内 容
マーシャルを中心に、ジェヴォンズ、ワルラス、シュムペーター、ケインズ等を配し、19世紀末から20世紀前半にかけての時代思潮を背景に近代経済学誕生のドラマを清新な筆致で描く。理論と評伝が渾然一体となって、経済学史がこれほどおもしろく書かれたことがあったろうか。
目 次
序
第Ⅰ部 古典派への反逆とその継承
第1章 ジェヴォンズ革命の衝撃
はじめに
1 リカード=ミルの権威への挑戦
2 リカードへの青春の忠誠
第2章 『産業経済学』 から 『経済学原理』 へ
はじめに
1 時間区分の謎
2 「正常」 概念の変化
第3章 「経済理論」 の擁護
はじめに
1 ケンブリッジ大学教授就任講演
2 イギリス歴史学派の古典派批判
3 マーシャルの 「連続性の原理」
第4章 新たなる古典派の再生
はじめに
1 「反チェンバレン宣言書」 をめぐるマーシャル
2 マーシャルによるマンチェスター学派および賃金基金説批判
3 マーシャル体系の核心は何か?
第Ⅱ部 社会主義への憧景と反発
第5章 数理経済学への期待と不安
はじめに
1 ワルラスの期待
2 マーシャルの不安
第6章 社会正義への情熱
はじめに
1 父親からの遺産
2 ローザンヌ学派の創設者として
第7章 ワルラスの 「科学的社会主義」 をめぐって —— ワルラスとマーシャル
はじめに
1 「科学的社会主義者ワルラス」
2 マーシャルと政府の役割
3 マーシャルにおける 「代替の原理」
4 「経済的騎士道の社会的可能性」
第Ⅲ部 権威への反逆と執着
第8章 マーシャルの権威への挑戦 —— シュムペーターの場合
はじめに
1 「自然は飛躍せず」 への挑戦
2 シュムペーターの外部経済論批判
第9章 マーシャルの権威の拡張 —— 価値論を中心として
はじめに
1 マーシャルの市場構造
2 マーシャルの競争過程
3 マーシャル価値論の総体的提示
第10章 マーシャルの権威の崩壊 —— ケインズの場合
はじめに
1 経済体系は自己調整的か?
2 なぜ利子率はかくも高いのか?
3 『一般理論』 と経済学の革新
関連書
『新版 社会経済システムの制度分析』 植村博恭・磯谷明徳・海老塚 明 著
『現代制度派経済学宣言』 G.M. ホジソン 著/八木紀一郎・橋本昭一・家本博一・中矢俊博 訳
『資本主義は生きのびるか』 J.A.シュンペーター 著/八木紀一郎 編訳
『新版 経済思想史』 大田一廣・鈴木信雄・高 哲男・八木紀一郎 編