5 企業者行動と合理性の仮定
Q&A
第9章 ケインズのマクロ理論の存在根拠
1 全体の経済行動の理論
2 経済体系は自律調整的か?
3 マクロとミクロ —— 大数の法則
4 経済体系の安定性
Q&A
第10章 スラッファへの回帰 —— スラッファによる古典派経済学の復興
1 スラッファによる古典派理論の復位
2 スラッファの始原的モデル —— 「穀物比率」 による利潤率の決定
3 「基礎財」 と 「非基礎財」 から成るモデル
4 モデルの 「完結性」 と自由度
Q&A
第11章 スラッファ体系の特質 —— マルクスに対比して
1 再生産論と生産価格論の統一
2 網の目と煙突
3 現実の体系と標準体系
4 マルクスの総計一致の命題
Q&A
第12章 スラッファ体系の自律調整機構 —— ハイエク批判によせて
1 スラッファと 「市場均衡」
2 スラッファのハイエク批判
3 先物市場と商品利子率
4 市場均衡の三条件
5 市場均衡と 『商品の生産』
Q&A
関連書籍の紹介
『新版 社会経済システムの制度分析』 植村博恭・磯谷明徳・海老塚 明 著
『ケインズ経済学の再生』 P. デビッドソン 著/永井 進 訳
『現代制度派経済学宣言』 G.M. ホジソン 著/八木紀一郎・橋本昭一・家本博一・中矢俊博 訳
『資本主義は生きのびるか』 J.A.シュンペーター 著/八木紀一郎 編訳
『新版 経済思想史』 大田一廣・鈴木信雄・高 哲男・八木紀一郎 編