内 容
開発国家体制の後退により、転機を迎えたアジア諸国の法制度をめぐる開発支援のあり方を、基礎的な方法論から、良い統治、コミュニティ・ジャスティス、法整備支援などの今日的課題までを含めて体系的に叙述、初学者から専門家までの幅広い要請に応える決定版。
目 次
本書の狙いと構成
序 章 開発法学の方法
はじめに
1 法と開発運動(LDM)と開発法学
2 開発法学の方法(1)—— 3つの法理類型と2つの力
3 開発法学の方法(2)—— 3つの社会相とその発展理念
4 開発法学の方法(3)—— 法の三層構造
おわりに
第Ⅰ部 法と政治発展
第1章 ポスト開発国家の法と政治システム
はじめに
1 権力・公共性・国家
2 非西欧世界における近代国家の生成と発展
3 ポスト開発国家の政治システムと法
おわりに
第2章 ポスト開発国家の統治構造
はじめに
1 「良い統治」をめぐる問題
2 統治構造 —— 立法府と執行府の関係
3 司法の機能と法の支配
4 新しい統治メカニズム
5 統治の分権化
おわりに
第3章 ポスト開発国家の人権・開発・文化
はじめに
1 3つの人権 —— 人権概念の拡大と変容
2 各国憲法の人権規定
3 開発、文化と人権 —— 連帯権のあり方
4 新しい人権保障メカニズム —— 人権委員会
おわりに
第4章 グローバリゼーション下での政治と法
はじめに
1 国家主権概念の変質
2 地域「統治体」の可能性 —— モデルとしてのEU
3 東南アジア諸国連合から「東アジア共同体」への可能性
おわりに
第Ⅱ部 法と経済発展
第5章 市場システムと法
—— アジア競争法の生成
はじめに
1 市場システムをめぐる法
2 アジア競争法をめぐる国際環境
3 アジアにおける競争法制の発展
4 ASEAN主要国の競争法の制定状況
おわりに
第6章 企業システムと法
—— アジア型企業統治と法
はじめに
1 企業組織の2つの側面
2 アジア企業組織法の概観
3 アジアの企業組織の特質
4 アジアの企業統治改革
おわりに
第7章 グローバリゼーション下での経済と法
はじめに
1 東アジアの経済連携構想
2 国連グローバル・コンパクト
おわりに
第Ⅲ部 法と社会発展
第8章 アジア型社会保障システムとその変容
—— 貧困と法
はじめに
1 貧困と法 —— アジア・ポスト開発国家における社会福祉への視点
2 アジア社会保障制度のありかた —— 生活の場の法
3 アジア労働法制のあり方 —— 労働の場の法
おわりに
第9章 コミュニティ・ジャスティスの課題
はじめに
1 コミュニティ・ジャスティスの課題
2 アジアのコミュニティ・ジャスティス
おわりに
第10章 グローバリゼーション下での社会と法
はじめに
1 世界銀行の包括的開発枠組とコミュニティ主導型開発
2 国連ミレニアム開発目標
おわりに
第Ⅳ部 国際開発協力と法
第11章 日本の国際開発協力体制と法
はじめに
1 国際開発協力の概念と主体
2 日本の政府開発援助 (ODA) の変容
3 2003年の新ODA大綱
おわりに
第12章 法制協力と法の移植
はじめに
1 技術協力の変化 —— 技術知移転から制度知協力へ
2 法制協力の概観 —— 世銀、アメリカUSAIDおよび日本の例
3 法制協力と法の移植
おわりに
終 章 アジア・ポスト開発国家の法システム
—— 21世紀社会の展望
はじめに
1 西欧法と非西欧世界 —— 法と文化
2 開発国家の変容と法 —— 開発と法
3 グローバル・システムと法 —— 21世紀初頭の法のありかた
おわりに —— 21世紀社会に向けて
あとがき
参考文献
索 引
書 評
【日本経済新聞書評】