内 容
教祖亡き後、その存続をかけて自己形成をはかる新宗教。当局の介入や国家主義の高まり、戦時総動員の動きといった状況のなかで、指導者や信者たちは、前代の「遺産」をどう読み替え、信仰実践の地平を拓いてきたのか。天理教を事例に、人びとが生きた新宗教の実像に迫る。
目 次
凡 例
序 章 新宗教と総力戦
はじめに
1 新宗教の歴史性
2 近代日本の宗教体系
3 新宗教運動と国家との関係性をめぐる研究
4 新宗教運動と戦争との関係性をめぐる研究
5 本書の構成
6 中山みきとは誰か —— ひとつの〝読み〟として
第1章 信仰共同体の危機と再構築
—— 飯降伊蔵と本席‐真柱体制
はじめに
1 教祖の死と信仰共同体の危機
2 飯降伊蔵のライフ・ヒストリー
3 中山真之亮と信仰共同体の闘い
4 本席‐真柱体制の成立
5 「おさしづ」と親神共同体
おわりに
第2章 戦前における中山正善の活動
—— 宗教的世界の構築とその政治的位置について
はじめに ——「革新」の問い
1 中山正善という課題
2 原 典
3 収 集
4 伝 道
おわりに —— 宗教的世界の政治的位置
第3章 「革新」の時代
はじめに
1 一派独立と国家主義への接近
2 教団の発展と帝国主義
3 「満洲天理村」という実験
4 「革新」の断行
第4章 宗教経験としてのアジア・太平洋戦争
——〈ひのきしん〉の歴史
はじめに ——〈ひのきしん〉とは何か
1 〈ひのきしん〉は変化したか
2 国家・戦争・〈ひのきしん〉
おわりに —— 宗教経験としての総力戦
第5章 宗教のなかの「聖戦」/「聖戦」のなかの宗教
——〈ひのきしん〉の思想
はじめに ——「聖戦」とは何か
1 日常の戦争
2 「聖戦」の教義
3 〈ひのきしん〉の思想
おわりに ——「聖戦」と〈ひのきしん〉
第6章 「復元」の時代
1 敗戦と天理教
2 「天理教教典」の成立
3 「おふでさき註釈」のテクストとコンテクスト
4 アプレ・ゲールと天理教
終 章 動員への経路
註
あとがき
図版一覧
索 引
受 賞
書 評
『宗教と社会』(第23号、2017年6月、評者:岡尾将秀氏)
『日本思想史研究会会報』(第33号、2017年、評者:朴海仙氏)
『同時代史研究』(第9号、2016年12月、評者:大林浩治氏)
『日本思想史学』(第48号、2016年9月、評者:近藤俊太郎氏)
『宗教研究』(第90巻第2輯、2016年9月、評者:弓山達也氏)
『週刊読書人』(2016年7月22日、第3149号、評者:鎌田東二氏)
『日本学報』(第35巻、2016年3月、評者:五十嵐惠邦氏)
『宗教と現代がわかる本 2016』(2016年3月4日付発行)
『図書新聞』(2015年12月19日付、第3235号、評者:川村邦光氏)