内 容
第一次大戦の戦争経験からヨーロッパ統合を構想し、やがて自らファシストを宣言するにいたった作家ドリュ・ラ・ロシェル。ナショナリズム、身体文化、モダニズム、反ユダヤ主義など、時代のコンテクストの中でドリュ作品を捉えるとともに、ファシズム生成の論理を内在的に描きだした力作。
目 次
はじめに
序 章 フランスにおけるファシズム像の変遷
第Ⅰ部 ナショナリズムの彼方へ
第1章 幻影の戦争 1893-1917
1 幼年期の終わり
2 プチ・ブルジョワのロマン主義
3 夢と行動
第2章 復員作家の誕生 1917-1920
1 「ぼくは君たちのところに戻ってくる、男たちよ」
2 1917年問題
3 ふたたびヴェルダンへ
第3章 モデルニテとの格闘 1921-1927
1 世界大戦後のナショナル・アイデンティティ
2 モーリス・バレスとシャルル・モーラス
3 シュルレアリストとの訣別
4 新しい作家像を求めて
第Ⅱ部 ファシズムを飼い慣らそうとしたフランス人
第1章 若いヨーロッパ人 1921-1933
1 祖国から連邦へ
2 『すべての祖国に抗してヨーロッパを』
3 非順応主義青年たちと知識人の文体
4 右でなく左でなく
第2章 ファシスト社会主義 1934
1 フランス・ファシズム第二期の諸問題
2 ドリュ・ラ・ロシェルのファシズム理解
3 声の幻像
4 大量死への想像力
第3章 文学的ファシズム 1933-1939
1 『シャルルロワの喜劇』
2 知識人の抗争
3 フランス・ファシズムの記憶
4 『ジル』
第Ⅲ部 フランス・ファシズム史のなかのドリュ・ラ・ロシェル
第1章 フランス・ファシズムの碑 1939-1940
1 奇妙な戦争
2 1940年、ヴィシーからパリに向かった人々
3 フランス・ファシズムと反ユダヤ主義
第2章 人種、中世、ゲルマン的ヨーロッパ 1941-1942
1 対独協力第二期(前期)における転回点
2 ファシスト的ヨーロッパ
3 ファシズムの宗教的次元
第3章 政治的ロマン主義 1942-1945
1 対独文化協力の行き詰まり
2 二重生活
3 政治的ロマン主義
註
あとがき
図版出典一覧
主要参考文献
索 引
書 評
【朝日新聞書評】