内 容
ハイダー現象をもたらした歴史認識の深刻な歪みを、ナチズムへの加担をめぐる自己理解の問題として、「犠牲者神話」の闇に取り組む歴史教育の葛藤に満ちた現場から浮き彫りにするとともに、歴史意識と国家像、ネーションと極右主義の清算されざる関係を鋭く問い直す。
目 次
はじめに —— もう一つのオーストリア
第1章 黒青連立政権の問いかけ
1 無視された警告
2 自由党政権入りの反響
3 黒青連立政権の100日
4 制裁解除
第2章 歴史教科書が示す戦後オーストリア
1 オーストリア歴史教科書への批判
2 オーストリア占領?
3 転機としての90年代
第3章 「過去」の抑圧
1 犠牲者神話の形成
2 ヴァルトハイム事件
第4章 追想の年 1988年
1 教育省政治教育課の対応 —— 極右主義への取り組み
2 生徒が現代史を研究する
おわりに —— オペラ座横に現れたコンテナ
注
参考文献
索 引