内 容
わずか1世紀の間に、物理学は現代の科学技術にとって不可欠となるまでに発展した。華々しくも苦難に満ちた展開を、確かな筆致で全領域にわたりバランスよく記述。下巻では、第二次大戦を経て、軍事や産業への応用を深めながら、ビッグ・サイエンスに至るまでを扱う。
訳者一覧
(*は監訳者)
*岡本拓司 杉本 舞
有賀暢迪 山口まり
稲葉 肇 金山浩司
小長谷大介 中尾麻伊香
目 次
第Ⅱ部 革命から地固めへ(承前)
第16章 物理学と新たなる独裁政権
鉤十字の陰で
アーリア物理学
ムッソリーニのイタリアにおける物理学
物理学、弁証法的唯物論、スターリニズム
第17章 頭脳の流出・頭脳の流入
1930年代のアメリカ物理学
知識人の移住
第18章 ウランの謎からヒロシマまで
核分裂への道
荒唐無稽どころではなく
原子爆弾に向けて
二つの都市の死
第Ⅲ部 進歩と問題
第19章 核にまつわる話題
原子核の物理学
現代の錬金術
核エネルギーの希望と不安
制御核融合エネルギー
第20章 軍事化と巨大潮流
物理学 —– 軍事の一部門?
巨大機械
ヨーロッパのビッグ・サイエンスへの冒険
第21章 粒子の発見に次ぐ発見
中心は中間子
弱い相互作用
クォーク
素粒子物理学の成長
第22章 基礎理論あれこれ
QED
場の理論の浮沈
ゲージ場と電弱相互作用の統一
量子色力学
第23章 宇宙論と相対論ルネサンス
ビッグバン宇宙への道
定常宇宙論の挑戦
1960年以後の宇宙論
一般相対論のルネサンス
第24章 固体物理学の諸要素
1940年以前の固体物理学
半導体と固体物理コミュニティの出現
超伝導のブレークスルー
第25章 物理工学と量子エレクトロニクス
それはトランジスタで始まった
マイクロ波、レーザー、量子光学
光ファイバー
第26章 攻撃される科学 —— 危機にある物理学?
危機の兆候
科学への反抗
物理学の終焉?
第27章 統一と思弁
統一の問題
大統一理論
超弦理論
量子宇宙論
第Ⅳ部 回 顧
第28章 ノーベル物理学賞
第29章 物理学の世紀を回顧する
成長と進歩
物理学とそのほかの科学
保守的革命
日本語版によせて —— 15年後から振り返る
参考文献
訳者あとがき
人名索引
事項索引
【上巻目次】
第Ⅰ部 地固めから革命へ
第1章 世紀末の物理学 —— 揺らぐ世界像
第2章 物理学の世界
第3章 気体中の放電と、それに続いたもの
第4章 原子構造
第5章 量子論のゆるやかな出現
第6章 低温物理学
第7章 アインシュタインの相対論と、ほかの人々の相対論
第8章 失敗に終わった革命
第9章 産業と戦争における物理学
第Ⅱ部 革命から地固めへ
第10章 ヴァイマル共和国における科学と政治
第11章 量子跳躍
第12章 原子核物理学の興隆
第13章 二つの粒子から多くの粒子へ
第14章 量子力学の哲学的含意
第15章 エディントンの夢、その他の異端
書 評
『日本物理学会誌』(第71巻第8号、2016年8月、評者:廣政直彦氏)
『週刊読書人』(第3119号、2015年12月11日付、評者:山本貴光氏)
『20世紀物理学史』
『20世紀物理学史』【上巻】 ヘリガ・カーオ 著/岡本拓司 監訳/有賀暢迪・稲葉 肇 他訳
関連書
『ニュースピークからサイバースピークへ』 スラーヴァ・ゲローヴィチ 著/大黒岳彦 訳/金山浩司 校閲・解説
『アインシュタインの時計 ポアンカレの地図』 ピーター・ギャリソン 著/松浦俊輔 訳