書籍の内容
世界帝国ローマの形成 —— その支配領域の拡大と市民団の変質は法・制度の問題としてどのように克服されていくのか、いったいそれは国家ローマそしてローマ人にとって何を意味するのか? 共和政期ローマの政治・社会を動かすものを、理念と現実の葛藤の中から捉えた碩学の論集。
書籍の目次
第Ⅰ部 政治と国制
世界帝国の成立過程 —— 西洋における
はじめに
1 世界帝国とは
2 問題の限定 —— ローマ (人) のインペリウム
3 予備的指摘 —— ローマ市民権
結びにかえて
ローマと地中海世界
はじめに
1 支配の拡大と保護政策
2 正当なる戦争
3 支配の正当化とその現実 —— ギリシア (人) の自由
結びにかえて
内乱の一世紀
はじめに
1 レス・プブリカの崩壊
2 内乱と変革の時代
3 スッラの新秩序
1 スッラを支えるもの / 2 前28-81年の改革
結びにかえて
キケロ時代の騎士身分 —— 土地所有について
はじめに
1 騎士身分
1 身分の形成とその発展 /2 グラックスの法廷改革
3 プブリカニ / 4 ネゴティアトレス
2 土地所有
1 土地所有者としての騎士 / 2 イタリア / 3 シシリー
4 アフリカ / 5 ガッリアとヒスパニア / 6 東方属州 —— アシアを中心に
7 小 括
結びにかえて
ローマの財政機構 —— 徴税について
はじめに
1 税の概念と分類
2 公 課
3 特別国家収入
4 ローマ人、国家ローマと税 —— 結びにかえて
ローマ共和政期のいわゆる 「党派」 について
はじめに
1 学説史
2 いわゆる 「党派」 にあたる表現
結びにかえて
フレゲッラエの叛乱考 —— ローマ市民権とラテン市
1 問題の限定
2 フレゲッラエの叛乱
1 4つの立法 / 2 ケンスス / 3 「叛乱」 への道とその独自性
3 ローマ市民権
1 ラテン市 / 2 イタリア同盟市
結びにかえて
附 論 同盟市戦争におけるイタリキの国家組織について
プロウォカティオの権利をめぐる二、三の問題
1 問題提起
2 ローマ市民権と非ローマ市民
3 プロウォカティオの権利賦与の試み
4 非ローマ人とプロウォカティオの権利
結びにかえて
附 論 ローマ支配下のイタリアの貴族と民衆 —— 同盟市の場合
1 第二ポエニ戦争前後のローマとイタリア
2 前二世紀から同盟市戦争までのイタリアの同盟市
第Ⅱ部 クリエンテラ再考
パトロネジ研究の現状と問題点
はじめに
1 ローマ共和政期史とパトロネジ
2 他の歴史領域、特に古代史の枠内で
3 隣接科学との関連の問題
表現形式としてのクリエンテス —— クリエンテラ再考、その一
はじめに
1 クリエンテス
2 クリエンテラその他
結びにかえて
クリエンテラ-パトロネジの底にあるもの —— クリエンテラ再考、その二
1 問題の限定
2 古い時代のクリエンテスと共和政末期のクリエンテス
3 フィデスについて
結びにかえて
フィデスとポテスタス、ポテンティア —— クリエンテラ再考、その三
はじめに
1 フィデスの内なる 「力」 的な要素
2 フィデスの外の 「力」 —— フィデスとの併記の問題: ポテスタスとディキオ
3 ポテンティア
4 ポテンティアとポテスタス
結びにかえて
カエサルの寛恕
はじめに
1 問題提起
2 ローマ的な美徳としてのクレメンティア
3 カエサルのクレメンティア、『ガッリア戦記』 の場合
4 カエサルのクレメンティア、『内乱誌』 の場合
5 カエサルのクレメンティアにむける同時代人の目
補 論 党派の理念としてのクレメンティア
結びにかえて
関連書籍
『ローマ政治家伝』 シリーズ
『ローマ政治家伝Ⅰ カエサル』 マティアス・ゲルツァー 著/長谷川博隆 訳
『ローマ政治家伝Ⅱ ポンペイウス』 マティアス・ゲルツァー 著/長谷川博隆 訳
『ローマ政治家伝Ⅲ キケロ』 マティアス・ゲルツァー 著/長谷川博隆 訳
『モムゼン ローマの歴史』 (全4巻)
『モムゼン ローマの歴史Ⅰ—— ローマの成立』 テオドール・モムゼン 著/長谷川博隆 訳
『モムゼン ローマの歴史Ⅱ—— 地中海世界の覇者へ』 テオドール・モムゼン 著/長谷川博隆 訳