内 容
アジア通貨危機やリーマンショックなどの金融危機対応に示されたIMFの政策体系の起源とは。グローバリゼーション批判や機能不全との通説を超え、戦後世界経済の為替自由化に果たした役割を再評価、今日に及ぶ経済政策の新たな全体像を示し、ブレトンウッズ体制の核心に迫る気鋭の成果。
目 次
略語一覧
序 章 ブレトンウッズ体制下のIMF
—— 自律的な政策形成へ
1 国際通貨システムの安定とIMF —— その歴史性
2 ブレトンウッズ体制下のIMFをめぐる言説 —— 課題と方法
第1章 多角主義からアブソープションアプローチへ
—— IMF経済政策の起源 1944-52
1 多角主義の方策をめぐる論争とIMF
2 「開店休業状態」のIMF —— OEECとEPUの台頭
3 マクロ政策介入の理論と方法 —— IMF復権に向けた試み
第2章 14条コンサルテーションの開始とポンド交換性回復の試み
—— 為替自由化をめぐるマクロ政策調整 1952-54
1 IMF協定14条コンサルテーションの始まり
2 多角的決済体制とポンド
3 対外均衡をめぐるマクロ政策調整 —— 拡張路線への微温的介入
第3章 為替自由化とポンド危機
—— マネタリーアプローチと融資政策 1955-57
1 対英政策の変容 —— マクロ政策介入の強化
2 ポンドの危機とIMF —— 国際通貨システムの安定をめぐる挑戦
3 IMFの復権
第4章 多角的決済体制の樹立からシステム不安へ
—— 資本自由化の潮流とIMF 1958-61
1 多角的決済体制の樹立と戦後過渡期の終了
2 国際通貨システムの動揺とIMF ——「新たな課題」の登場
終 章 ブレトンウッズ体制の変容とIMF
——総括と展望
附録1 スタッフ・理事一覧
附表2 世界金融危機とIMF改革
参考文献
あとがき
図表一覧
人名索引
事項索引
受 賞
書 評
『歴史と経済』(第228号、2015年7月、評者:矢後和彦氏)