内 容
経済発展が地域経済圏の自立化へと帰結したのはなぜか? 地方誌に残された記述をもとに、米穀・棉布をはじめ、各地で叢生した地域産品の盛衰と地域間分業の展開過程を詳細に分析、政府の市場政策への新たな視角の提起により、清代市場の構造的特質を浮き彫りにした労作。
目 次
序 章 清代市場研究の成果と課題
はじめに
1 市場の階級的性格 —— 地主的市場と国家的市場
2 市場の開放性 —— 局地的市場圏と外部依存市場
3 市場と分業
第Ⅰ部 長江流域
第1章 清代湖広の水稲作と棉業
はじめに
1 湖南省の水稲作
2 湖北省の水稲作と棉業
おわりに
第2章 清代前期の平糶政策
はじめに
1 康煕までの平糶政策
2 採買の本格的実施とその成果
3 採買の挫折と倉儲への転換
4 倉儲と米価
おわりに
第3章 清代中期四川における棉業と経済政策
はじめに
1 教民紡織と四川棉業
2 採買政策の変化
3 倉儲政策の対応
4 制銭政策の堅持
おわりに
第4章 清代後期四川における商品生産の展開
はじめに
1 四川省のタバコ生産
2 四川省の砂糖生産
3 四川省の生糸生産
おわりに
第5章 安徽米流通と清代崇明の棉業
はじめに
1 安徽省の米穀生産
2 安徽米の移出過程
3 安徽米市場
4 崇明棉業の展開
おわりに
第Ⅱ部 華南沿海部
第6章 清代福建の商品生産と台湾米流通
はじめに
1 清初の海禁政策
2 米禁体制下の平糶政策
3 米禁解除要求と招商採買
4 地域間分業の変化
おわりに
第7章 清代広東の商品生産と広西米流通
はじめに
1 広東・広西両省の地域的特性
2 広東省の製糖業と棉業
3 広西省の主穀生産と流通
おわりに
第Ⅲ部 華 北
第8章 清代山東の棉業と華北沿海部の食糧政策
はじめに
1 華北沿海部の主穀流通
2 山東棉業の形成
3 米禁の解除と招商採買
4 河運から海運への転換
おわりに
第9章 清代直隷の棉業と李鴻章の直隷統治
はじめに
1 直隷における地域経済の実相
2 李鴻章の河工政策
3 李鴻章の救荒政策
おわりに
第10章 清代華北内陸部の市場構造と教民紡織
はじめに
1 華北内陸部の商品流通
2 商品市場の重層化
3 教民紡織の実施
おわりに
終 章 地域経済圏の終焉
註
あとがき
索 引