内 容
河川・砂丘・柱状節理・クレーターなど、複雑な自然についてその本質を捉えモデル化するアプローチは、地球上はもとより他の惑星の地形に対してもたいへん有力である。本書はシミュレーションや縮小実験などの手法を通じて、地形の共通原理を探究する。
執筆者一覧
(五十音順、*は編者)
泉 典洋 (第1章) 西村浩一 (第6章)
*遠藤徳孝 (第4章) *西森 拓 (序章・第3章・補説)
桂木洋光 (第10章) *水口 毅 (第9章)
*小西哲郎 (序章・補説) *柳田達雄 (第2章)
出村裕英 (第5章) 山田泰広 (第8章)
新屋啓文 (第7章)
目 次
序 章 地形現象のモデリングとは
0.1 地形の2つの顔
0.2 モデルとモデリング
0.3 地形現象のモデリング
0.4 本書の構成
第Ⅰ部 流れによる地形現象
第1章 河川 —— 表面流による地形形成の線形安定解析
1.1 はじめに
1.2 界面不安定現象としての地形現象
1.3 河床不安定の線形安定解析
1.4 斜面上の水路群形成の線形安定解析
1.5 まとめと今後の展望
第2章 河川 —— 流路形成の計算機実験
2.1 はじめに
2.2 河川の観測・実験・モデル
2.3 河川のモデリング
2.4 計算機実験
2.5 まとめと今後の展望
第3章 砂丘 —— 形づくりと運動の数理モデリング
3.1 はじめに
3.2 砂丘の数理モデリングの背景
3.3 多様な砂丘の形状
3.4 複雑な砂丘のダイナミクス
3.5 まとめと今後の展望
第4章 砂丘 —— バルハン砂丘のアナログ実験
4.1 はじめに
4.2 水槽実験の方法
4.3 自然界に見られるバルハン砂丘
4.4 バルハン砂丘のアナログ実験
4.5 まとめと今後の展望
第5章 砂丘 —— 地球外における形態の観測
5.1 はじめに
5.2 各天体の砂丘の共通項、注意点、各天体諸元
5.3 金星の砂丘
5.4 土星衛星タイタンの砂丘
5.5 冥王星の砂丘様地形
5.6 火星の砂丘
5.7 まとめと今後の展望
第Ⅱ部 破壊による地形現象
第6章 雪崩 —— 観測と実験によるアプローチ
6.1 はじめに
6.2 雪崩の観測と人工雪崩実験
6.3 雪崩の内部構造
6.4 雪崩の縮小実験
6.5 近年の雪崩観測
6.6 まとめと今後の展望
第7章 雪崩 —— 理論とシミュレーション
7.1 はじめに
7.2 雪崩の縮小実験
7.3 雪崩の理論モデル
7.4 雪崩の粒子群の力学モデリング
7.5 粒子群モデルの数値シミュレーション
7.6 まとめと今後の展望
第8章 断層 —— 付加体のモデル実験
8.1 はじめに
8.2 南海トラフの付加体
8.3 付加体をモデル実験で再現するために
8.4 実験による付加体と断層の再現
8.5 まとめと今後の展望
第9章 柱状節理 —— 火成岩の亀裂とそのモデル実験
9.1 はじめに
9.2 柱状節理
9.3 デンプン柱状節理
9.4 2つの柱状節理
9.5 まとめと今後の展望
第10章 クレーター —— 低速衝突実験と緩和・流動モデル
10.1 はじめに
10.2 衝突クレーター
10.3 無次元数による評価
10.4 柔らかな衝突によるクレーター形成
10.5 衝突によるクレーターの緩和
10.6 まとめと今後の展望
補 説 地形モデリングにおける無次元化について
あとがき
索 引
書 評
『日本地球惑星科学連合ニュースレター』(第14巻第3号、2018年8月、評者:小屋口剛博氏)