内 容
近縁異種との間の性的相互作用である繁殖干渉は、シンプルな枠組みでありながら、すみ分けや資源分割など生態学・進化学での数多くの難問を、統一的に説明できる。この普遍的かつ強力なメカニズムの全容を、タンポポやマメゾウムシなどの実証例を示しながら、初めて体系的に記述。
執筆者
(執筆順、*印は編者)
*高倉耕一 (はじめに、第1章、第4章)
岸 茂樹 (第2章、第5章、第7章)
西田佐知子(第3章)
鈴木紀之 (第6章、第7章)
*西田隆義 (第8章、おわりに)
目 次
はじめに
第Ⅰ部 繁殖干渉の理論
第1章 繁殖干渉とは
1.1 繁殖とは何か? 繁殖干渉とは何か?
1.2 個体から個体群へ
1.3 繁殖干渉理論がもたらす予測
1.4 すみ分け現象との関係
1.5 繁殖干渉をめぐる誤解
1.6 繁殖干渉を実証する
1.7 繁殖干渉という現象の生態学らしさ
第2章 繁殖干渉と種間競争
2.1 種間競争に関するこれまでの研究
2.2 繁殖干渉の数理モデル
2.3 繁殖干渉+資源競争の効果
2.4 繁殖干渉に関する理論研究
2.5 繁殖干渉が生物群集に与える影響
第Ⅱ部 繁殖干渉の実態
第3章 繁殖干渉と外来種問題
—— タンポポを例に
3.1 外来種はなぜ「強い」のか?
3.2 植物における繁殖干渉の研究
3.3 タンポポ
3.4 タンポポの研究例
3.5 タンポポを通して見えてきたこと
第4章 個体群レベルでの繁殖干渉
—— イヌノフグリ類を例に
4.1 イヌノフグリとオオイヌノフグリ
4.2 個体レベルでの繁殖干渉の検証
4.3 個体群レベルでの繁殖干渉の検証 —— 島嶼での調査
4.4 イヌノフグリの生態の変化
4.5 共生生物との関係
4.6 未解明の課題
4.7 イヌノフグリを通して見えてきたこと
第5章 「種間競争」再考
—— マメゾウムシを例に
5.1 マメゾウムシ
5.2 アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシ
5.3 マメゾウムシの種間競争に関するこれまでの研究
5.4 マメゾウムシの繁殖干渉の実験
5.5 マメゾウムシの資源分割の実験
5.6 他の系における種間競争
第6章 ニッチ分割と食性幅
—— テントウムシを例に
6.1 これまでの仮説
6.2 同所的種分化との共通点と相違点
6.3 繁殖干渉によるニッチ分割の理論
6.4 捕食性テントウムシにおける実証研究
6.5 他の系との比較
6.6 他の生態的特性との関係
第Ⅲ部 繁殖干渉研究の現在と未来
第7章 最近の研究の動向
7.1 分類群の多様性
7.2 否定的な結果とその対応
7.3 さまざまな形質への波及効果
第8章 未解決の課題と展望
8.1 繁殖干渉が生み出しうるさまざまな現象
8.2 すみ分け論との関係
8.3 無性生殖種の問題
8.4 配偶様式・配偶場所の影響
8.5 履歴効果との関係
8.6 繁殖干渉を利用した応用研究
引用文献
おわりに
索 引