内 容
善意に頼った運動だけでは行きづまりつつある環境保全・自然再生にとって、切り札といえる「生態系サービス」。本書は、従来の枠を大きく超えたスタイルで、世界各地で自然保全に取り組む人々を、ピューリッツアー賞作家らが鮮やかな筆致で描き出す。自然を経済に組み込む新しい試み。
【原書名】
The New Economy of Nature: The Quest to Make Conservation Profitable, Island Press, 2002.
著者紹介
グレッチェン・C・デイリー (Gretchen Cara Daily)
スタンフォード大学生物学部教授。生態系サービスや自然資本という概念の構築・発展に、最初期より重要な貢献を果たしており、近年立ち上げた「自然資本プロジェクト」は、世界各地で展開されている。2009年には「コスモス国際賞」を受賞して来日している。編著にNature’s Services: Societal Dependence On Natural Ecosystems (1997) がある。
キャサリン・エリソン (Katherine Ellison)
ジャーナリスト。世界各地での取材をもとにした記事には定評があり、フィリピンのマルコス大統領に関する記事でのピューリッツァー賞(1986年)をはじめ、数々の賞を受賞。近著にBuzz: A Year of Paying Attention (2010), The Mommy Brain: How Motherhood Makes Us Smarter (2005) がある。
目 次
プロローグ 自然の財産
1 オーストラリア ニューサウスウェールズ州カトゥーンバ —— 雲上に夢を描く
2 二酸化炭素排出権取引の夜明け
3 ニューヨーク —— 清らかな美味しい水の作り方
4 カリフォルニア州ナパ —— 川の自然再生で復興を遂げた町
5 バンクーバー島 —— プロジェクト・スナーク
6 ワシントン州キング郡 —— 巧みな交渉術
7 オーストラリア —— 民間野生生物保護区の挑戦
8 コスタリカ —— 利用されて活きる母なる自然
9 テレゾポリス —— モーターはもう回っている
10 鳥、ミツバチ、そして生物多様性の危機
エピローグ 来るべき革命への希望