書籍の内容
ローマ人とはいかなる人々か? 農業や牧畜など 「なりわい」 に基づく人間関係を、家・社会・国家という三層の連関の中で捉え、ローマ人における自由と隷属、支配と結合のありようを照射。制度史と社会史を統合する中から、ローマ的なものの特殊性と普遍性を探った碩学の論集。
書籍の目次
第Ⅰ部 農民の世界 —— 小作人と隷属農民
ホラティウス 『カルミナ』 のクリエンテス
—— 『カルミナ』 第二巻の18の25にあらわれるクリエンテスをめぐって
1 クリエンテスとコロヌス
2 ホラティウス詩篇の分析 —— 『カルミナ』 第二巻の18の25
3 歴史的発展の文脈のなかに据えて
カエサル 『内乱誌』 のコロヌス
—— 『内乱誌』 第一巻の34の2にあらわれるコロヌスをめぐって
はじめに —— 問題の提起
1 『内乱誌』 のコロヌスとエトルリアの隷属農民
2 エトルリアの隷属農民-農奴
3 コロヌスとクリエンテラ
4 仮説の提示
結びにかえて
キケロの法廷弁論にあらわれるコロヌス
はじめに
1 土地所有者キケロと小作制
2 二つの法廷弁論に登場するコロヌス
3 土地をめぐる争い —— コロヌスとファミリア
4 ファミリアの一員としてのコロヌス
補 論
結びにかえて
Politor 考 —— ローマ農業と自由労働者
はじめに
1 自由な賃金労働者とポリトル
2 ポリトル —— 史料の吟味とその位置付け
3 隣人の問題
結びにかえて
第Ⅱ部 牧人と国家
土地法における家畜の問題
はじめに
1 前367年の土地法
2 公有地占有制限と家畜に関する規定
3 前四世紀の家畜規定と共同放牧地
結びにかえて
Calles 考 —— 移牧と国家ローマ
はじめに
1 移牧とは
2 カッレス
3 国家権力とカッレス
結びにかえて
附 論
古代イタリアにおける移牧と牧人
はじめに
1 予備的指摘
2 移牧集団と移牧経営
結びにかえて
移牧をめぐる二、三の問題 —— 原初形態・「聖なる春」・信仰
はじめに
1 原初形態
2 「聖なる春」
3 信仰 (ヘルクレス、シルウァヌスなど)
結びにかえて
感想と展望
第Ⅲ部 家の承継とライフサイクル
ローマ共和政期の養子縁組と奴隷制
はじめに
1 養子縁組とは
2 奴隷の養子縁組A —— 特に法慣習として
3 奴隷の養子縁組B —— プラウトゥスを中心に
4 奴隷の養子縁組と家の祭祀
5 家の祭祀の承継
結びにかえて
共和政末期ローマの若者
はじめに
1 ローマ史における若者
2 ライフサイクルとしての若者期
3 共和政末期の若者
4 イメージとしての若者
5 キケロと若者
結びにかえて
イマギネスとローマ女性
はじめに
1 予備的指摘
2 婚姻とイマギネス
3 補遺的な問題
結びにかえて
古代ローマにおける老人の問題 —— Sexagenarii de ponte をめぐって
はじめに
1 史料の検討
2 伝承の三つの層とその問題点
3 棄老伝説・60歳・民会
4 諸伝承の集成と時代の課題
補 論 元老院議員の引退
結びにかえて
関連書籍
『ローマ政治家伝』 シリーズ
『ローマ政治家伝Ⅰ カエサル』 マティアス・ゲルツァー 著/長谷川博隆 訳
『ローマ政治家伝Ⅱ ポンペイウス』 マティアス・ゲルツァー 著/長谷川博隆 訳
『ローマ政治家伝Ⅲ キケロ』 マティアス・ゲルツァー 著/長谷川博隆 訳
『モムゼン ローマの歴史』 (全4巻)
『モムゼン ローマの歴史Ⅰ—— ローマの成立』 テオドール・モムゼン 著/長谷川博隆 訳
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