内 容
ユーラシア東方の覇権へ ——。マンジュ(満洲)人が支配する大帝国はいかにして生まれたのか。国家=軍事システムたる「八旗制」を軸に大清帝国の構造を満漢文史料から実証的に解明、その帝国形成を中央ユーラシア世界と近世世界の交点に位置づけることで、新たな世界史像を描き出す。
目 次
凡 例
序 論
第1節 問題の所在と本書の視座
第2節 八旗制をめぐる諸問題と本書の課題
第3節 歴史的展開
第Ⅰ部 清初八旗の形成と構造
緒 論
第1章 八旗制下のマンジュ氏族
第1節 ジュシェン=マンジュ氏族と八旗制
第2節 入関前の八旗グサ=エジェン
第3節 天命後期の高位世職
第4節 六部官制の内実
第5節 出自・功績と「功」
小 結
第2章 八旗旗王制の構造
第1節 両黄旗 —— ウラ=ナラ氏
第2節 両白旗 —— イェヘ=ナラ氏ヤンギヌ系
第3節 両紅旗 —— イェヘ=ナラ氏チンギヤヌ系
第4節 両藍旗 —— ハダ=ナラ氏・ホイファ=ナラ氏
小 結
第3章 清初侍衛考 —— マンジュ=大清グルンの親衛・側近集団
第1節 ヌルハチのヒヤ集団
第2節 ヒヤの職務と特徴
第3節 ホンタイジ時代のヒヤ
第4節 ヒヤ制の淵源
小 結
第4章 ホンタイジ政権論覚書 —— マンジュのハンから大清国皇帝へ
第1節 “スレ=ハン” ホンタイジ
第2節 乙亥の変 —— 天聡九年正藍旗の獄
小 結
第5章 中央ユーラシア国家としての大清帝国
第1節 国制としての八旗制
第2節 中央ユーラシアのなかの八旗制
第Ⅱ部 「近世」世界のなかの大清帝国
緒 論
第6章 大清帝国の形成とユーラシア東方
第1節 ユーラシア東方の「近世」とマンジュ=大清グルン
第2節 大清帝国の興起をめぐって
第7章 「華夷雑居」と「マンジュ化」の諸相
第1節 「漢化」ジュシェン=マンジュ人
第2節 清初漢軍旗人の諸相
第3節 満・蒙・漢・韓の混住と包摂
第4節 〈華夷雑居〉と「マンジュ化」・「中国化」
第8章 大清帝国形成の歴史的位置
第1節 大清帝国の形成とユーラシアの「近世」
第2節 大清帝国の支配構造と八旗制
補 論 近世ユーラシアのなかの大清帝国
—— オスマン、サファヴィー、ムガル、そして “アイシン=ギョロ朝”
注
参考文献
あとがき
図表一覧
事項索引
人名索引
受 賞
書 評
『史学雑誌』(第128編第3号、2019年3月、評者:岸本美緒氏)
『週刊読書人』(第3120号、2015年12月18日付、評者:関智英氏)