内 容
現代日本の歴史において重要な役割を果たしてきた日教組。膨大な非公開史料や関係者へのインタビューに基づき、リアルな日教組像を明らかにする学術的研究。下巻では、1980年代の労働戦線の再編から、教育運動の転換、文部省との「歴史的和解」まで、新たな路線選択の時代に迫る。
執筆者
(執筆順)
広田照幸 香川七海
末冨 芳 植上一希
筒井美紀 佐藤晋平
田中真秀 小野方資
目 次
第Ⅱ部 混迷と和解
序 章 社会の変化と日教組 …………… 広田照幸
はじめに
1 日教組の運動の高揚と混迷
2 本巻の構成と資料・データ
第1章 1980年代の労働戦線再編の中で …………… 広田照幸
はじめに
1 労働戦線統一への流れ
2 1980年代前半の日教組
3 日教組の400日抗争と路線選択
4 反主流派の離脱
おわりに
第2章 「400日抗争」の過程 ………… 広田照幸・末冨 芳・筒井美紀・田中真秀・香川七海
はじめに
1 400日抗争前半期(1986年8月29日―87年3月13日)の展開
2 400日抗争後半期(1987年3月14日―88年2月3日)の展開
おわりに
第3章 1989年の分裂 …………… 植上一希
はじめに
1 なぜ分裂したのか
2 主流派幹部の情勢判断と運動論理
3 反主流派幹部の情勢判断と運動論理
おわりに
第4章 文部省との「歴史的和解」の政治過程 …………… 広田照幸
はじめに
1 和解の背景
2 なかなか進まない関係改善
3 和解のプロセス1 —— 自社さ政権の成立と村山首相
4 和解のプロセス2 —— 与謝野文相が動く
5 和解のプロセス3 —— 文部省と日教組との協議
6 自民党と文部省の事情
おわりに
第5章 1990年代の路線転換と21世紀ビジョン委員会 …………… 佐藤晋平・広田照幸
はじめに
1 21世紀ビジョン委員会の設置
2 目的を規定したもの
3 最重要成果としての中間報告
4 最終報告の隠れた役割 —— 歴史的「和解」の陰で
おわりに
第6章 1995年の運動方針転換への合意形成過程 …………… 小野方資・広田照幸
はじめに
1 組織内の合意形成に向けたストラテジー
2 運動方針案の作成過程
3 主流左派のインフォーマルな組織内での合意調達過程
4 第80回大会の議論
おわりに
結論に代えて …………… 広田照幸
1 3つの課題と軌道修正
2 冷戦と日教組
3 戦後教育史の見直しに向けて
あとがき
初出一覧
参考文献
索 引
執筆者一覧
【上巻主要目次】
はじめに
第Ⅰ部 結成と模索
序 章 日教組の歴史を検証する
第1章 総評結成前の立ち位置の選択
第2章 1949年度中央執行委員の分類
第3章 労働戦線分裂と政治情勢変化の中で
第4章 法的地位の変化とその影響
第5章 マッカーサー書簡、政令201号と日教組
第6章 スローガン「教え子を再び戦場に送るな」の誕生
第7章 「教師の倫理綱領」の作成過程
結論に代えて
初出一覧
参考文献
索 引
執筆者一覧
書 評
『大原社会問題研究所雑誌』(789号、2024年7月号、評者:仁平典宏氏)
『教育学研究』(第88巻第3号、2021年9月、評者:乾彰夫氏)
『教育史フォーラム』(第16号、2021年6月、富山仁貴氏による書評と編者からのリプライ)
『歴史学研究』(2021年11月号、第1016号、評者:岡田一郎氏)
『日本教育行政学会年報 47』(2021年10月、評者:水本徳明氏)
『同時代史研究』(第14号、2021年9月、評者:山本公徳氏)
『教育學雑誌』(第57号、2021年3月、評者:冨士原雅弘氏)
『みすず』(2021年1・2月合併号、読書アンケート特集、評者:酒井哲哉氏)
『図書新聞』(2021年1月1日号、第3477号、金馬国晴氏)
西日本新聞(2020年9月6日付、広田先生のインタビュー記事)
『歴史としての日教組』
著者の既刊書
『士族の歴史社会学的研究』 園田英弘・濱名 篤・廣田照幸 著