内 容
「一章ごとに崇高が炸裂する」—— フランス革命後の変動する社会のなかで、成長する新聞メディアから同時代の政治と社会の生態を貪欲に吸収し、恋愛心理と交錯させつつ生み出された、『赤と黒』や『パルムの僧院』など近代ロマネスクの世界。その形成原理を創造の現場から探る。
目 次
序
第Ⅰ部 近代ロマネスクの形成
第1章 近代ロマネスクと「特異性」
——『アルマンス』を中心に
第2章 スタンダールにおける近代ロマネスクの形成
—— 『アルマンス』から『赤と黒』へ
第3章 叙事詩的冒険から近代ロマネスクへ
——『パルムの僧院』における2つの旅
第4章 未完のロマネスク
——『ラミエル』の生成に見る晩年の創造
第Ⅱ部 新聞を読むスタンダール
第5章 新聞を読むスタンダール(1)
——『英国通信』から『アルマンス』『赤と黒』へ
第6章 新聞を読むスタンダール(2)
——「ガゼット・デ・トリビュノー」紙の場合
第7章 『赤と黒』と「密書」事件
—— 1829、30年の新聞情報と作品創造
第8章 『リュシアン・ルーヴェン』と軍隊
—— 1834年の新聞情報と作品創造
第9章 『パルムの僧院』のフランス語材源
—— 1838年の新聞情報と作品創造
第10章 『パルムの僧院』と牢獄
—— アンドリアーヌ『回想録』を読むスタンダール(1)
第11章 マチルドとメッテルニヒ
—— アンドリアーヌ『回想録』を読むスタンダール(2)
第12章 『ラミエル』の同時代材源
—— 1839年4月の新聞情報と作品創造
第Ⅲ部 スタンダールと日本
第13章 明治文学におけるスタンダール
第14章 大正文学におけるスタンダール
第15章 谷崎潤一郎と昭和のスタンダール
第16章 大岡昇平とスタンダール
——『パルムの僧院』の衝撃
第17章 三島由紀夫とスタンダール
あとがき
初出一覧
註
人名・作品名索引