内 容
宗教、メディア、ビジネス界から記憶の政治まで —— アメリカ社会で広く創出され続けるイスラエルへの好意的感情は現実の政治を動かし、「特別な関係」を根底で支えてきた。異論や批判との衝突のなかで絶えず編み直されるイメージの力学を、特定の勢力や時代に還元することなく包括的に描き出した刮目の書。
目 次
序 章 アメリカのイスラエル支援
—— 歴史からみたその背景
1 「特別な関係」を問いなおす
2 本書の射程とアプローチ
第Ⅰ部 イスラエル建国まで
第1章 イスラエルへのまなざしの宗教的源泉
1 旧約聖書のイスラエル
2 新大陸に対するスピリチュアルなまなざし
3 千年王国論とキリスト教シオニズム
第2章 シオニズムの台頭と支持基盤の形成
—— 世紀転換期から第二次世界大戦まで
1 政治的シオニズムの誕生と北米への流入
2 第一次世界大戦と「ユダヤ人の郷土建設」の国際課題化
3 難民救済か、約束の地か —— 戦間期から第二次世界大戦まで
第Ⅱ部 イスラエル建国から1967年戦争まで
第3章 イスラエル建国とアメリカ
——「人道」と「近代化」
1 イギリス帝国の後退とアメリカの中東政策
2 ユダヤ系難民問題の解決策としてのシオニズム
3 「近代化のエージェント」としてのヨーロッパ・ユダヤ人
4 「ヨルダン川流域開発公社」プロジェクトの統治論
5 「マイノリティ・レポート」
第4章 イスラエルをアメリカ化する
—— 冷戦初期の文化表象
1 スエズ危機と戦略的資産論の出現
2 ユダヤ=キリスト教の「伝統」の創出
3 イスラエル建国を「アメリカ化」する ——『エクソダス』
4 ナクバ —— 映像が覆い隠すもの/映像にならないもの
第Ⅲ部 1967年戦争から冷戦終結まで
第5章 1967年アラブ・イスラエル戦争とアメリカ
1 1967年戦争の2つの帰結
2 戦略的資産論の定着
3 千年王国論の再生
4 反主流的な知の台頭
第6章 「危機の時代」のアメリカとイスラエル
—— 石油危機、テロリズム、記憶の政治
1 戦略的負債論の出現 —— 1973年アラブ・イスラエル戦争と石油危機
2 新保守主義勢力とイスラエル
3 テロ対策のパートナー
4 ホロコーストの記憶の政治
第7章 揺らぐ「小国」イメージ
——「保守革命」のアメリカとイスラエル
1 イスラエルのレバノン侵攻
2 アメリカ社会のレバノン侵攻への反応
3 新自由主義体制への転換と自由貿易協定
4 インティファーダとイスラエル認識
第Ⅳ部 冷戦終結以後
第8章 変化するイスラエル、分裂するアメリカ
—— 冷戦終結からオスロ・プロセスへ
1 湾岸戦争とオスロ合意
2 1995年エルサレム大使館法のポリティクス
3 オスロ・プロセスの崩壊
第9章 「対テロ戦争」の同盟
——「模範的な」安全保障国家
1 「対テロ戦争」と第二次インティファーダ
2 分離壁のポリティクス
3 分離壁をめぐる複数の表象 ——『ワールド・ウォーZ』と壁画アート
第10章 ジェンダー化される民主主義
—— 女性・性的マイノリティの擁護者としてのイスラエル
1 近代性とジェンダー
2 中東における女性の楽園?
3 中東におけるLGBTの楽園?
第11章 新自由主義のイスラエル
——「スタートアップ・ネイション」の流行
1 オバマ政権とイスラエル
2 「起業国家」イスラエルの出現
3 新自由主義国家を脱投資化する
終 章 イスラエルが映し出すアメリカ
あとがき
注
参考文献
索 引


