内 容
19世紀、世界有数の製鉄工業都市として突如出現、英国の未曾有の繁栄を支えた建設都市ミドルズバラの発展と衰退の軌跡を、膨大なセンサス個票から復元、産業集積、都市形成、医療福祉、労働問題における先駆的な対応とともに、衰退局面の苦難をも捉えて今日的な産業都市の原型を描き出す。
目 次
序 章 近代イギリスの地域工業化と都市
—— 本書のねらいと構成
Ⅰ 黎明期の都市
第1章 都市建設
1 「ミドルズバラ土地開発会社」と都市建設
2 都市化と住宅建設
3 黎明期の市制
4 財政基盤の整備
第2章 製鉄工業の発展
1 製鉄工業の導入
2 「クリーヴランド式製鉄法」(Cleveland Practice)の展開
3 クリーヴランド製鉄工業と市場
第3章 クリーヴランドの産業集積
1 クリーヴランド製鉄工業の産業立地
2 企業間分業
3 技術と産業集積
4 商工会議所・取引所・銑鉄証券発行埠頭倉庫制度(Warrant Store)の成立
Ⅱ 人 口
第4章 人口変動と人口移動
1 19世紀後半ミドルズバラの人口変動
2 性別・年齢別人口移動
3 ミドルズバラ移住者の移動性向
第5章 クリーヴランド製鉄工業の発展と労働市場の特質
1 熟練・半熟練労働市場
2 未熟練労働市場とアイルランド人労働者の移入
3 19世紀後半製鉄工業における労働市場の特質
Ⅲ 地域工業化と社会
第6章 北東部イングランド製鉄工業における労使関係の展開
1 可鍛鋳鉄工業労働組合と製鉄工業使用者団体の成立
2 「北部イングランド可鍛鋳鉄製品製造業労使仲裁・調停委員会」の成立と
賃金仲裁裁定制度
第7章 労働災害と医療福祉制度
1 労働者の自助とセーフティ・ネット —— ノース・オームズビー病院
2 名望家層の地域統治と医療 —— ノース・ライディング篤志病院
終 章 ヴィクトリア朝工業都市ミドルズバラの興隆と衰退
あとがき
注
引用史料・文献一覧
統計付録
初出一覧
図表一覧
事項索引
固有名詞索引
関連書
『世界史のなかの産業革命』 R.C. アレン 著/眞嶋史叙・中野 忠・安元 稔・湯沢 威 訳
Industrialisation, Urbanisation and Demographic Change in England 安元 稔著