書籍の内容
景気循環はどのようにして起こるのか。どうすれば不況による社会的損失を小さくできるのか。カオス理論など動学理論の最新の成果をふまえ、数学的解析とシミュレーションをバランスよく用いることによって、有効需要はもちろんマクロ安定化政策の効果を組み込んだ循環的成長モデルを構築。混迷する経済政策に確かな基礎を提供する。
書籍の目次
はじめに
第Ⅰ部 景気循環理論と動学理論
第1章 景気循環理論への序論
1-1 景気循環とは何か
1-2 非線型動学理論の必要性
1-3 決定論か確率論か
1-4 微分方程式か差分方程式か
1-5 動学的体系における定常点の局所安定条件
第2章 Kaldor モデルとその展開
2-1 はじめに
2-2 Kaldor [1940] の景気循環論
2-3 平面における微分方程式 : 振動論の立場から
2-4 安井 [1953] モデル
2-5 平面における微分方程式の安定性理論
2-6 Chang & Smyth [1971] モデル
第3章 Goodwin の成長循環とその展開
3-1 はじめに
3-2 生物学における変動理論1
3-3 Goodwin [1967] モデル
3-4 生物学における変動理論2
3-5 Medio [1980] モデル
3-6 差分方程式における1次元カオス
3-7 カオスの適用 : Pohjola [1981] モデル
第4章 分岐理論
4-1 はじめに
4-2 鞍点-結節点 (saddle-node) 分岐
4-3 安定性交替 (transcritical) 分岐
4-4 熊手型 (pitchfork) 分岐
4-5 Hopf 分岐
第5章 連続時間におけるカオス経済動学
5-1 はじめに
5-2 カオスに至る道筋とストレンジ・アトラクター
5-3 微分方程式とカオス
5-4 差分-微分方程式とカオス
5-5 マクロ動学モデルにおける政策ラグ : Kaldor モデル
5-6 まとめ
第Ⅱ部 景気循環に関する3つのモデル
第6章 Harrod の不安定性原理再考
6-1 はじめに
6-2 生産関数と稼働関数
6-3 基本モデル
6-4 Robinson 的要素を含んだ Harrod-置塩型投資関数
6-5 数値計算
6-6 まとめ
Appendix A: 命題6.1の証明
Appendix B: 命題6.4の証明
第7章 裁量的財政政策における政策ラグと 「成長循環」 モデル
7-1 はじめに
7-2 モデル
7-3 モデル分析
7-4 財政政策におけるタイムラグ
7-5 資本蓄積を考慮した Keynes-Goodwin モデル
7-6 まとめ
第8章 貨幣経済における異時点間の最適化モデル
8-1 はじめに
8-2 モデルの設定
8-3 モデルの分析
8-4 モデルの修正 : 持続的不況と恐慌の発生
まとめ
関連書籍の紹介
『新版 社会経済システムの制度分析』 植村博恭・磯谷明徳・海老塚 明 著
『ケインズ経済学の再生』 P. デビッドソン 著/永井 進 訳
『現代制度派経済学宣言』 G.M. ホジソン 著/八木紀一郎・橋本昭一・家本博一・中矢俊博 訳
『資本主義は生きのびるか』 J.A.シュンペーター 著/八木紀一郎 編訳