書籍の内容
シュンペーターにより 「アメリカ限界主義の父」 と呼ばれた、アメリカ近代経済学の創始者J.B.クラークの経済学の全体像と形成過程を、マーシャルやヴェブレンらとの関係を含め、新資料を踏まえて明らかにし、アメリカ新古典派経済学成立時の知的ドラマを描き出したライフワーク。
書籍の目次
序 章 ジョン・ベイツ・クラーク
—— その人と業績
第Ⅰ部 クラーク経済学の形成と展開
第1章 初期クラークの経済思想
—— 『富の哲学』 を中心に
1 はじめに
2 クラーク経済学の歴史的背景
3 クラークと倫理的先入観念
4 『富の哲学』
5 『富の哲学』 から 『富の分配』 へ
第2章 クラークの限界効用価値論
—— 社会的有効効用価値論
1 はじめに
2 その形成過程 (1)
3 その形成過程 (2)
4 “The Ultimate Standard of Value”
5 『富の分配』 における価値論 —— オーストリア学派価値論の修正
6 むすび
第3章 クラーク限界生産力理論とその倫理的インプリケイション
1 はじめに
2 『富の分配』 の中心課題とクラークの問題意識
3 クラークの限界生産力理論
4 クラークの限界生産力的分配理論とその倫理的インプリケイションの問題
第4章 クラーク限界生産力的分配論の形成過程
1 はじめに
2 クラークにおける限界主義の展開
3 限界生産力的分配理論の形成過程
4 むすび
第5章 固有生産力的分配論をめぐる諸批判
—— 限界生産力理論批判史のひとこま
1 クラークの固有生産力的分配論
2 固有生産力理論をめぐる反応と諸批判
3 固有生産力的分配論の諸問題点
第6章 クラークにおける競争と独占
—— 「J.B.クラーク問題」 と独占形成
1 はじめに
2 「J.B.クラーク問題」 とそれをめぐる諸見解
3 クラークと独占形成 —— 「J.B.クラーク問題」 の一解釈
第7章 クラークの反独占政策論
—— 1つの有効競争論
1 クラークと独占
2 潜在競争・有効競争と反独占政策論
3 クラーク反独占政策論の影響
4 クラーク反独占政策論の特質
5 「クラーク問題」 と反独占政策論
第8章 「J.B.クラーク問題」の一解釈
—— J.F.ヘンリーの所説にふれて
1 「J.B.クラーク問題」 とその解釈をめぐって
2 初期クラーク
3 後期クラーク
4 反独占政策論者としてのクラーク
5 社会改革家クラーク
6 むすびにかえて
第Ⅱ部 経済学史におけるクラークの位置
第9章 クラークとマーシャル
—— 未公表書簡を中心に
1 はじめに
2 マーシャル 『経済学原理』 (初版) に対するクラークの書評
3 『経済学原理』 (初版) 以後の書簡による交流
4 クラークとマーシャルの主要論点
5 The Correspondence between Alfred Marshall and J.B. Clark
第10章 クラークとヴェブレン
1 はじめに
2 ヴェブレンのクラーク経済学批判
3 戦争と平和の経済学 —— クラークとヴェブレン
第11章 クラークとヘンリー・ジョージ
1 はじめに
2 クラークによるジョージ批判の展開 (1)
3 クラークによるジョージ批判の展開 (2)
4 むすび
第12章 クラークとギディングズ
—— 未公表往復書簡を中心に
1 クラーク経済学の展開とギディングズ
2 クラーク=ギディングズ未公表往復書簡の概要
3 クラーク=ギディングズ往復書簡の経済学史的意義について
4 クラーク経済学の展開とギディングズの役割
5 今後の課題
第13章 パッテン、ギディングズ、クラーク
—— パッテンのギディングズ宛自筆書簡を中心に
1 パッテンのギディングズ宛自筆書簡について
2 書簡にみられる重要な諸問題
3 パッテンとギディングズ、クラーク
4 SIMON NELSON PATTEN’S LETTERS TO FRANKLIN HENRY GIDDINGS, 1888-99
第14章 クラーク=ギディングズ往復書簡からみたクラーク経済学の展開過程
1 往復書簡からみた理論経済学者としてのクラーク
2 クラーク経済学の展開過程におけるギディングズの役割
3 キリスト教社会主義、ヘンリー・ジョージの土地社会主義と進歩的自由主義
関連書籍の紹介
『アメリカン・システムから大量生産へ』 D.A.ハウンシェル 著/和田一夫・金井光太朗・藤原道夫 訳
『現代制度派経済学宣言』 G.M.ホジソン 著/八木紀一郎・橋本昭一・家本博一・中矢俊博 訳