内 容
国際貿易の経済的仕組みをスタンダードかつ最新の体系にもとづいて丁寧に解説、リカードに端を発し、国際経済の発展にともなってアップデートされてきた理論モデルを学び、保護貿易政策や自由貿易協定の影響、環境や公共財の問題まで、世界経済の重要課題を読み解く力を身につける。
目 次
まえがき
第Ⅰ部 貿易理論の基礎
第1章 簡単な貿易モデル
1 はじめに
2 1財市場の貿易モデル —— 部分均衡分析
3 交換経済の小国貿易モデル
4 オファー曲線
5 交換経済における2国間貿易モデル
6 一般均衡分析における2つの留意点
7 オファー曲線と2国間貿易の均衡
8 まとめ
第2章 リカードの比較優位論
1 はじめに
2 リカードのモデル —— 閉鎖経済における生産者の行動
3 消費者の行動と経済の均衡
4 2つの国の間での比較優位
5 自由貿易の下での経済
6 不完全特化の可能性
7 世界の生産可能性フロンティアと貿易
8 世界全体の需要と供給による貿易均衡
9 まとめ
補論1 3国3財のリカード・モデルにおける完全特化条件
補論2 2国・多数財のリカード・モデルの比較優位論
第3章 ヘクシャー=オリーンの貿易論
1 はじめに
2 各産業における利潤最大化行動と要素集約性
3 要素価格フロンティアとストルパー=サミュエルソンの定理
4 リプチンスキーの定理と生産可能性フロンティア
5 財価格と生産量の関係
6 要素価格均等化定理と要素集約性
7 閉鎖経済の均衡
8 ヘクシャー=オリーンの貿易における比較優位
9 まとめとヘクシャー=オリーン・モデルの現実的妥当性
第Ⅱ部 貿易理論の応用
第4章 外部経済と国際貿易
1 はじめに
2 外部経済
3 部分均衡分析での閉鎖経済の均衡
4 部分均衡分析による国際貿易と貿易の利益
5 一般均衡分析のためのモデル
6 小国における閉鎖経済の均衡
7 小国における貿易下での均衡と生産のパターン
8 小国の貿易のパターンと貿易利益
9 まとめ
第5章 資源・環境問題と貿易
1 はじめに
2 自然環境と経済活動
3 天然資源と貿易
4 天然資源と貿易の理論分析 —— モデルの設定と閉鎖経済均衡
5 天然資源と貿易の理論分析 —— 貿易自由化の効果
6 貿易自由化が環境に与える影響
7 環境政策と国際分業のパターン
8 越境的な環境問題と貿易
9 まとめ
第6章 公共中間財と貿易
1 はじめに
2 公共中間財を含んだ基本モデル
3 環境創出型の公共中間財と貿易
4 要素報酬不払い型の公共中間財と貿易
5 2国モデルと環境創出型公共中間財
6 まとめ
第Ⅲ部 現代の貿易理論と貿易政策
第7章 独占的競争と産業内貿易
1 はじめに
2 産業間貿易と産業内貿易
3 独占的競争の基本モデル
4 独占的競争モデルによる水平的産業内貿易の説明
5 産業内貿易と貿易利益
6 企業の異質性と国際貿易
7 まとめ
第8章 国際間要素移動
1 はじめに
2 国際資本移動の古典的理論
3 国際資本移動の利益
4 財貿易と資本移動の代替性・補完性
5 海外直接投資
6 水平的直接投資 —— 企業の生産性と輸出 vs 直接投資
7 垂直的直接投資
8 国際労働移動
9 まとめ
第9章 貿易政策
1 はじめに
2 小国の輸入関税政策 —— 部分均衡分析
3 小国の輸入関税政策 —— 一般均衡分析
4 輸入関税と輸出税
5 小国の輸出補助金政策
6 数量規制とその他の非関税障壁
7 貿易政策による国内産業保護の有効性
8 大国の輸入関税政策 —— 部分均衡分析
9 大国の輸入関税政策 —— 一般均衡分析
10 最適関税
11 大国の貿易政策 —— 輸出補助金
12 まとめ
補論1 双対性アプローチによる貿易政策の分析
補論2 貿易政策の政治経済学
第10章 戦略的貿易政策
1 はじめに
2 外国の独占企業に対する自国の関税政策
3 ブランダー=スペンサーの第3国市場モデル
4 第3国市場モデルにおける輸出補助金政策
5 両国政府間の補助金政策ゲーム
6 第3国市場モデルでのベルトラン競争
7 ベルトラン競争の下での最適な貿易政策
8 まとめ
第11章 自由貿易協定
1 はじめに
2 2国間の関税競争
3 繰り返しゲームの下での2国間の関税競争
4 地域貿易協定の経済効果
5 地域貿易協定の拡大による多国間自由貿易協定の形成
6 まとめ
数学附録
1 ホモセティックな効用関数
2 生産関数
3 生産可能性集合
4 完全競争企業の利潤最大化行動
5 1人当たりの生産関数
6 支出関数
7 GDP関数
あとがき
図表一覧
索 引
書 評
『経済セミナー』(2018年12月・2019年1月号、第705号)