内 容
「悪人たちによっても良き社会は形成しうる」——「観念の歴史」を提起した硯学が、17・8世紀の西洋で盛んに試みられた「人間本性論」を渉猟し、承認願望、自己称讃、競争心、高慢さといった観念を軸に、近代思想の底に流れる、人間の情念と社会の秩序形成の問題を精緻明晰に考察。
著者紹介
アーサー O.ラヴジョイ
(Arthur O. Lovejoy)
1873-1962。アメリカを代表する哲学者・思想史家。ハーヴァード大学大学院を修了。スタンフォード大学、ワシントン大学、ミズーリ大学を経て、1910年から1938年までジョンズ・ホプキンズ大学の哲学教授。アメリカにおける代表的な思想史研究誌である Journal of the History of Ideas 誌の創刊に尽力し、編集長も務める。著書・論文は多数。代表作は『存在の大いなる連鎖』、『観念の歴史』、『二元論擁護』など。
(所属などは本邦訳刊行時のものです。)
目 次
はしがき
第1講 自己省察する動物
第2講 アメリカ合衆国憲法に見る人間本性論と平衡の方法
第3講 自己意識と欲望
第4講 人間に固有な情念としての承認願望
第5講 17・8世紀の人間論に見られる「称讃への愛」
第6講 政治思想と経済思想に見る人間の「高慢さ」と承認願望
第7講 人間の高慢さに対する告発
第8講 ヒュームとスミスの倫理学説
注
訳者あとがき
索 引